中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

鮮明になる中国産スマートフォン人気。後退するアップルとサムスン

調査研究機関「企智酷」は、スマートフォンのブランド力を調査した「2017中国携帯電話消費、ブランド力報告」を公開した。中国産スマホのブランド力が上昇し、相対的にアップルやサムスンのブランド力が低下していることが鮮明になった。

 

iPhoneはもはや革新ではなくなっている

中国でも、スマートフォンの買い替え期間は次第に長くなる傾向にある。特にiPhone場合、1年以内に買い替える人は少なく、3年以上の長期にわたって使う人の割合が高い。

最も大きな理由は、他のスマートフォンに比べて価格が高いので、そう簡単に買い替えるわけにいかないという理由もあるだろう。しかし、後のアンケート調査でわかるように、中国のユーザーはiPhoneに革新性をあまり感じていない。保守的で使いやすいスマホという認識で、それを長く使い続けるという感覚なのだと想像できる。

一方で、中国産スマホは、価格が安く、革新的だと感じている。そのため、新機能が出れば買い替えるという感覚がまだ残っているのだと思われる。

f:id:tamakino:20170921092749p:plain

▲以前の中国では1年程度でスマートフォンを買い換えるのが普通だったが、どのブランドでも買い替え期間が長くなっている。特にiPhoneは3年以上使っている人も増えてきている。

 

iPhoneは「使いやすいスマホ

Androidと比較をして、iPhoneのメリットを尋ねると、圧倒的に多いのが「iOS

の使いやすさ」という回答になる。次は性能で、意外にもデザイン、ブランド、革新性はさほど高くない。つまり、中国人ユーザーにとって、iPhoneは「使いやすく高性能。だから高くても仕方がない」という認識で、日本人の多くが感じている「デザイン、ブランド、革新性」という感覚とはかなり違っている。

一方で、iPhoneに比較をしてAndroidのメリットを尋ねると、「価格」「Andoroidの使いやすさ」がくる。

f:id:tamakino:20170921092754p:plain

iPhoneの魅力を尋ねると、iOSの使いすさ、性能が上位にくる。意外なことに革新性は高くない。

 

f:id:tamakino:20170921092801p:plain

Androidの魅力を尋ねると、1位にくるのはやはり価格。また、バッテリーも意外に高い。

 

信頼を勝ち取っているファーウェイ

現在使っている機種への満足度は、当然ながらアップルが最も高いが、中国産スマホも決して悪い数字ではない。中国産スマホの品質が急速に上がり、iPhoneに迫っていることがうかがわれる。一方で、サムスン発火事故などもあり、「高い割に中国産スマホと変わらない性能と機能」という認識が多く、満足度が頭抜けて低くなっている。

「次も今使っているのと同じブランドを選択するか」の回答では、アップルを抜いてファーウェイが首位になった。満足度が高く、価格も手頃なファーウェイが人気になっていることがわかる。

f:id:tamakino:20170921092807p:plain

▲利用者に聞いた満足度。アップルは依然として満足度が高いが、ファーウェイなども満足度を上げてきている。

 

f:id:tamakino:20170921092817p:plain

▲それぞれの機種を使っている人に、次も同じブランドを購入するかを尋ねた結果。ファーウェイの忠誠度が高くなっている。

 

iPhoneのネックはやはり価格

iPhone 8/8 Plusの魅力を、「iPhone 8/8 Plusの購入を考えている」人に尋ねると、ワイヤレス充電がいちばん人気となった。ただし、中国産スマホでQiのワイヤレス充電に対応していることは普通で、iPhoneだけが対応していない状態だった。そのため、「ようやくiPhoneもワイヤレス充電に対応してくれたから」という消極的な理由である可能性がある。

注目すべきなのは、「魅力はないが、買う」と答えている人が多いことで、まだまだアップルブランドに対する忠誠度は失われていないようだ。

同じく、購入を考えている人にiPhone Xの魅力を尋ねると、「ベゼルレス」が1位になる。これも、すでにシャオミーがMi MIXでベゼルレスデザインを実現しているため、中国人にはiPhoneがシャオミーの後追いをしている感覚がある。

日本人にとっては、Qi対応もベゼルレスデザインも「革新」に映るかもしれないが、中国人にとっては「今さら」「ようやく」の感覚なのだ。iPhoneの「革新」のイメージが完全になくなっている。

また、「iPhone Xを買わない」と答えた人に理由を聞いたところ、価格の問題が1位にくるのは当然としても、「ホームボタンがない」「前面の前髪のようなデザインがダサい」という答えも多かった。特に前髪を垂らしたデザインは、女性の「小劉海」という髪型にそっくりであり、からかいの対象になっている。

中国でのiPhoneの売上は下がり続け、中国産スマホの売上が伸びている。さらには、ファーウェイ、シャオミーはアジア圏での売上を伸ばしている。中国では、今年、スマホの業界地図が大きく変わるかもしれない。

f:id:tamakino:20170921092823p:plain

iPhone Xを購入すると考えている人に、決め手となった魅力を尋ねた結果。ワイヤレス充電が魅力だと答えた人が多かったが、中国産スマホの多くはQiに対応している。「魅力はないが買う」と答えている人の割合も多い。

 

f:id:tamakino:20170921092832p:plain

iPhone 8を購入すると考えている人に、決め手となった魅力を尋ねた結果。ベゼルレスデザインと答えた人が多かったが、これもシャオミーのMIXがすでに行っている。iPhoneに「革新的」のイメージはもはやなくなっている。

 

f:id:tamakino:20170921092838p:plain

iPhone Xを購入しないと答えた人に、その理由を尋ねた結果。やはり価格の問題が大きなネックになっていることがわかる。

 

f:id:tamakino:20170921092842j:plain

iPhone X上部の切り欠きのような部分は、女性の前髪を強調した髪型である「小劉海」と呼ばれ、中国のネット民の間では、iPhone Xをからかう時の常套句になっている。

tamakino.hatenablog.com