全国に2万3000店舗を展開する中国農業銀行は、ATMでの預金引き出しに顔認証を取り入れた。銀行カードがなくても、顔を見せるだけで預金が引き出せるようになったと今日頭条が報じた。
ペイメント革命の次はユビキタス革命
中国は、スマートフォンによるペイメント革命が進み、無現金都市、シェアリングエコノミー、社会信用スコアという新たな概念を生み出してきた。そのペイメント革命はまだ進行中だが、すでに次の革命へと進む動きが現れ始めている。それがユビキタス革命だ。
それは、スマホも不要、財布も不要、「門、カード、証、券」をすべて生体認証で済ませてしまおうというものだ。現在のところ、生体認証として顔認証が最も多く使われている。
顔パスで預金が引き出せる中国農業銀行
中国農業銀行では、顔認証引き出しのサービスを始めた。つまり、身分証、銀行カードなどが不要、スマートフォンも不要で、体ひとつでATMから現金を引き出せるサービスだ。事前に顔写真を登録しておく必要はあるものの、それさえ済ませれば、全国どこの農業銀行ATMでも、顔パスで預金が引き出せることになる。
操作も簡単だ。ATMで顔を撮影して、身分証番号を入力するだけ。身分証番号は、地域コード+生年月日+3桁の個人番号という構造になっているので、暗記をするのは難しくない。
▲中国農業銀行のATM。顔パスだけで預金の預け入れ、引き出しができるようになった。
セキュリティ対策も万全
赤外線による測定も行っているので、写真のようなものでハッキングされる可能性も低い。身分証番号を入力させることで、本人の顔との差異を計測するだけなので、誤判別率はきわめて低い。
それでも不安な人には、暗証番号を設定、スマートフォンによる認証を追加することもできるようになっている。
現在、顔認証引き出しができるのは、新型ATM機を導入した一部のみだが、農業銀行はできるだけ速やかに全国のATMに導入していきたいとしている。
中国で、ペイメント革命が起こり始めて5年、中国はもう次のユビキタス革命を始めようとしている。
▲ATMで「顔認証」を選ぶと、キャッシュカード不要で預金引き出しが可能になる。中国農業銀行のATMは、何気にアップルペイやユニオンペイ、各種クレジットカードにも対応している。
▲顔認証を行うには、正面、素顔、50cm以内に近づくという注意点がある。ATMにわかりやすい表示が出る。
▲顔認証の後は、自分の身分証番号を入力する必要がある。身分証番号は地域コード+生年月日+個人識別番号3桁という組み合わせなので、簡単に記憶できる。