中国では、百度以外にも無人運転技術の開発を行っている企業が複数ある。しかし、その多くは乗用車ではなく、バスやトラックなどの商用車での無人運転を目指している。その方が実用化が早いと考えられるからだ。北京図森未来は、上海で無人トラックのコンボイ走行に成功したと今日頭条が報じた。
無人運転は貨物輸送に向いている
自動車の自動車運転技術をリードしているのは、グーグル(ウェイモー)と百度(アポロ)の2チームだが、いずれも乗用車の自動運転、ドライバーレスを目指している。しかし、自動運転を応用しやすいのは、個人向け乗用車ではなく、商用車だ。
個人の乗用車は、移動の途中でさまざまなイベントが発生をする。例えば、突然、ファストフードに入る、トイレに寄りたくなるなど、突発イベントが多い。しかし、商用車では純粋に移動をすればよく、特に貨物運送では、移動以外のことはほとんど要求をされない。
Mercedes Future Truck 2025 autonomously driving truck premiere - Autogefühl
▲メルセデスベンツのフューチャートラック2025のプロモーション映像。北京図森未来の強力なライバル。北京図森未来では、2018年に最初の製品を発売したいとしている。
CEOが助手席に。運転席には誰も座らない
このような発想で、トラックの無人運転を実現する目的で2015年9月に設立されたのが、北京図森未来だ。今年6月には、米国カリフォルニア州での無人運転許可を取得し、7月からはカリフォルニア州で試験運転を開始。11月5日は、上海市の公道上で、3台のトラックがコンボイ走行する無人運転試験を行った。
北京図森未来の無人運転技術は、全長17mのトラックに、8台のカメラ、3組のミリ波レーダーを取り付け、200m以内の状況を捕捉しながら、リアルタイムに運転判断をしていくというもの。今回の実験は、陳黙(ちん・もく)CEOが自ら助手席に乗り、運転席には誰も座らないというものだった。
これで、2回のUターン、2回のトンネル通過、1回の障害物回避、数回の右左折を行いながら、予定されたコースを最高時速40kmで問題なく無人運転をした。
▲北京図森未来の陳黙(ちん・もく)CEO。公道試験のトラックの助手席に座り、自ら試験を監督した。
▲北京図森未来創立者の侯暁迪(こう・きょうてき)CTO。上海交通大学卒業で、画像解析の研究をしてきた。技術、経営の中心人物。
関係法規の緩い中国は、試験走行に有利
商用トラックの無人運転技術を開発しているのは、北京図森未来だけではない。有名なものでは、メルセデスベンツが開発中のフューチャートラック2025がある。文字通り、2025年の実用化を目指しているが、北京図森未来では、人と無人運転を組み合わせるタイプのものを2018年には発売にこぎつけたいとしている。ドライバーが乗車し、市内地など交通環境が複雑な部分は手動運転で、都市間高速などでは無人運転で、しかも数台のコンボイ走行をすることを目指している。
北京図森未来は、米国と中国の両国で試験走行を進めていくが、中国の方が関係規制が緩く試験走行を実行しやすいため、今後も中国での公道試験を進めていきたいとしている。
▲コンボイ走行する無人トラック。理論上は何台でもコンボイ走行させることができるので、この技術が実用化すると、陸上輸送の効率は格段に進歩する。
▲北京図森未来のトラック。すでに走行試験は何度も行い、今回初めて、公道上のコンボイ走行の試験を行った。
▲北京図森未来の無人運転トラックは、一般のトラックに、8台のカメラ、3組のミリ波レーダーを取り付け、200m以内の状況を把握しながら運転判断をする。