中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

この分野でも中国が日本を猛追ーー極薄コンドーム「中川001」

中国は、あらゆる領域で、日本の製造技術をキャッチアップしてきているが、いよいよ、この分野でも肩を並べられた。ポリウレタン素材を使った極薄コンドームだ。中国で初となるポリウレタン製極薄コンドーム「中川001」が発売されたと都市快報が報じた。

 

日本メーカーにしか作れなかった「極薄」

日本が世界に誇れるもの。製造技術、アニメ、ゲーム。もうひとつ、密かに世界中から愛されているのが避妊具の技術だ。特にポリウレタン素材を可能にした技術は画期的であり、それまでのラテックスゴムにあったようなゴム臭、アレルギー反応によるかぶれなどがなくなり、同時に熱伝導率が高く、薄くても丈夫に作れるので、使用中の違和感がなくなるなど、日本メーカーがこの世界に福音をもたらした。

しかし、この世界でも、中国が激しい追い上げを見せ、日本を抜きかねないところまできている。それが、蘭州科天健康科技が開発した中国製コンドーム「中川001」だ。

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▲蘭州科天健康科技が発売している「中川001」。今度、002、003などのやや厚みのあるシリーズも販売をしていく。

 

NBAでの広告展開により知名度を上げる

ポリウレタン製コンドームの製造技術を持っているのは、日本のオカモト、サガミだけで、0.02mm、0.01mmという超極薄製品で、日本市場の6割を占めていた。特にオカモトの001は、中国人の間でも人気商品となり、訪日旅行の時の隠れ爆買い商品となっていた。

しかし、昨年5月に販売が始まった「中川001」もポリウレタン製の0.01mm極薄製品。耐久性などの評価はまだできる段階ではないが、中国の製造技術が日本に追いついたことは間違いない。

中国市場では、年間110億個が消費され、毎年15%以上で成長をしている。しかし、そのほとんどはラテックスゴム製のものであり、極薄のポリウレタン製品は1%以下でしかなかった。製品の性質上、大型のプロモーションがしづらいため、製品そのものがあまり知られず、製品を知られたとしても、あまりの極薄ぶりに不安感を感じる人が多かった。

中川001は、中国でも人気のあるバスケットボールリーグNBAヒューストン・ロケッツと契約を結び、試合中に広告を掲示した。この広告により、一気に知名度が上がり、中国30省の5000店舗および自動販売機での販売を始めた。さらに、日本、韓国、インドネシア、タイなどの進出も進めている。

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▲中川001は、米国のプロバスケットリーグNBAで、広告展開をしている。これにより中国国内での知名度が一気に高くなった。また、アジア圏での知名度も上がりつつある。

 

中国最大のコンドーム工場が稼働する

蘭州科天健康科技の「中川001」生産工場は、10ラインの建設が予定されていて、すでに4ラインが稼働をしている。今年6月には10ラインすべてが稼働をし、年間生産量は10億個になり、中国で最大のコンドーム生産工場になる。蘭州科天健康科技は、5年以内に生産数を100億個の大台に乗せることを表明している。

ちなみに、中国で「中川」という商品名は珍しい響きだが、蘭州科天健康科技によると、蘭州市の中川という小さな村に開発研究所があったためだとしている。

日本製の製品と比べて、品質がどうであるかはまだ不明な点が多いが、一気に拡大するスピード感は驚異的だ。しかも、すでに海外販売に着手をしている。日本でも「中川001」の名前を見かけることが増えていくかもしれない。

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▲蘭州科天健康科技の生産工場。現在4ラインが稼働しているが、最終的に10ラインが稼働し、生産数は年間100億個になる予定だ。

 

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▲蘭州科天健康科技の工場内での検品、パッキング作業。極薄製品は、不良品を出すと致命的な損失を被ることになるので、検品作業が重要になる。

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