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北朝鮮でも始まったシェアリング自転車。なぜ今、自転車なのか。

中国ではシェアリング自転車が完全に生活の中に定着をして、市民の足として活用されている。その影響だろうか、なぜか北朝鮮平壌市でもシェアリング自転車のサービスが始まっているとBusiness Insiderが報じた。

 

かつて自転車が禁止されていた平壌

面白いことに、平壌市では、自転車に乗ることは原則禁止だったという。自転車に乗るには、特別な許可を得る必要があった。なぜ、自転車が禁止されているか、その理由は不明だが、政府が「自転車は時代遅れの交通機関」と見なし、首都である平壌市に自転車はふさわしくないと考えていたからではないかと推測されている。

しかし、近年になって、自転車の利用が許されるようになり、2015年には自転車専用道路も設けられるようになった。

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平壌市内では、最近まで自転車に乗ることは禁じられていた。しかし、現在では自転車専用道路までできている。経済制裁の効果が現れて、石油を消費しない自転車にシフトしているのだとする観測もある。

 

地下鉄の8倍以上の料金のシェア自転車

今年の3月ごろから、地下鉄の駅やバス停付近に、駐輪場の建設が始まり、市民の間で、一体何の施設なのかと話題になっていた。そして、今年6月から、平壌市全体で50台のシェアリング自転車が投入され、サービスが開始した。

利用料は、1分40朝鮮ウォン(約5円)と意外に高い。平壌の地下鉄が5朝鮮ウォン均一なので、気軽に利用できる市民の足というわけではなく、かなり贅沢な乗り物になる。

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▲バス停付近に突如出現したシェアリング自転車駐輪場。市民の間では、一体なんの施設ができるのかと話題になっていた。

 

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▲利用をするには、写真にあるテンキーを使って、自分の暗証番号を入力する。スマートフォンは不要。ただし、乗り捨てはできず、駐輪場に返却しなければならない。

 

経済制裁による効果だという観測も

なぜ、北朝鮮は、シェアリング自転車を始めたのか。一部では、北朝鮮に対する制裁の効果が表れているのではないかと考える人もいる。北朝鮮内の石油が経済制裁により不足をし、価格が急騰しているという。そのため、エネルギー消費の大きい自動車は一部の支配層しか利用することができず、公共バスや地下鉄も本数が間引かれ市民は不便をしているという。そこで、エネルギー消費の不要な自転車にシフトをしているのではないかと考えられている。

多くの国は、自転車がエコな移動手段であり、人間にとって自然な乗り物という意識で、自転車の価値を再発見している。しかし、「自転車は時代遅れの乗り物」として排除してきた北朝鮮は、エネルギー不足により、再び時代遅れの自転車に回帰しようとしているのかもしれない。

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平壌市を離れると、地方ではいまだに自転車が市民の主要な交通機関になっているという。

そうだったのか! 朝鮮半島

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