中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

AIがツボを発見。シンガポールの企業が開発したマッサージAIロボが、ただいま臨床試験中

シンガポールの企業がAIを利用したマッサージロボを開発した。ツボを感知し、自動で適切な強さ、動きのマッサージを行う。しかし、人のマッサージ師の代替ではなく、人とロボットが分担作業をすることで、マッサージ業の生産性を上げることが目的だと紅星新聞が報じた。

 

シンガポールのAiTreatが開発したマッサージAIロボ

疲れや凝りをとる中国按摩マッサージ。そのAIロボットが登場した。開発したのはシンガポールで創業されたAiTreat(https://www.aitreat.com)。マッサージロボ「EMMA」(エンマ)は、AIによりツボを感知し、症状に合わせて指、手のひらを模した2つの腕で適切なマッサージを行う。強さ、範囲などは、皮膚や筋肉の硬さを測定しながら自動調整される。また、患部に触れる部分は40度に温められ、マッサージ効果を高めるようになっている。

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▲AiTreatが開発したマッサージAIロボ「エンマ」。現在、ドイツ、中国、シンガポール臨床試験が進んでいる。

 

人とロボットの分業で、マッサージをアップグレードする

AiTreatの創業者である張偉業(ジャン・ウェイイエ、アルバート・ジャン)CEOは、紅星新聞の取材に応えた。「漢方などの中国伝統医学の大原則は、患者に合わせて治療法を考えることです。エンマは患者に合わせてマッサージを行います」。

アルバート・ジャンCEOはシンガポール南洋理工大学で生物医学を専攻した。2015年に南洋理工大学の関連会社としてAiTreatを創業した。中国伝統医学は、患者の体質や個性に合わせて治療計画を立てる素晴らしい医学だが、同時にその診断と治療には無駄も多いことを実感していた。この無駄を省いて、中国伝統医学をより優れたものにしたいというのが創業のきっかけだ。

しかし、マッサージ師をロボットに代替することは考えていないという。実は、マッサージ師の仕事の中で、体の凝りをほぐす、痛みを取るというのは10%程度で、90%は体質を改善していくために体のツボを刺激することなのだという。この体質改善のためのマッサージは、どのツボを刺激していくかの正解はなく、患者の体調の変化を見ながら、会話をし、試行錯誤をしながら治療方針を立てていくしかない。このような治療計画を立てることはエンマにもできないことで、人間のマッサージ師の仕事になる。

つまり、決まりきったマッサージはエンマが行い、人間のマッサージ師はより高度な治療を行うことで、効率を上げ、マッサージ師の収入を上げ、同時に按摩治療をより低価格で提供することが目的だ。

従来の方法であると、マッサージ師は一度に一人の患者しか診ることができない。しかし、エンマを2台導入すると、同時に4人の患者を診ることができるようになる。

エンマは現在シンガポールの8つの治療院に合計11台が導入されている。

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▲アタッチメントには「指」と「手のひら」の2種類がある。

 

科学的な裏付けが難しい中国伝統医学の弱点

2018年、WHOは国際疾病分類(ICD-11)を公表し、この中で中国伝統医学に関する記述を盛り込んだ。国際疾病分類は、世界中の病院で参考にされる他、健康保険などの基礎資料ともされるもので、これ以降、漢方や中国伝統医学が世界に広がり始めている。

しかし、批判もある。中国伝統医学の多くは経験によるもので、その科学的な裏付けがなされていないことも多いのだ。

中国の医学者、屠呦呦(トゥ・ヨーヨー)は、抗マラリヤ薬の開発が難航している状況を見て、漢方を応用することを思いついた。中国各地のベテランの中国伝統医学の漢方医を訪ね歩き、640の処方を収集し、2000の漢方薬を調査し、380の薬草から抽出物を取り、マウスで試験を行なっていった。そして、ヨモギの一種であるクソニンジンからマラリア原虫の活動を抑える抽出物を得た。それを分析することで、アルテミシニンが有効成分であることを突き止めた。さらに、化学構造と薬理作用を明らかにしたことで、熱帯の途上国での健康増進を飛躍手に進歩させたとして、2015年にノーベル生理医学賞を受賞している。

このような稀な例はあるものの、多くの中国伝統医学には科学的な裏付けがなく、その裏付けをとっていくことは非常に難しく、手間のかかる作業だ。

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▲マッサージは圧迫を繰り返すことで、滞留している血行を促すことで、患部の老廃物を除去するというメカニズムが明らかになっている。

 

