中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

AppleのFaceIDを突破したベトナムBkavのBPhoneが中国でも話題に

アジア各国の技術力が上がってきている。ベトナムのBkavは、AppleのFaceIDを突破するビデオを公開して、一躍中国や西側でも知られるようになった。そのBkavが発売しているBPhoneは、熱狂的なベトナムユーザーを生み出し、中国では「ベトナムのシャオミー」と呼ばれるようになっていると新浪財経頭条が報じた。

 

グローバル化、中国化が進むベトナムの国産スマホBPhone

ベトナムで、ベトナムの企業Bkavが開発したスマートフォンBPhoneが人気になっている。今、アジア圏では、インドを含め、どこの国でも国産のスマートフォンは消えゆく運命にあり、アップル、サムスンなどのグローバル展開をするブランド、そしてファーウェイなどの中国ブランドに席巻されている。

情報面での安全保障を確保するために、アジア各国は国産の通信機器産業の育成に力を入れているが、消費者が性能のいいグローバルブランド、性能と価格のバランスのいい中国ブランドを選ぶため、国産ブランドの育成はなかなか進んでいかない。その中で、BPhoneはベトナムのユーザーから熱い支持を受け、中国でも「ベトナムの小米(シャオミー)」と呼ばれ、注目をされ始めている。

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ベトナムのBkavが開発したBphone 3。約5万円の価格がする高級機で、ベトナムに熱狂的なファンを生み出している。

 

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▲金額ベースのシェア。ベトナムもアジア各国と同じように、グローバルブランドと中国ブランドで2分されている。特に中国ブランドの浸透が著しい。国産ブランドは風前の灯火になっている。

 

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▲台数ベースのシェアでは、サムスンが強く、シャオミーとファーウェイが伸びている。

 

AppleのFaceIDを突破する技術力

Bkavがその名前を国際社会に轟かせたのは、昨年、iPhoneの顔認証技術Face IDを突破する手法を開発したからだ。Face IDは平面的な顔映像の画像解析だけではなく、赤外線を使い、顔の凹凸をも測定をするため、そのハッキングは難しいと言われていた。

しかし、Bkavは3Dプリンターを使い、顔の形を製造し、そこに目と口の写真を貼り付け、さらに立体的なシリコン製のゴムで鼻を作ることで、Face IDを突破した。登録している本人の顔を綿密に測定をして、マスクを作る必要があるが、製造原価的には150ドル程度で可能だという。

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▲BkavはAppleのFaceIDを突破したことで、国際的に名前が知られるようになった。3Dプリンター立体マスクを作るという方法だ。


How Bkav tricked iPhone X's Face ID with a mask

AppleのFaceIDを突破した実証ビデオ。この動画で、Bkavの技術力が国際的に知られるようになった。

 

価格は平均月収の2倍。それでもファンが生まれる

このBkavが、BPhone 3 Proを発売した。2015年にベトナムで初めての国産スマートフォン初代BPhoneを発売し、2017年にはBPhone 2、そしてこの10月にBPhone 3 となった。

性能的には中国ブランドの高級機と遜色はなく、ベトナム国産のスマートフォンとして、初代からずっと買い続けている根強いファンがいる。価格は、BPhone 3が6990万ドン(約3万2700円)、高機能版のBPhone 3 Proが9990万ドン(約4万8700円)で、Proはベトナムの一般的な市民の平均月収の2倍であるため、販売数は大きくはないが、着実にファンを掴みつつある。Bkavは、低価格路線ではなく、高級機路線を取っていることもベトナムユーザーから受け入れられている。

ベトナムスマートフォン状況は、実質的にグローバルブランドと中国ブランドが2分をしている。国産ブランドは風前の灯で、シェアを落とし続けている。その中で、BPhoneがベトナム人にとって、唯一の国産機になりつつあることも人気の理由のひとつのようだ。

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▲左がBkav CEO。右はBPhoneを最初に購入したユーザー。ベトナムにとっては高価格のスマートフォンであるにも関わらず、ファンが生まれている。


Bphone 3 - Điện thoại Chất. Smartphone cao cấp made in Vietnam.

▲BPhoneの公式ビデオ。ベゼルレス、防水など、高級機としての基本的な性能は備えている。

 

世界の工場になりつつあるベトナム

ベトナムのIT産業は成長のきっかけをつかんでいる。アップルのワイヤレスイヤホンAirPodsの生産をしている中国のGoerTekは、AirPodsの生産工場をベトナムに移転する計画を発表した。また、スマートフォンで復活を狙うノキアは、ハノイにすでに工場を稼働させている。インテルベトナムに10億ドル以上の投資をして、プロセッサーの生産を始めている。

簡単に言えば、中国の人件費が上昇してきたために、ベトナムが「世界の工場」として注目をされているのだ。これにより、ベトナムの技術力も大きく上昇し、Bkavのような尖った企業が現れ始めている。BPhoneがサムスンやファーウェイのシェアをすぐに脅かすことは難しいが、ベトナムで一定のシェアを握り、アジア各国へ浸透していくということはじゅうぶんにあり得る。


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