中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

大盛況だった独身の日セール、各ジャンルで売れたブランドは?

史上最高の売り上げを記録した中国独身の日セール。主要ECサイトでの売り上げ合計は1日で4兆円を超えた。日本のアマゾンの年間売り上げが約1.1兆円であることを考えると、想像がつかない規模のセールになっている。調査会社「星図数拠」は、主要4サイトで、どのブランドが売れたのかを調査した「双十一全網網購大数拠分析報告」を公開した。

 

家電製品、携帯電話、化粧品、ベビー用品が売れた独身の日セール

星図数拠は、20のECサイトで、5万2186種類のブランド、1056万の商品の11月11日セールの売れ行きを観測した。その合計での売り上げは、2539.7億元(約4兆3200億円)前年比43.5%の伸び、発送宅配便数は13.8億件、前年比29%の伸びとなった。また、特徴的なのがスマートフォンからの購入が91%と極めて高くなり、海外製品の購入も21.9%と高いものになった。

金額ベースで売り上げが大きかった製品ジャンルは、家電製品、携帯電話、化粧品、ベビー用品となっている。星図数拠は、このすべての製品について、どのブランドが売れているか分析調査を行った。すべてのランキングを表示するのは煩雑になるので、日本ブランドが関係するものを中心に紹介していこう。

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ベビー用品は、海外ブランドから中国ブランドへ

ベビー用品は、多くの中国人が中国ブランドに不信感を持っていた時期があり、海外ブランドが多く買われている。しかし、中国ブランドも信頼を得てきていて、母親がいちばん神経質になる粉ミルクでもビーイングメイトなどの国産ブランドの人気が上がってきている。

また、紙おむつは以前はパンパースやハギーズなどの米国ブランド一色だったが、日本ブランドも強く、また国産ブランドもじわじわとランキングに入るようになってきた。今後、中国ブランドがどこまで伸びてくるか注目されている。

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化粧品も海外から中国ブランドに

化粧品も同様に以前は海外ブランド一色だったが、国産ブランドの百雀羚が国民ブランドとして確立しつつある。しかし、個々の商品のランキングは入れ替わりが激しい。特に韓国ブランドは毎年顔ぶれが変わるほどで、競争が激しく、ひとつの商品が流行すると爆発的に売れ、旬をすぎると売れなくなるという断続的なブームが起きている。

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家電は圧倒的な中国ブランド志向

家電では、フラットテレビ、掃除機、ジューサーがそれぞれの分野で最も売れた商品となり、この顔ぶれは毎年ほぼ同じだ。ただし、家電製品は圧倒的な国産志向になった。

家電製品全体の売り上げランキングは、ほぼすべてが中国ブランドで、日本のシャープが台湾のホンハイ精密傘下になっていることを考えると、純粋な海外ブランドはシーメンスのみになってしまった。

それでも各製品ごとのランキングでは、日本メーカーも検討をしている。特に、フラットテレビのシャープ、ソニー、空気清浄機のシャープ、パナソニックは注目に値をする。

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▲大型家電の売上ランキング

 

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▲生活家電の売上ランキング

 

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▲キッチン家電の売上ランキング

 

各製品では日本ブランドも健闘

中国には、ミデア、ハイアールという世界的な家電メーカーが存在し、中国市場における総合力ではもはや競争していくことは難しいが、個々の製品であれば、まだ日本メーカーにも競争力がある。ソニーのフラットテレビの画質、パナソニックの日常家電に対する信頼度はまだまだ高い。

しかし、携帯電話メーカーであったシャオミーが、デザイン志向の家電製品を開発し、若者を中心に売れ行きを伸ばしている。デザインが優れていて、単機能だが、比較的低価格という路線が、若者のシンプルなライフスタイルと合っているようだ。日本の無印良品と似ているポジションを獲得している。

シャオミーの家電は、携帯電話メーカーの余技と見られていたところがあったが、売り上げ的にも、他の家電メーカーも無視できない存在になってきている。特に、日本メーカーとは購買層が重なるので、日本メーカーはシャオミーの動向に留意しておく必要がある。

 

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今後は海外進出を目論む「独身の日」セール

今年の独身の日セールは、中国ブランドの台頭が顕著だった。この傾向はますます強まると見られ、中国は海外ブランドをありがたる段階を脱し、国産ブランドを志向するようになっている。

また、全売上の5%程度は、海外からの購入で、この割合も年々伸びている。主な購買国はロシア、香港、米国、台湾、オーストラリア。多くは現地国に暮らす華人によるものだと推測されるが、頭打ち感が出てきたECサイトの新たな発展空間として、海外からの越境購入に力を入れていく可能性もある。アリババは、すでに国際物流+越境ECサイト「Ali Express」の増強を始め、来年の独身の日に備え始めている。

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