科学と経験を融合するマッサージAIロボ

その点、エンマはうまく機械と人が作業分担をしている。凝りをほぐすというのは血行が停滞する部分に刺激を与えて血流を促し、老廃物を効率的に除去することで改善されるという科学的裏付けがある。この部分は、AIロボットが担当する。

一方、体質改善のマッサージの多くは経験に基づくもので、科学的な裏付けがなされていない。ここは人が担当して、患者との信頼関係を築きながら進めていくというものだ。

現在、AiTreatでは、ドイツ、中国、シンガポールで同時にエンマの臨床試験を行うことを計画している。異なる人種、異なる地域で共通した治療効果を明らかにし、AIロボットによるマッサージ治療の有効性を訴えることができる科学的裏付けを得ようとしている。

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▲施術中の患者。エンマを2台導入することで、一人のマッサージ師が4人の患者を同時に診ることができるようになるという。

 

機械学習によるリコメンドがトレンド。EC「京東」、音楽サービス、TikTokのリコメンドシステム(上)

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明日、vol. 093が発行になります。

 

今回は、リコメンドシステムについてご紹介します。

リコメンド(日本ではレコメンドと言い方もよく使われます)とは、推薦の意味で、特定の人に最適な商品、サービス、コンテンツを紹介してくれる仕組みのことです。

多くの人になじみがあるのが、EC「アマゾン」の「この商品を買った人はこんな商品も買っています」ではないでしょうか。また、書籍などでは「あなたへのおすすめタイトル」、「読書履歴に基づくおすすめ」など、たくさんのリコメンドが表示されます。現代人は、膨大な商品、サービス、情報に囲まれているため、もはや自分で調査をして適切な対象を見つけることが難しくなっています。そのため、ネットサービスでは、いかに適切なリコメンドをするかが、売上をあげる大きな鍵となってきています。

 

中国のECではアプリを開くと、おすすめ商品がいきなり表示されます。多くの人が、このおすすめ商品を見て、その中から気に入ったものを買うようになっています。また、音楽やムービーのストリーミングサービスでは、どれだけ利用者の好みに合うコンテンツをリコメンドできるかが、そのサービスの品質に直結するため、リコメンドシステムの競争が激化をしています。

このリコメンドシステムは、エンジニアだけでなく、小売業者も強い関心を持っています。例えば、アリババの淘宝網タオバオ)で、どのような商品であれば、多くの人のおすすめに表示されるのか、中国版TikTok「抖音」(ドウイン)では、どのようなショートムービーであればリコメンドされて大量に配信されるのかを知りたがっています。利益に直結をするからです。

ちょうどグーグルの検索順位を上げるSEO対策(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)のようにリコメンドエンジンSEOのようなことが行われています。

 

グーグルの検索エンジンの検索順位は「たくさんのサイトからリンクを張られているサイトは有用」という考え方からスタートしたため、被リンク数が多いほど検索上位に表示されていました。そのため、初歩のSEO対策は、ダミーサイトをつくって、そこから対象のサイトに大量のリンクを張るというものでした。

これはある意味、グーグルの検索エンジンの隙をつく、ずる賢い方法です。そこで、グーグルは「SEO対策」対策を行い、検索順位を決めるアルゴリズムを日夜改善しています。グーグルが目指しているのは、検索エンジンの利用者に対して、最適のリコメンドをすることなのです。

中国の各テック企業のリコメンドシステムでも同じことが起きています。業者は自分の利益を上げるために、ずる賢い方法を含めて、次から次へとさまざまな手段を使ってリコメンドシステムを騙そうとします。提供側はそれを阻止する改善を行うことで、より精度の高いリコメンドシステムになっていくという企業と業者の競争も起きています。

 

リコメンドシステムの最もシンプルなアルゴリズムは、協調フィルタリングと呼ばれるものです。

例えば、ECを考えてみます。多くの利用者がたくさんの商品を買いますが、買った商品別にグループをつくることができます。この中で、A、B、C、D、Eの5つの商品を購入した人が多数いて、クラスター集団を形成していたとします。そこにある利用者がA、B、C、Dの4つの商品を買っていたとします。この利用者は先程のグループの周辺にマッピングされることになります。もし、Eの商品を買ってくれれば、大きな集団に属することができるわけです。この利用者にはEの商品をリコメンドすれば購入してもらえる確率が高くなると考えられます。

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協調フィルタリングは、購入履歴が近い集団と比較して、欠けているアイテムをリコメンドするというもの。

 

