辰智科技・中国飲食ビッグデータ研究センターは「2018年中国飲食外売ビッグデータ分析報告」を公開した。これによると、「子どものいる家庭が」「天気の悪い日に」「ファストフード」を注文している姿が浮かび上がったと餐飲界が報じた。
外売ではファストフードが人気
外売は、中国で普及をしている出前サービス。特定の飲食店だけではなく、対応している飲食店のメニューであれば、スマホで注文、決済して自宅に届けてもらえる。日本ではウーバーイーツがサービスを提供している。
報告書によると、2017年の一人あたりの消費額は36.4元（約610円）。外売利用者は3.05億人、市場規模は2052.7億元（約3.4兆円）になった。伸び率は低下しているものの、まだまだ成長をしている。
利用される店の上位４位は、ケンタッキー、真功夫、ピザハット、マクドナルドなどの西洋式のファストフード。以下、中華式のファストフードが続く。都市の大きさ別に見ると、地方都市では中華式が上位に食い込んでくるが、大きな違いはない。ファストフードが中国全体に広がっていることがうかがえる。
▲外売利用者は3.55億人。伸び率は低下しているものの、まだまだ成長過程にある。
▲市場規模は約3.4兆円。こちらも伸び率は低下しているもの、成長過程にある。
▲外売で利用されるチェーン店の上位は、西洋式のファストフード（真功夫は、国内系のハンバーガーチェーン）。しかし、蘭州拉麺などの中華系ファストフードも健闘している。
利用者の半数が「子どものいる家庭」
利用者の家庭状況を見ると、子どもがいる家庭で半数以上を占める。特に小さな子どもがいると、気軽に買い物に行ったり、食事に出かけたりすることができない。そのような理由で、利用されているのではないかと推測できる。
▲利用者の半数以上が子どもがいる家庭。買い物に行きづらい、食事に出かけづらい、大量の料理を作らなければならないという家庭で外売が利用されている。
▲料理はこのようなパックに入れて運ばれてくるのが一般的。これを皿に盛るだけで食事ができてしまう。食事に出かけるより、家庭で外売を利用して食事を楽しむ人が増えている。
利用する理由は「天気が悪いから」が1位
外売を利用する理由を尋ねたところ、圧倒的に多かったのが、「天気が悪いから」だった。その他、「自分で食事を作りたくない」「食事を作る時間がない」などのネガティブな動機が多く、「違ったものを食べたい」「家では作れないものを食べたい」「安くて美味しいから」などのポジティブな動機は下位にきている。
つまり、子どもがいる家庭で、手早く食事を済ませたいと考えるときに外売が使われているようだ。
▲外売を利用する理由は「天気が悪いから」などのネガティブなものが上位にくる。「違ったものを食べたい」「家では作れないものを食べたい」「安くて美味しいから」というポジティブな理由はまだ高くない。
ファストフードの出店が続き、中華式ファストフードも成長
これに合わせて、実店舗の出店状況も変化してきている。飲食店はどの形態も減少傾向にあるが、その中で伸びているがファストフードだ。ファストフードは、店舗にも集客ができ、外売に対応できることから伸びている。西洋式ファストフードの多くは外資系に占められているため、中華式ファストフードが伸びている。
一方で、本格的なアジア料理レストラン、中華レストラン、火鍋は減少をしている。外売に向かない料理であることが大きく影響していると考えられる。このような本格レストランは、平日のランチ、夕食の客が減り、もはや週末の夕飯でいくら稼げるかが勝負になっている。
中国人は、食事を大切にする民族だが、その伝統は大きく変わり、忙しい平日は「手軽に、安く」食事を済ませたいと考える人が増えているようだ。
▲実店舗の開店率と閉店率。ファストフード以外の多くが、閉店率の方が高く、店舗数が減少している。外売に対応できない店舗は経営が苦しくなっている。
