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世界初の地下鉄車内での5G通信。成都市は「5Gスマート都市」を目指す

成都市の地下鉄10号線で、5Gの設備工事が始まっている。世界で初めての5Gが利用できる地下鉄になると封面新聞が報じた。

 

世界で初めての地下鉄内5Gを目指す

成都市地下鉄10号線は、成都市内の太平園と成都国際空港(双流空港)を結ぶ10.9kmの地下鉄。2019年1月には、太平園駅に5G設備が設置され、世界で初の5G地下鉄駅となった。四川移動、成都地下鉄、成都鉄塔、ファーウェイは、さらに5G導入を進めて、太平園駅と隣接する簇錦駅の地下鉄区間1.98kmの間に5G設備を設置、地下鉄内での5G通信検証を始める。成功すれば世界初の地下鉄車内で利用できる5Gとなる。

この検証実験の結果を得て、10号線全線に5G区間を拡大していくのが当面の目標となる。

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▲地下鉄10号線では、5Gアンテナの取付工事が進んでいる。世界で初めての地下鉄車内の5G通信となる。成都市は「5Gスマート都市」になることを目指している。

 

5Gの狙いは、地下鉄の無人運転と遠隔運転

地下鉄10号線は、成都国際空港と市内を結ぶ路線で、成都を訪れた観光客に地下鉄車内で、VRを体験してもらうことを考えているという。成都に到着してすぐ、パンダ基地、都江堰などの成都の観光名所をリアルなVR映像で体験してもらおうというものだ。

しかし、最終的な狙いは、地下鉄車両も5Gに対応させ、リアルタイムでの運行管理、車内管理を実現することだ。地下鉄をスマート化させ、ATO(Auto Train Operation)運転によるワンマン運転から無人運転、遠隔運転などを視野に入れている。

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▲第2環状高速を走るバスの車内では、5G通信がすでに利用できる。VR機器が貸し出され、成都市の観光地の案内VR映像を体験することができる。

 

成都市が狙う「5Gスマート都市」

成都市は5Gを市の「名刺」としてアピールしていく政策を打ち出している。すでに全長28kmの第2環状高速の5G設備の工事が完了し、時速40kmで走行するバス車内でVR映像を体験する実証実験も行われている。

成都市は、5Gを「点、線、面」の3ステップで拡大していく計画を立てており、高新南区域、遥洋太古里、天府ソフトウェアパーク、パンダ基地、都江堰などでは5Gが開通しており、このような点を起点に、地下鉄、高速道路に沿った線を伸ばし、最終的に面で成都市全体を覆い、成都市を「5G都市」にする計画だ。

究極の目標は、地下鉄、バス、車両の無人運転だ。リアルタイムで遠隔監視を行い、万が一の場合は、遠隔で運転に介入する。そういう形で無人運転を実現しようとしている。

成都市の5G設備は、地下鉄、高速道路といった線に沿って広がっていくことになる。