このように複数の消費者の購入履歴を比べフィルタリングして、リコメンド商品を炙り出すというのが協調フィルタリングです。イメージとしては、利用者を購入履歴に基づいてマッピングし、クラスター集団の周辺に位置する利用者に対して、購入すればクラスター内に入るような商品をリコメンドするというものです。

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▲利用者の購入履歴をマッピングし、周辺の利用者が購入をすればクラスター集団の中心(重心)方向に移動するようなアイテムがリコメンドの対象となる。

 

ところが、この協調フィルタリングは考え方はシンプルですが、実際の運用上はいろいろと問題があります。

最も大きな問題は、このようなシンプルな手法ではリコメンドの精度が出ないことです。問題は「買った」と言っても、それが必ずしも利用者の好みを反映しているとは限らないことです。

書籍のECを考えてみるとわかりやすくなります。書籍を購入したと言っても、「会社で業務上必要だから買った。感想は特になし」「面白いと思って買ったが、期待外れだった」「買っただけで読んでない」「ものすごく面白かった」と反応はさまざまです。これをすべて一緒くたにして、「買った=好み」という前提でリコメンドをしても、精度が出ないのは当たり前のことです。

そこで、多くのECでは、商品購入後に5段階評価することを求めるようになっています。この評価は、平均点などを商品の横に掲示をして、他の購入者の目安にすることにも使われますが、実は自分自身に対するリコメンドの精度を上げることにも使われているのです。

そのやり方は、協調フィルタリングで「買った商品」の部分を、「高評価の商品」に置き換えて利用者をグループ分けし、比較をして、そのグループに属するような商品をリコメンドするというものです。

さらに、「商品ページの閲覧履歴」「類似商品の購入」「リピート購入率」などさまざまな観点で、利用者をグルーピングしていくことにより、より高い精度のリコメンドが行われるようになっていきます。

 

しかし、どうしても解決ができない問題が計算コストです。利用者は常に買い物をしたり、商品ページを見るという行動をします。そのたびに、利用者のマッピングをやり直す必要があるのです。しかも、多くの場合、特に中国では月に数億人規模の消費者がECサイトを利用します。精度を上げようとすると、さまざまなパラメーターを利用する必要があり、それでまた計算量が増えてしまいます。結局、利用者が増えてくると、どこかで精度をあきらめるしかなくなってしまいます。

 

協調フィルタリングの計算量が大きいのは、利用者の行動を基礎データとしているため、利用者が行動してから計算をし、しかも新たな行動をすると再計算をしなければならないからです。

そこで、商品側の分析モデルを先に作っておいて、協調フィルタリングの計算量を減らす工夫などもされています。ただし、あまりにも商品分析モデルに軸足を置きすぎると、「カメラを購入した人に、他社のカメラがリコメンドされる」という意味のない、時には皮肉なリコメンドになってしまいます。

しかし、例えば、音楽ストリーミングサービスでは「聞いている曲に、似た曲を次にかける」ということができ、うまくハマるためによく用いられています。

 

いずれにせよ、多くのサービスサイトでは、協調フィルタリングという考え方を基礎にして、それを自社のサービスへの適合、運用などを考え、さまざまな工夫をし、独特のシステムを構築しています。

中国のテック企業では、この協調フィルタリングという手法の次に進み、機械学習を取り入れたリコメンドシステムの導入が主流になってきています。パラメーターを増やすことで精度をあげるのではなく、機械学習をさせることで精度をあげようという考え方です。

そこで、今回は、「EC京東の機械学習リコメンド」「網易雲音楽のラジオサービス」「抖音のコンテンツリコメンド」の3つについて、どのように機械学習が使われているのかをご紹介します。

 

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騒音トラブルとなっていった広場ダンス。指向性スピーカーの導入で、苦情をゼロに

中国で流行する広場舞。リタイアした世代が中心となり、派手な衣装で大音量の音楽に乗せて踊るチームダンスだ。全国大会も開催されるほど流行している。しかし、その大音量の音楽が騒音トラブルとなっている。上海市では指向性のあるパラメトリックスピーカーを導入することで、この騒音トラブルを減らすことに成功したと新民晩報が報じた。

 

騒音トラブルが相次ぐ広場ダンス

中国の朝。公園に行くと、朝の静寂な空気の中で、太極拳の演舞をするお年寄りがいる…。そんなイメージを持っている人もいるかもしれないが、現実は違う。ここ10年ほどで大流行しているのが広場舞(広場ダンス)と呼ばれるもので、リタイアした世代が大音量で音楽を流し、派手な衣装を着て、集団で踊る。全国的なコンテンストも盛んに行われるため、上位入賞を目指す本格的なグループも多い。朝の静寂などは吹き飛び、朝っぱらから、あちこちから騒音が流れてくるというのが中国の公園の朝だ。

