ECサイト「京東」が、天津市に無人レストランをオープンした。従来の無人レストランはレトルト食品などを電子レンジで調理するものだったが、この「京東X未来レストラン」は、ロボットが名シェフの調理方法を再現して、中華鍋で調理をする。味のよさからリピーターが生まれそうだと文芸家青年が報じた。
・調理もロボット化された「京東X未来レストラン」
10月29日、京東(ジンドン)が天津市の浜海新区の新生態商業街に無人レストラン「京東X未来レストラン」を試験的にオープンした。店舗面積は400平米で、客席は最大100席。注文から調理、配膳、会計などのすべてが無人化されている。
注文は店内のタブレットか、スマホ決済アプリ「アリペイ」「WeChatペイ」のミニプログラムから可能。現在は、10元、20元、30元の3種類の価格の料理、40種類が提供されている。
配膳は、専用のロボットカート。自動的に目的のテーブルまで行き、料理が受け取られると、自動的に厨房まで戻ってくる。途中で人を感知すると、一旦停止をして、衝突を避ける。
ただし、料理をカートに乗せるは手動で、人がやらなければならない。そのためのスタッフが常駐をしているので、厳密には完全無人レストランではない。
▲天津市にオープンした「京東X未来レストラン」。管理スタッフがいるだけで、調理、配膳、会計などはすべて自動化されている。
▲注文した料理はロボットカートが座席まで運んでくれる。歩いている人を感知すると、停止したり、避けたりする。料理を取ると、自分で厨房まで戻っていく。
ロボットが名シェフの調理方法を再現
今までにも無人レストランは数多く登場し、その多くが今では消えている。理由は簡単で、美味しくないからだ。レストランを無人にするために、レトルト食品のようなものを提供することが多かった。電子レンジで温めるので、容器や冷菜までも熱くなってしまい、不評だった。
未来レストランは、ここを大きく改善した。調理ロボットが、素材からひとつひとつ作っていくのだ。調理ロボットは人型ではなく鍋型ロボット。中華料理には欠かせない「鍋ふり」もする。ここに油を注ぎ、あらかじめ用意した素材を投入、鍋ふりをしながら調理していく。
中国の8大料理に精通し、現在は40種類以上の料理が作れるという。プログラムは、、温度、時間、調味料の量など、名シェフのデータを測定し、組み込まれている。
▲公式ビデオから。調理をロボット化したのがこの未来レストランの最大の特徴。調味料や加熱時間など、名シェフの調理法を再現している。
リピーターが生まれることが期待できる
現在のところ、珍しさも手伝って、来店客で賑わっているという。従来の無人レストランは、オープン直後は賑わうものの、味の問題からリピーターを作ることができなかった。ネットメディアが来店客にインタビューをしてみると、「熱々の料理が出てきて、味も美味しい」という答えが多く、リピーターが生まれることも期待されている。
この未来レストランは、アリババの新小売(ニューリテール)戦略に、京東が対抗するために提唱している「無界小売」(ノーボーダーリテール)戦略の一環だという。当然ながら、時期を見て、外売(出前)などにも対応していくことになる。
従来の無人レストランは、単なるテクノロジーのプレゼンで終わってしまったようなところがあるが、味の面を強化してきた未来レストランは、営業利益を狙った本格的な事業として見られている。
京東は、うまくいくと見れば、一気に全国に数百店舗を展開する。この未来レストランが全国展開できるのかどうか、注目されている。