中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

中国の横断歩道は、顔認証、自動ゲート、ジェットミスト。赤信号は絶対に渡らせません!

中国各地に、歩行者が赤信号を無視して横断歩道を渡るのを防ぐさまざまな装置が登場して話題になっている。その中でも、湖北省黄石大冶市に登場した、信号無視の歩行者に霧を吹きかける装置が話題になっていると新京報が報じた。

 

顔認証で個人情報を特定して、モニターで顔を晒す深圳

中国の各地交通警察は、横断歩道の赤信号無視に頭を悩ませているようだ。中国だけでなく、車もこないのに赤信号をきちんと守るのは日本ぐらいで、海外では、自分で安全確認ができれば、赤信号でも渡ってしまうことが多いようだ。しかし、それで交通事故に会うこともあるのだから、きっとどこの国でも歩行者の信号無視には頭を悩ませているのだろう。

以前、信号無視対策として深圳市の取り組みを紹介した。監視カメラを設置するだけでなく、顔認証を行い、それで身分証データベースを検索し、名前や住所、勤務先などの個人情報を特定。勤務先などに通知をし、注意を促す。撮影した顔写真は、交差点近くの大型モニターに一定期間表示するというものだった。

かなり高度で先進的なIT技術が使われているが、なにか使いどころを間違えているような気もしないではない。

同じようなシステムが、昨年8月から南京市でも導入されている。こちらは顔認証の機能はなく、赤信号無視の写真を自動撮影し、大型モニターに一定期間表示するというもののようだ。

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▲深圳市の屋外モニター。信号無視の違反者は、顔認証により個人情報を特定。顔写真は一定期間、このモニターで晒される。

 

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▲南京市でも深圳市と同じような自動撮影システムが導入されている。こちらでは、個人情報までは特定されない。

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踏切方式の武漢市の対策

しかし、ここまで大掛かりなシステムを導入するのには費用もかかる。そこで、中国各都市ではあの手この手で赤信号無視対策を行っている。

昨年8月から、武漢市の南湖大道と民族大道の交差点に導入されたのが、踏切のようなシステム。赤信号になると、テープが降りてきて、横断歩道を渡れなくなる。青信号になると、テープが上がるというものだ。

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武漢市では、赤信号になるとテープが下りてくる。潜って渡ると、自動撮影される。

 

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▲青信号になると、テープが上がり、横断できる。踏切と同じ方式だ。

 

改札もつけちゃいました

また、同じ武漢市では、昨年4月から、金銀潭大道の交差点に、別のシステムが導入している。自動改札そっくりのゲートで、赤信号で閉じ、青信号で開く。このゲートを乗り越えて、信号無視をしようとすると、監視カメラが自動的に静止画を撮影する。

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武漢市の改札方式の横断歩道。赤信号の時は、ゲートが閉まる。改札部分にスキャナーのようなものがついているが用途は不明。地下鉄用改札を転用したのだろうか。

 

赤信号を無視すると、ジェットミストで攻撃

さらに、中国人ネットワーカーの間でも「中国っぽい!」と拡散しているのが、湖北省黄石大冶市の取り組みだ。

横断歩道の手間に、鉄製の柵が並べられ、端と端の間には、目には見えないが、赤信号の時にレーザー光線が張られる。信号無視をしようとすると、このレーザー光線を横切ることになり、遮断される。

すると、途中の柵の横から、ミストが噴出されるのだ。信号無視をして渡ろうとした人はびっくりするし、この時、蒸気が舞うことで、張られたレーザー光線が見えるようになる。さらに、「交通規則を守りましょう」「信号無視をしないように」という音声が再生される。

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▲青信号の時は、何も起こらず。ただ、ちょっと邪魔なだけのポール。

 

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▲手前のポールからジェットミストが噴出され、赤信号無視の歩行者を攻撃する。端のポールからレーザーが走っていて、これを遮断すると作動する仕組み。


湖北大冶推出闯红灯喷水雾“神器” 警方:不会有安全问题 近日

 

中国人からも「中国っぽい!」と言われる信号無視対策

しかし、ネットワーカーたちからは疑問の声も上がっている。「面白がって、わざと信号無視する人が出てくるのでは?」「これから夏がくるから、涼しくていいよね」など、面白がっている人が大半だ。地元の人によると、みなスマホで動画や写真を撮り、ちょっとした観光名所になっているそうだ。

黄石大冶市の交通警察官は、新京報の取材に答え、信号無視をする人は確実に減り、警察官の負担も軽くなったと言う。中国は、歩行者のマナーに訴えかけるのではなく、このようなちょっとユーモラスな実力行使が大好きだ。この手の信号無視防止システムは、これからも広がっていくのではないかと思われる。

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ECサイトタオバオ」では、深圳市の自動認識システムが販売されている。これはモニターだけだが、1000元(約1万7000円)は随分とお買い得。四川省成都市から5日以内に無料配送だそうだ。全体のシステム一式も8800元(約15万円)で出品されていた。