中国各地で、子ども用ショベルカーが思わぬヒットになっている。スマホ決済で40元(約670円)を支払うと5分間遊べるというもので、遊具としての価格は高いが、子どもたちが行列をするほどの人気になっていると匯租平台が報じた。
中国の子どもたちが大好きなショベルカー
子どもが夢中になる遊具というのは、多くは、大人が使う道具を子ども用にアレンジしたものだ。子ども用の電気自動車であれば、大人が自動車を運転する姿を見て、「自分も運転したい」と思う気持ちを満たしてくれる。
都市開発が年中行われている中国の子どもは、建設機械が大好きだ。その中でも、中国各地で圧倒的な人気があるのが、子ども用のショベルカーだ。電動で動作し、2本のレバーを使って、アームとショベルを操作するので、子どもにはやや操作が難しいが、親子で訪れてお父さんが使い方を教えたり、監視員が操作を教えたりしながら、子どもたちは砂場に入れられた砂を掘って遊んでいる。
この子ども用ショベルカーは、スマホ決済で40元を支払うと、5分間遊べる。子ども用遊具としてはかなり高額だが、それでも行列ができるほど人気で、遊園地だけでなく、公園の中にも設置されたり、私有地で商売を始める人なども登場し、さらには市や町のイベントでは、必ずといっていいほどショベルカーコーナーが設けられるなど、中国全土でちょっとしたショベルカーブームになっている。
▲ちょっとしたスペースがあれば、砂場とショベルカーを設置して、ショベルカーコーナーができてしまう。どこでも行列になるほどの人気だ。
▲本格的に砂を掘るショベルカーも大人気だ。都市が急速に発展する中国では、ショベルカーは子どもたちにも馴染みがある。
入学者減に悩む職業訓練校の逆転のヒット
そもそもは、山東省済南市にある技術系の職業訓練学校、山東藍翔高級技工学校の入学者数が減少したことから始まった。経済成長する中国では、建設機器のオペレーターは何人いても足りないほどだが、経済成長するとともに、建設関係者の報酬は相対的に下がっていった。きつい仕事をするよりも、デスクワークを志向する若者が増えていったのだ。
さらに、山東藍翔では、学校運営にまつわるスキャンダルが指摘されたこともあり、入学者数が減少していった。
これをなんとかしなければならないと教師陣たちが考えたのが、子ども用ショベルカーを開発して、小さな子どもたちに建設機械を操縦する面白さを体験してもらうこと。今では、子ども用ショベルカーの人気を見て、さまざまなメーカーが製造し、中国各地で、子ども用ショベルカーのイベントが開かれるようになっている。
確かに写真を見るだけでも楽しそうで、日本でも流行るかもしれない。中国では、各方面から「遊びと学びが融合した素晴らしい例」として絶賛されている。
▲操作はレバーで行う本格派。子どもたちにショベルカーの操作を体験してほしいというところから始まった。
▲電動で動作する遊具のショベルカー。ビニールボールを洗面器に移して遊ぶ。