ECサイト「タオバオ」は、2022年からロケットによる配送を始めると発表した。発表日は2019年4月1日で、もちろんこれはエイプリルフールネタ。しかし、過去、アリババはエイプリルフールネタとして発表したテクノロジーを実現してきたと量子位が報じた。
2022年4月1日からロケット配送を始める?
ECサイト「タオバオ」は、WeChatの公式アカウントを通じて、商品の配送にロケットを利用し、地球上どこでも1時間以内に配送する物流網を2022年までに完成すると発表した。
大型の「宝箭号」を利用すると、ボストンのロブスターを40分で上海の食卓に乗せ、東京の豊洲市場の海産物を15分で広州の食卓に乗せることが可能になる。
宝箭号は第一宇宙速度に近い秒速7kmで飛行し、南極から北極までの約2万kmを43分で飛行できる。従来、中国内であった配送地域を、米国、日本、韓国にまで拡大する。
また、小型の「小宝箭号」は、30km圏内に60秒で配送が可能。
いずれのロケットも液体燃料を使用し、回収して再利用できる設計で、配送コストは99%低減できるという。サービスインは、2022年4月1日に予定をしている。
▲大陸間を1時間配送する宝箭号の軌道。エンジン部、ペイロード部のいずれも回収して再利用する計画だ。
▲発射準備に入る宝箭号。こういう精巧なフェイクビデオまで公表したため、ネット民の間での期待が盛り上がっている。
アリババのエイプリルフールネタ。しかし…
この発表は、4月1日に行われ、しかもサービスインの時期を2022年4月1日とし、しかも公式サイトではなく、プライベート感の強いSNS「WeChat」による発表ということから、エイプリルフールのネタと考えている人が大半だ。
しかし、一部のメディアが、この「4月1日」との関連に触れずに、大真面目に報道してしまったため、ネット民の間では「ほんとなの?ジョークなの?」とざわついている。
しかし、このようなメディアを誤報、不備のある報道と責めるわけにはいかない。なぜなら、アリババグループ企業は、毎年4月1日にこのような面白ネタを発表しているが、そのうちのいくつかは実現してしまうからだ。
網膜認証発表の3年後、顔認証を実用化
2012年4月1日には、アリペイは網膜認証技術を導入すると発表した。スマホを見るだけで決済の認証ができるというものだ。
3年後、網膜認証ではないが、顔認証技術を使って杭州市にケンタッキーと共同でKPROをオープン。大型パネルでメニューを選んだ後、顔認証で決済ができるというもので、スマホ不要、パスワード不要の決済方式を世に送り出した。また、2017年にはアリペイを運営するアントフィナンシャルが網膜認証技術を公開している。
▲ケンタッキーが運営するヘルシー料理中心のKPRO。入り口のタッチパネルで注文をし、顔認証で決済をする。
空気決済は実現
2014年4月1日には、アリペイが空付(空気決済)と呼ばれる技術を発表した。これはパスワードやパスコードの代わりに、その人しか知らない模様を利用して、決済するというものだ。例えば、タトゥーの模様、自分しか持っていない写真、画像、自分しか持っていない服や靴の模様などだ。
これもすでにさまざまなアプリで、写真をパスワードとして利用する機能が試みられている。
▲パスワードの代わりに自分だけが持っている写真やタトゥーなど図柄で認証できる「空付」。これはすでにさまざまなアプリで使われている。
相手の情報が表示されるARスマートグラス
2016年4月1日には、AR生活プラットフォーム「螞上」を発表した。眼鏡タイプのスマートグラスを通すと、人の肩にその人の情報が表示されるというもの。表示される情報は、その人の行動の文脈によって変わってくる。例えば、ファストフードであれば、スタッフからは「新規顧客」という情報が見える。人と知り合った時は、その人の趣味が表示されるといった具合だ。
▲グラス越しに顧客などの情報が見えるAR生活サービスプラットフォーム「螞上」。アリペイを運営するアントフィナンシャルがエイプリフールネタとして発表した。
スマホがいらなくなるアリペイエアー
2017年4月1日には、「如影計画」(アリペイエアー)を発表した。スマホは必要なくなり、小さなプロジェクターを使い、手のひらの上に画面が見えるようになる。これを指で操作して、自転車の鍵を開けたり、経路探索ができたり、決済ができるというもの。
▲スマホが不要になる「アリペイエアー」。手のひらなどの空中にプロジェクションされる。自転車用のナビゲーションシステムが秀逸。ユビキタスの世界が実現されている。
エイプリフールネタを実現してしまうアリパバ
アリババのエイプリルフールネタは、荒唐無稽ではなく、発想としては王道だし、ひょっとしたら実現できるのではないかと思わせるものがほとんどだ。しかも、その一部は実現している。
今回のロケット物流も、まったく荒唐無稽ではなく、ひょっとしたら実現されるかもしれないのだ。
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