この広場舞は朝だけではない。夕方から深夜まで続く。また、多くのグループが広場舞をするために場所が見つからず、街中のちょっとしたスペースでも行われるため、騒音に対する苦情が以前から多く、近隣住民と広場舞のグループの間でトラブルが起きることもしばしば起きている。

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▲典型的な広場舞。派手な衣装、派手な小道具、大音量の音楽というのが定番で、中国の公園ではどこでも広場舞が見られるほど流行している。

 

騒音を軽減するスマート広場舞システムを導入した上海市

上海市閔行区の古美路周辺では、このような苦情の多い場所が5カ所あるが、その中でもトラブルが多いのが古美人口文化公園だ。地区政府は、ここに「スマート広場舞システム」を導入した。試験運用して1ヶ月、この場所で騒音に対する苦情はゼロになった。

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上海市の古美人口文化公園ではリタイア世代が毎日広場ダンスを楽しんでいる。その騒音に対する苦情も多かった。

 

パラメトリックスピーカーを使い騒音を軽減

スマート広場システムとは、いわゆる指向性スピーカーやパラメトリックスピーカーと呼ばれるものが基本になっている。正面方向30度の角度には音が聞こえるが、この範囲を外れると音が急速に減衰をして聞こえなくなるというもの。

指向性スピーカーは、人間の耳には聞こえず、直進性が高い超音波を利用している。40KHzの音は周波数が高すぎて、人間の耳には聞こえないが、40KHzと41KHzの音を同時に発射をすると、差である1KHzの音が生まれ、人間の耳に聞こえるようになるという原理を元にしている。

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▲測定してみると、音の指向性がある方向では90dB以上だったが、50mほど離れると60dBほどに騒音が軽減される。

 

1月に15件あった苦情がゼロになる

実際には監視員が現地に配置され、朝8時から10時まで、夜7時から9時までの間利用され、50mも離れれば、音楽はほとんど聞こえなくなるという。それ以外の時間は、騒音を測定し、基準を超えている場合は解散を命じられる。

この場所では以前は1月に15件前後の苦情が出ていたが、スマート広場システムを導入して以来、苦情はゼロになった。ネットでは、「うちの近所にも導入してくれ」というコメントが相次いでいる。

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▲監視員が待機し、指向性スピーカーの管理や、基準を超えた騒音に対しては解散を命じる。

 

台湾の「電気サブスク」スクーター「Gogoro」が中国上陸目前。バッテリー事故解決の決め手となるか

バッテリー交換を専用ステーションで行う「電気サブスク」スクーター、台湾のGogoroが中国の大手企業と提携し、中国上陸を目指している。台湾では充電の煩わしさを解決するとして人気になったが、中国ではバッテリーの発火事故を防ぐという点で注目されていると車家号が報じた。

 

電気サブスクで話題のGogoroが中国上陸

台湾の電動二輪スクーター「Gogoro」(ゴゴロ)が中国でも販売される見込みになった。Gogoroは、中国の大長江集団、雅迪科技(ヤーディー、Yadea)と提携をした。前者は中国最大の燃料二輪車のメーカーであり、後者は中国最大の電動二輪車のメーカーであるため、中国でもGogoroの電動スクーターが見られるようになる。

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▲Gogoro3。台湾では若い世代から人気となっている。正面から見たっ姿がスライムに似ているというデザインも話題になっている。

 

バッテリーはステーションで交換をする

Gogoro(https://www.gogoro.com/tw/)は、台湾でユニークな電動スクーターを販売しているメーカー。性能やデザインだけではなく、「電気サブスク」とも呼ばれるユニークなシステムを提案し、エコやSDGs(持続可能な開発目標)の観点からも注目されている。

最新のGogoroシリーズ3では、2つのバッテリーを搭載し、満充電ではカタログ値で170kmの走行ができる。このバッテリーを自分で充電する必要はない。台湾全土に2100ヶ所以上あるGo Stationに行き、使い終わったバッテリーを開いている箇所に入れると、充電ずみの新しいバッテリーが取り出せるようになる。

利用料金は、月499台湾ドル(約2000円)の月額料金で315kmまで、以降は1kmあたり2.5台湾ドル(約10円)の従量制と、月1199台湾ドル(約4700円)の使い放題などのプランがある。スマホの通信量プランと同じような考え方だ。

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▲ステーションの空きにバッテリーを入れると、充電済みのバッテリーが飛び出てくる。ガソリンスタンドで燃料を入れるよりも手軽にエネルギー補給が可能。

