中国人の旅行先としていちばん人気のタイでは、スマートフォンQRコード決済「アリペイ」の普及が進んでいる。アリペイに対応するだけで中国人客が如実に増加することから、タイのチェーンレストランなどでアリペイの導入が進んでいると人民網が報じた。
いちばん人気はタイ、2番人気は日本
この春節の連休中、650万人の中国人が海外へ旅行すると予測されている。渡航先としては、日本の人気が底堅いが、1位はタイで、日本は2位になる。以下、シンガポール、ベトナム、インドネシア、米国となり、一昨年まで人気のあった韓国は高高度ミサイル配備問題などから圏外に消えてしまった。
中国人のタイ旅行熱は未だに増え続けている。タイの観光スポーツ省の統計によると、観光収入に最も貢献をしているのは中国人で、2017年は2016年よりも11.97%中国人旅行客が増え、中国人による観光収入は5200億バーツ(約1.7兆円)に達している。これは2016年から15.78%の伸びになる。
アリペイに対応するレッツリラックス、マンゴツリー
この伸びに貢献しているのが、タイ版アリペイの普及だ。タイで有名なレッツリラックススパでは、アリペイを導入してから、来客数が40%も伸びたという。レッツリラックススパを運営するシアムウエルネスグループの国際市場責任者は、人民網の取材に応えた。「中国からのお客様はほとんど現金を持たず、スマートフォンでお支払いをする習慣をお持ちです。私たちは、中国からのお客様によりよい体験をしていただくために、アリペイの導入を決めました」。
タイで最も有名なタイ料理レストラン、マンゴツリーでも2016年8月からアリペイに対応している。マンゴツリーの運営責任者は人民網の取材に応えた。「アリペイに対応してから明らかに中国からのお客様が増えました。中国のお客様の8割はアリペイでお支払いをされていきます。店頭にあるアリペイのロゴを見ると、安心して入店してくださるお客様が多いですね」。
これだけでなく、2015年12月から導入が始まったタイのアリペイは、昨年一気に普及が進み、コンビニ、ショッピングモール、免税店、レストラン、カフェ、旅行会社など数万店が対応をした。特に、免税店のキングパワー、コンビニのセブンイレブン、化粧品店のブーツ、百貨店のセントラル、モール、ホテルレストランのマイナー、スーベニアショップのナラヤなど、中国人に人気の店が対応したことが大きい。
▲外国人に人気のスパ「レッツリラックススパ」。アリペイ導入後、客数が40%も増えたという。
▲外国人が必ずいくといっても過言ではないタイ料理店「マンゴツリー」。ここでもアリペイに対応したことにより、中国人観光客が増えた。
さらにタイ人向けアリペイもサービス開始
当初、対応したのは中国人旅行者のための人民元建てのアリペイだったが、2016年11月からは、アリババの子会社であるアントフィナンシャルと、タイの決済代行企業アセンドマネーが提携をし、タイ版アリペイのサービスもスタートしている。また、2017年9月には、タイの4大銀行のひとつであるKエクセレンス銀行と提携をし、Kエクセレンス銀行のスマートフォンアプリ内から、直接アリペイのQRコードをスキャンして支払いができるようになった。
大量に押し寄せる中国人旅行客がアリペイを使っている姿を見て、タイ人も次第にタイ版アリペイを使うようになり始めている。
アリペイは、中国人観光客とともに海外に進出し、次にその国用のアリペイサービスを開始するという方法で、海外進出を始めている。タイでは、その戦略が最もうまくいっていると思われる。
▲タイでポピュラーなKエクセレンス銀行がタイ版アリペイに対応した。ATMでスマホのアリペイにチャージをすることができる。
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