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アリババが、無人スーパー、顔認証レストランに続き、無人レストランを開店

アリババのサプライズが止まらない。無人スーパー、顔認証レストランと、最先端IT技術を投入した店舗を次々と実現してきたが、次は「無人レストラン」を杭州市に開店した。スタッフがオーダーを取りにくることもなく、レジで支払いをすることもなく、財布もスマートフォンも不要のレストランになったと電商極客が報じた。

 

スマートフォンも不要。決済も顔認証決済

この無人レストランを利用するには、事前にタオバオかアリペイの会員になり、自分の顔写真を登録しておく必要がある。決済は、顔認証で紐づけられたアリペイ口座から行われる。この事前登録をしておけば、スマートフォンを持っていく必要はない。

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▲視察にきたジャック・マー会長。ホラ吹きとまで呼ばれるほど、近未来世界を口にしてきたが、そのほとんどを実現している。今、世界で最も注目されているビジョナリストの一人だ。

 

テーブルで、メニューを操作して注文

レストランに入ったら、空いている席に座る。この無人レストランの最大の特徴は、テーブルがモニターになっていて、テーブル全体にメニューが表示されるという点だ。座るだけで自動的に顔認証が行われる。

このテーブルに表示されるメニューは、同時に複数の人が操作をすることができる。また、パーソナライズもされていて、その人におすすめのメニューが表示をされる。さらに、同じ料理でも辛さを調節するなどのオプションも指定できる。

このテーブルは、タッチパネルではなく、Kinectのようなモーションで操作をする。手をかざしてアイテムを移動させたり、手で払うようにスワイプをする。

注文が決まったら、その時だけ、タッチをする。すると、バックヤードキッチンに伝わり、料理が作られ、できあがると、このときだけスタッフが料理を運んでくる。料理を待つ間、テーブルではゲームも楽しめる。4人テーブルでは麻雀ゲームも用意されているという。

食事が終わったら、そのまま席を立って帰るだけ。自動的にアリペイの口座から代金が引き落とされる。

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▲テーブルの操作は、タッチではなく、モーション。これを体験するだけでも、行く価値のあるレストランだ。

 

目標は、数年で10万店舗

アリババによると、このレストランのランニングコストは、一般のレストランの1/4になるという。数ヶ月、杭州店で、問題点を洗い出し、一気に中国全土に広げるという。目標は数年間で10万店舗を達成することだという。

この無人レストランは、開発、運営をしているアリババよりも、ネット民たちが興奮気味だ。客の目の前に現れるスタッフは、料理を運ぶスタッフと食器を片付けるスタッフだけで、そう遠くない将来ロボットに置き換えられるのではないかとネット民たちは期待をしている。また、バックヤードキッチンの様子は報道陣にも非公開だったが、ネット民たちは「すでに人間ではなく、ロボットが料理を作っている」と噂している。そんなことはないと思うが、相当に自動化、機械化をしていることは間違いないだろう。

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▲テーブルメニューは腕のモーションで操作する。複数人で、同時に操作することも可能だ。ゲームもできるようになっており、このテーブル体験が、このレストランのウリになっている。

 

大ボラを次々と実現してきたジャック・マー会長

この10万店舗という強気の目標に対して、一部では、「また、ジャック・マーの大風呂敷では?」という声もあがっている。アリババのジャック・マー会長は、常に世の中が驚くような発言をする。「銀行を変える」「スタッフのいない無人スーパーを開店する」「スマートフォンもいらない顔認証のレストランを開く」。そのような発言のたびに、世間は「ジャック・マーはホラ吹き」と嘲笑ってきた。しかし、アリペイで銀行を変えてしまい、杭州市にAmazon Goよりも先に無人スーパーを開店し、顔認証レストランKProを開店してきた。

ホラのような大風呂敷を広げながら、着実に現実のものにしてきている。この無人レストランの「数年で10万店舗」という発言も、実現の可能性は決して低くない。コンビニなどのイートインコーナー、百貨店やスーパーの一角のイートインコーナーなどには最適なシステムだからだ。料理はレトルトやファストフードの類になってはしまうが、運営側からは、人手も必要なく、飲食の専門知識も必要ない。大規模なレストランよりも、4人から20人程度の小規模イートインコーナーに向いているシステムだ。

もし、アリババがそのような用途を想定しているのだとしたら、10万店舗達成はまったく無謀ではなく、むしろ控え目な数字だと言うべきだろう。

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