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▲座席の下が収納とバッテリーになっている。ふたつのバッテリーを使い、ステーションで交換することができる。

 

電動バイクは充電が大きな課題になっていた

電動バイク、電動スクーターはバッテリーの充電が痛点になっている。Gogoro3はカタログ値で満充電の航続距離170kmになっているが、実際にはライトを点灯させたり、運転状況もあるので120km程度になる。これは台湾で一般的な125cc燃料スクーターの満タン航続距離よりもかなり短い。

しかし、燃料を補給するのは一瞬だが、バッテリーを充電するには時間がかかる。それを防ぐには、もう1セットのバッテリーを購入し、置いておくしかないが、バッテリーを交換するために家に帰らなければならない。この不便さが、電動バイクが主流になれない理由だった。Gogoroはこの問題点を解決したものだ。

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▲GogoroのGo Stationマップ。台湾全土で2104ヶ所の交換ステーションが設置されている。

 

中国では発火事故防止の点から注目される

この仕組みが中国で注目されている。なぜなら、電動バイクのバッテリーの発火事故が相次いでいるからだ。一部では、製品そのものに問題があるケースもあるが、多くの場合は使う側が定められた手順を守らないことにある。特に大きいのが、バッテリーを室内に持ち込み、充電したまま放置し、過充電させてしまうパターンだ。バッテリーが熱を発し、その熱が逃げない状態だと発火に至る。

メーカーでは、使用手順を守ってほしいと呼びかけているが、現実問題として、すべての消費者が正しい手順で充電することは難しい。本来は、バッテリー側に過充電や過熱を感知し、充電を停止する機能を備えるべきで、そのような機能の搭載も進んでいるものの、市場にはまだまだ対策されていないバッテリーが残ってしまっている。

Gogoroのような電気サブスクのシステムであれば、このような問題が一気に解消される。

 

https://www.bilibili.com/s/video/BV1kk4y167xe

▲上海で起きたバッテリー発火事故。突如として、一瞬で室内が炎に包まれる。

 

Z世代が好む機能が満載

Gogoroはこの電気サブスクだけでなく、デジタルネイティブ世代が好むさまざまなスマート機能を搭載している。専用のGogoro iQアプリと連動し、iPhoneのSiriを経由して「スタートさせて」「鍵をかけて」などの音声で操作ができる。また、アプリからリモートでライトの点灯などのセルフチェックをする機能もある。もちろん、バッテリーがあるGo Stationの位置を地図から検索をすることもできる。

また、正面から見たデザインが、スライムのようだと若い世代からは、デザインも歓迎されている。

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▲Gogoroの専用アプリ「Gogoro iQ」。始動前の自動診断やSiri経由で音声によるスタート、施錠などができる。

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▲ハンドルサイドには、ドリンクホルダーもつけられている。こういう細かいところまでデザインされていることも人気の理由のひとつになっている。

 

価格面での弱みを克服できるか

しかし、そのGogoroにも弱点がある。台湾での燃料、電動を含む二輪車の売り上げランキングで、2019年Gogoroは4位に食い込む健闘をした。しかし、2020年になって売り上げが大きく落ち込んでしまったのだ。

その理由はGogoro3で3万5980台湾ドル(約14.3万円)からという高価格にある。また、電気サブスクの月額料金も燃料代に比べると割高になる。それでも2019年に売れたのは、政府の補助金があったからで、それが減少をした2020年には如実に売れ行きが落ちてしまった。

Gogoroが中国に上陸をして、大長江集団、雅迪科技とともに、この課題をどのように解決していくのかが注目されている。

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▲Gogoroは2019年には二輪車売上(燃料・電動)で第4位と健闘したが、補助金が削減された2020年には売上が半減してしまった。中国で、この課題を克服して普及できるかどうかが注目されている。

 

 

中国のオンラインゲーム規制により初の18禁ゲームが誕生。レーティング制度の導入も議論に

未成年に対する週末3時間だけのオンラインゲーム規制が始まったが、未成年のアクセスを自主的に全面禁止するゲームも登場している。中国では初めての「18禁ゲーム」になったと二一新聞が報じた。

 

ゲーム規制が始まり、号泣する子どもたち

中国では、毎年9月から新学年が始まるため、子どもや学生に対する新たなルールも9月から施行される。コンテンツ規制を行う国家新聞出版署は、各ゲーム企業に通達を出し、18歳未満の未成年は、オンラインゲームを平日は禁止し、週末の金土日の午後8時から午後9時までの間しか遊べないようにする仕組みの導入を求めた。

