中国で「ブレードランナー2049」などのサイバーパンク系映画が人気になっている。その影響で、重慶市への観光旅行客が増えているという。重慶市がまるでサイバーパンク映画に出てくるような街だからという理由だと曹操自游行が報じた。
SFの映画のモデルは重慶市?
中国でこの数年、サイバーパンクSFドラマ、映画がヒットをしている。「ウェストワールド」「ブレードランナー2049」「アリータ:バトルエンジェル」などが人気で、ちょっとしたサイバーパンクブームになっている。
このようなSF映画には、アジアの都市をモデルにした都市景観が出てくる。無秩序に発展した都市とサイバーパンクの未来像が合致するからだ。以前は、新宿歌舞伎町や香港をイメージしたものが多かったが、最近、中国人の間でささやかれているのが、重慶市をモデルにしているのではないかということだ。
実際、重慶市にはユニークな都市景観が多く、重慶市を訪ねて、サイバーパンク映えするスポットを巡ることが人気になっている。
▲夜の重慶市。このような写真を撮影して、SNSに投稿するのことがちょっとしたブームになっている。
ビルの中に吸い込まれるモノレール
重慶市は人口3000万人を超える巨大都市。四川盆地の東にあり、市の中心部で嘉陵江と烏江の2つの河が合流するため、坂が多い。立体的な都市構造を取らざるを得ず、サイバーパンク的な構造になっていくのだ。
最も人気なスポットは、重慶軌道交通2号線の李子壩駅だ。なんと李子壩正街の6階、7階、8階がモノレールの駅設備になっている。1階から5階までは商業店舗、9階から19階までが住居になっている。うるさくて生活できないように思えるが、騒音は60デシベル程度で生活には大きな影響はないという。
2号線の建設時に、ちょうどこのビルの建築が重なった。モノレールを優先すればビルが建築できない。ビルを優先すればモノレールが迂回しなければならないということで、このビルの中の駅というユニークな構造が生まれた。ほぼ毎日、写真を撮る観光客が訪れる。
▲観光客にいちばん人気なのが李子壩駅。ビルの中に駅ホームが設置されているため、モノレールがビルに吸い込まれていく。
▲李子壩駅は下部が商業施設になっていて、上部が居住区になっている。そのため、想像するよりも騒音はなく暮らしやすいという。
▲李子壩駅にモノレールが進入する様子。駅周辺は絶好の撮影スポットになっている。
重慶一の観光名所「洪崖洞」
中国人の間で「千と千尋の神隠し」のモデルになったのではないかと言われているのが洪崖洞だ(日本では台湾の九份と言う人が多い)。河沿いにせりだした吊脚楼と呼ばれる伝統建築で、現在は多くが建て直されて、土産物屋などの商業地区となっているが、夜間はライトアップされ、人気の観光スポットになっている。
▲中国では「千と千尋の神隠し」のモデルになったのではないかと言われている洪崖洞。重慶の伝統建築様式を再現している。
坂の町重慶では歩道もバラエティ豊か
解放碑左営街と鑫龍ビルの間には、地上40mの高さに30mの長さの歩道橋がかかっている。しかも、マンションの窓のすぐそばを通っている。
重慶は坂が多いため、歩道に有料エスカレーターがかず多く設置されている。その中でも最長なのが、皇冠エスカレーターだ。全長112m、高低差53m、傾斜角30度で、2分30秒かかる。ここも多くの観光客が訪れ、ビデオ撮影をしている。
高速道路も立体的だ。黄桷湾立体交差は、4本の高速道路が交差するジャンクションであるため、中国でも複雑な立体交差になっている。
▲解放碑左営街の歩道。地上40mの高さに設置されている。マンションの窓のすぐ横を通っている。
▲皇冠エスカレーター。全長112mのエスカレーターで、2分30秒かかる。
▲重慶は高速道路も複雑であるため、インターチェンジ好きにもたまらない街になっている。
视频: 重庆 两路口 皇冠大扶梯 坐到最后蛮吓人腿发软不敢朝下看了2元
▲重慶で有名な皇冠エスカレーター。観光客の多くが、スマホを取り出して写真を撮るか、ビデオを撮る。
新たに生まれた3D都市という観光資源
重慶は政策的に行政地域を拡大し、現在では面積が8.24万平方キロと北海道よりも広い。それでも都市圏人口は2000万人近い。長江三峡、大足石刻などの観光資源も豊富だが、最近は街の3D構造という新たな観光資源が生まれている。
重慶市在住のネット民の間では、市内のサイバーパンク的な風景をSNSにアップするのがちょっとしたブームになっている。