中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

アリババで7年働いたら、マンション3つ買えた。中国IT企業、報酬トップ10

アリババの社員と称する人物の匿名発言「アリババで7年働いたら、マンション3つ買えた」が話題になっている。IT系の職業専門学校「鼎利学院」は、卒業生などの情報から、中国IT企業の報酬と待遇分布をまとめた。

 

月給の額を尋ねるのが好きな中国人

中国人は、他人がいくら稼いでいるのかを尋ねるのが大好きだ。挨拶代わりに気軽に聞くし、答える方も気軽に答える。社員同士でも教え合うので、企業はおかしな給与体系にするわけにはいかない。誰かを特別扱いするようなことをすると、それが社内にあっという間に広まり、「バカバカしい」と社員がどんどん転職していってしまうのだ。そのため、ある程度の企業になると、階級を定め、それに業務評価を加えて、どのように給与を決定するかというアルゴリズムを社員に公開している。ある意味、極めて公平性の高い分配が行われているのだ。

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アリババで7年働いたら、マンション3つ買えた

最近、アリババの社員と思われるネットでの匿名発言が話題を呼んでいる。それは「アリババで7年働いたら、マンション3つ買えた」というものだ。「アリババでの努力は報われる。能力があって、意識も高い人はすぐにアリババにきた方がいい。生活が安定するよ。この7年で、マンションは3つになった。この選択に感謝している。みんな、頑張れよ!」という内容。

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▲アリババ社員と称する匿名の人物が発言した「アリババで7年働いたら、マンション3つ買えた」発言。ネット民をざわつかせている。

 

報酬が二極化しているファーウェイ

鼎利学院は、成都市にあるITの専門学校。ここが卒業生などの情報から、各IT企業の報酬トップ10と、その分布をまとめている。

それによると第10位は、ECサイト「唯品会」で1万9660元(約33万7000円)。第9位はスマホメーカーのファーウェイで、1万9770元(約33万9000円)。しかし、この情報は卒業生などから収集したもので、実際ははるかに高いのではないかと鼎利学院は注釈をつけている。なぜなら、ファーウェイの2017年の人件費は1068億元(約1兆8000億円)で、社員数が18万人だとすると、平均年収は58万元(約995万円)になるからだ。

分布を見ると、少ない方にも小さいピークがあるので、社内では高給を取れる人と取れない人の二極化があるのだと思われる。

以下、グラフの単位は1000元(約1万7000円)。50が約85万円に当たる。

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グーグルも二極化

第8位はグーグル中国の2万1430元(約36万7000円)。グーグルはサービスに関しては中国市場から撤退をしているが、サイエンティストの李飛飛氏が中心となり、人工知能研究のオフィスを開設して、約150人程度の社員がいる。グーグルも分のピークが2つあり、給与は二極化している。

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百度には低水準給与の人はいない

第7位はセキュリティ企業の「360」で2万1560元(約37万円)。第6位は検索エンジンの「百度」で2万2030元(約37万8000円)。百度は、固定給と業績給の他、自社株支給もあるという3階建の給与体系になっている。分布を見ると、ピークはひとつで、二極化はないようだ。と言っても、給与が低水準になるような人は、離職していくのではないかと思われる。

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ウーバーを買収してから給与が上がった滴滴出行

第5位は検索エンジンの「捜狗」で、2万3350元(約40万円)。第4位はQ&Aサイト運営の「知乎」で2万4560元(約42万1000円)。第3位はライドシェアの「滴滴出行」で2万7540元(約47万2000円)。解説によると、ウーバーチャイナを買収して、事実上のトップ企業になったあたりから、給与も大きく上がったという。

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高所得者が多く、福利厚生も手厚いテンセント

第2位はSNSやゲームなどの「テンセント」で、2万8770元(約49万3000円)。分布を見てもらえばわかるが、ほとんどが2万元から5万元の間になる。給与が高いだけでなく、福利厚生もしっかりしていて、無利息の住宅ローンなども用意されている。

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圧倒的高収入のアリババ

第1位はやはり「アリババ」で、3万2570元(約55万9000円)。しかも、アリババは年に16ヶ月分の給与が支払われ、年に1回のボーナスが業績評価により0ヶ月から6ヶ月の間で支給される。90%の人が3ヶ月分以上のボーナスをもらうそうだ。つまり、年に16+3=19ヶ月分の給与をもらうことになる。これを12で割って、月給に直すと5万1569元(約88万5000円)となる。

日本の中小企業から見たら、毎月ボーナスが出ているような話で、しかも本社勤務であれば、物価の安い杭州市。使い手はものすごくある。感覚的には日本の2倍から3倍程度の価値がある。アリババの社員が「7年働いたら、マンション3つ買えた」というのもまんざら嘘でもない。

ただし、唯一の欠点は、残業が多すぎて、お金を使う暇がないということだろう。

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杭州市にあるアリババ本社は、観光名所にもなりつつある。物価の安い杭州市に、中国一平均給与が高い企業がある。