この仕組みは、9月1日から施行され、18歳未満の子どもたちの間に動揺が広がっている。TikTokや快手などのショートムービープラットフォームには、ゲームにアクセスができず、泣き叫ぶ小学生の映像が大量にアップされている。

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▲王者栄耀にアクセスができず、泣き叫び暴れる子どもたちの映像が次々とショートムービーにアップされている。最初は笑えるものの、見ているうちにだんだんかわいそうになってくる。

 

週末になったらサーバーが落ちるという悲劇

この他、さまざまな問題が起きている。小学生に大人気のMOBA「王者栄耀」も規制の対象となり、9月1日と2日は平日であるため未成年はアクセスができない状態となった。そして、週末の4日土曜日の午後8時、アクセスが殺到したために、サーバーが落ちるという事件が起きてしまった。復帰をした時にはすでに午後9時直前になっており、未成年は週末にも遊べない状況になってしまった。

王者栄耀公式は、「親愛なる召喚師のみなさんへ」という公式コメントを出し、謝罪をし、有料アイテムを配布するなどの対応策を発表した。

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▲ようやく週末になり、王者栄耀が遊べると未成年が大量アクセスしたために、サーバーが落ちるという事故が起きてしまった。王者栄耀公式は「親愛なる召喚師のみなさんへ」として、謝罪をし、有料アイテムを配布する発表を行った。

 

抜け道、裏技はすでに小学生の間に拡散

ゲームのアカウントが未成年であるかどうかを判定するために、テンセントでは、身分証の登録と顔認証を求めている。これをすり抜けるのは現状では難しくなく、祖父や祖母といった大人にアカウントを作ってもらえばいいのだ(両親はさすがに協力をしてくれない)。すでにその方法はネットで流布され、子どもたちにとっては周知の方法となっている。

また、パブリックVPNを利用して、海外からのアクセスであると偽装をしてアカウントを作る方法も流布されている。未成年の制限があるのは中国の未成年のみで、海外ユーザーは対象外だからだ。

もちろん、このような不正に対して、テンセントは対策を始めている。

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▲未成年たちの間では、すでに規制を乗り越える裏技が出回っている。祖父にアカウントを作ってもらい、顔認証が必要な時はおじいちゃんの顔を借りるというもの。また、すでに大人が作成したアカウントを販売する業者も出現している。テンセントはこのような不正アカウントについても対策すると宣言をしている。

 

未成年だと疑われた60歳超絶技巧プレイヤー

王者栄耀で、朝方の午前3時、60歳の人がアクセスをして、キャラクターとして趙雲を使い、次々と5人に勝つというめざましいプレイを見せたことが話題になっている。周辺のプレイヤーから、あまりに華麗なプレイぶりに、ほんとうに60歳の人なのか?と疑われたのだ。

その通報を受けて、王者栄耀運営は調査をし、その結果を公表している。テンセント健康システムは、行動などから未成年の偽装アカウントではないかと判断をすると顔認証を求める仕組みになっている。このアカウントに対しては、今年3月から合計17回の顔認証を求めており、身分情報、顔認証ともに公安が保持する身分証データベースと一致をしているという。

プライバシー保護のため、いつ何時に顔認証が行われたかなどの詳細情報は公開できないものの、王者栄耀運営は、本人であると判定したという。つまり、プレイがめちゃめちゃ上手い60歳だった。

 

未成年を全面禁止にした「光と夜の恋」

同じくテンセントが運営し、女性から人気のある恋愛ゲーム「光と夜の恋」では、より厳しい措置がとられた。すでに8月から未成年が新規アカウントを取得することを停止していたが、9月1日からは規定どおりの週末のみのアクセス時間制限を始め、さらには9月25日からは未成年のアクセスを全面的に禁止する。

つまり、中国で初めての18+、18禁ゲームとなる。日本の18禁ゲームのような性的表現は、中国ではそもそも全面禁止されているため、「光と夜の恋」に露骨な性的表現はない。しかし、恋愛ゲームであるため抱擁などの恋愛表現があるため、そこを配慮したのではないかと思われる。


www.youtube.com

▲女性向け恋愛ゲーム「光と夜の恋」の公式ビデオ。未成年のアクセスが禁止され、中国で初めての18禁ゲームとなった。

 

お金よりも時間を返せと叫ぶプレイヤーたち

問題は、有料アイテムを販売していたことだ。未成年が有料アイテムを購入していて、まだ使っていない場合、それが無駄になってしまうことになる。運営側では、未成年アカウントについては返金手続きをするか、あるいは成年のアカウントに転送する仕組みを用意している。

しかし、利用者たちは怒っている。お金よりも時間を返せという投稿がSNSに相次いでいる。

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SNSでは運営に対する批判や怒りの声が相次いでいる。「これまで費やした時間をどうやって償うつもりなのか。最初から未成年は遊べないと言ってくれれば、このゲームはしなかったのに」というもの。

 

年齢レーティング制度の導入も議論に

すでに年齢によるレーティング制度もできている。中国音像デジタル出版協会(CADPA)が策定した「ネットゲーム推奨年齢」制度で、内容により、「8歳以上」「12歳以上」「16歳以上」の3つの基準がある。現在のところ、あくまでも推奨であって、強制的な制限ではないが、多くのゲーム運営で、このような基準を取り入れ年齢によるアクセス禁止措置をしていくことも議論されている。

映画などではすでにどの国でもレーティング制度ができあがっていて、推奨ではなく、年齢による視聴制限も行われている。ゲームも映画と同じような制限が行われていくことになると見られている。

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▲すでに中国にもCADPAが策定したゲームの年齢レーティング制度がある。現在のところは推奨だが、今後、ゲーム運営による自主規制の形で、年齢レーティング制度も導入されていくと見られている。

 

若い世代に広がる高齢者向けアプリのなぜ?通常版が嫌われる理由はポップアップ広告

高齢者のスマホ利用が増える中で、中国工信部はユニバーサルデザインの考え方に基づいた「高齢者版」のデザインガイドラインを発表し、各アプリがそれに沿って高齢者版アプリを公開している。ところが、最近、若者がこの高齢者版を好んで使う例が増えているという。その理由は広告だと北京日報が報じた。

 

高齢者向けデザインガイドラインを定めた中国工信部

「中国インターネット発展状況統計報告」(中国インターネット情報センター)によると、ネット利用者のうち60歳以上の人は11.2%になっている。高齢者のネット利用は、今までスマートフォンなどを使わなかった人が使うようになり、伸び続けている。

しかし、一方で、高齢者は視力や聴力に衰えもあり、アプリによってはうまく使いこなせない、あるいは使いこなすのに苦労をするということが起きていた。

そこで、工信部は「モバイルインターネットアプリ高齢者対応ユニバーサルデザイン規範」を発表し、高齢者向けのアプリのデザインガイドラインを定めている。

内容は非常に細かく、タイトル文字は30ポイント以上、本文文字は18ポイント以上、ポップアップ広告は禁止など多岐に渡り、消費者による評価、専門家による技術評価、開発元による自己評価の3つが行われ、100点満点で60点以上になると、高齢者向けアプリとして認められる。有効期限は2年で、2年以内に再度評価を受け直す必要がある。すでにアリペイ、百度、京東、高徳地図など著名な日用系アプリの多くが高齢者版を公開している。

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スマホ決済「アリペイ」の通常版と高齢者版。高齢者版の方がアイコンが大きくわかりやすく、余計な広告情報が省かれている。

 

広告や余計な情報が多すぎる

この高齢者版アプリは、多くの高齢者から歓迎をされているが、最近20代の若者の間で、高齢者版を使うことが広がり始めている。

その理由は広告だ。多くのアプリが開いた瞬間に起動画面広告が表示される。悪質な起動画面広告になると、数秒間はアプリのトップ画面に移れないケースもある。また、北京市で生活をする人は、アプリの都市選択で、当然北京市を選ぶ。すると、アプリの使用中に、北京市の飲食店や小売店のポップアップ広告により操作をじゃまされることがある。そのため、あえて海外の中国人にはなじみのない都市に設定するという裏技が密かに広まっている。広告がほとんど表示されなくなるからだ。

高齢者版では、ポップアップ広告(新しいウィンドウが出現する広告)がガイドラインによって禁止されている。そのため、バナー広告以外は出てこないため、操作をじゃまされることがない。そこで、合理的な若者たちが、高齢者版を使い始めているのだ。

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▲ストリーミングラジオアプリの「シマラヤ」。左が通常版で、右が高齢者版。決まったストリーミング番組を聞きたいだけの人には、高齢者版の方が使いやすい。

 

若者が使い始めた高齢者版アプリ

また、アイコンや文字などが大きくなるため、重要度の低い情報は削除され、必要なものだけが表示されるため、使いやすくなる。

このような高齢者版アプリは、メディアやネットでは「高齢者版」「長輩版」「老人版」などさまざまな呼ばれ方をするが、工信部の言葉では「高齢者対応ユニバーサルデザイン」(通用化設計)となっている。ガイドラインの中でも、高齢者だけでなく、障害者の利用も前提としたデザインが定められている。

若者たちは、この高齢者版のメリットに気づいて、煩わしくなく便利だという理由で使い始めている。今後もこの傾向はじわじわと広がりそうだ。

 

 

ITエンジニアになる農民工が倍増。変わる農民工、変わるテック業界

中国人力資源社会保障部は、北京市流入する農民工の統計を発表した。人数そのものも減少したが、農民工の就く職業統計に「ソフトウェア、情報技術サービス」が登場したことが話題になっていると八維説が報じた。

 

ITエンジニアは、今や農民工の就く仕事

ITエンジニア、プログラマーは自分たちの職業のことを自嘲気味に「碼農」(マーノン)と呼ぶことがある。コードの農民という意味だ。コードを書いて、システムを構築する仕事は、1行1行コードを書いていく辛抱が必要とされる仕事だ。そのつらさが、1本1本作物を育てていく農民と同じだという意味だ。

ところがこれが冗談ではなくなった。中国人力資源社会保障部は、「2020年北京市流入新世代農民工監測報告発表」という文章を公開した。農民工というのは、都市に農閑期に出稼ぎにくる農民のことだ。人力資源社会保障部は、北京市にくる出稼ぎ農民がどのような職業に就いて、どの程度の収入を得ているのかの統計を発表したが、この中で農民工が就く業界のひとつとして、「ソフトウェア、情報技術サービス」が登場するようになった。

ITエンジニア、プログラマーと言えば、ホワイトカラーの中でも高給が得られる職業だというイメージがあり、研究職、上級職ではあいかわらずその通りであるものの、決まりきったコードを書く仕事はもはや高いスキルを必要としなくなり、出稼ぎ農民が就く仕事になりつつある。それを政府機関が明確に認識したということが話題になっている。

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北京市に上京する農民工が就く仕事。住民サービスが多いが、ソフトウェア、情報技術産業が倍増をしている。人数としても交通運輸(運転手)よりも多くなった。「2020年北京市流入新世代農民工監測報告」(人力資源社会保障部)より作成。

 

スマホの出現が変えた農民工の意識

農民工というのは、2つの世代に分けられる。2000年代までは第1世代農民工で、大都市に出てきて劣悪な環境でも低賃金で働いた。農民は食べるものは自分で作っているので生活は豊かだが、現金収入に乏しい。子どもが生まれ、高い教育を受けさせたいと思うとお金が必要になる。そのために都市に出稼ぎにくるようになった。

農繁期には地元に戻るため、劣悪な環境、低賃金に文句を言うことも少なかった。都市は、この安い労働力を利用して大きく経済発展をした。今でも根強く残る「中国は安い労働力を使って粗悪な製品をつくる」イメージはこの頃のものだ。

しかし、スマートフォンが普及した2010年以降、農民工は大きく変わった。横の情報交換が活発となり、劣悪環境、低賃金を続ける企業には農民工が集まらなくなった。これにより、環境、賃金とも改善されていった。さらに、地方都市や農村の経済が発展することで、遠い大都市に出稼ぎに行くよりは、なじみのある地元周辺の企業で働く農民工が増えていった。また、農業そのものもECやライブコマースを活用し、現金が稼げる仕事になっていったため、農業に専念する農民も増えている。

今の農民工は、出稼ぎではなく、都市でなければできない仕事を求め、可能ならば都市に定着することを考えている若者が中心になっている。農民工の定義は「農村戸籍を持つ都市労働者」であり、出稼ぎよりも上京のイメージが強く、新世代農民工と呼ばれる。

中国人力資源社会保障部の発表の中でも、新世代農民工の学歴は大卒以上が21.2%となっている。また、遠方ではなく、北京市の場合、河北省、河南省などの近場の周辺地域の出身者が増加をしている。

 

情報技術産業に就く新世代農民工は倍増

北京市の統計によると農民工(地方出身者)の就く仕事でいちばん多いのは住民サービスや修理などだ。清掃やゴミの回収といったいわゆるエッセンシャルワークがいちばん多い。フードデリバリーの配達スタッフもこの項目に含まれる。

しかし、2019年から大きく伸びているのがソフトウェア、情報技術産業で、構成比4.2%から7.9%と倍増近くになっている。

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農民工の就く仕事別の平均月収。ソフトウェア、情報技術産業が突出して高く、しかも伸び続けている。プログラミングなどの業務は農民工の仕事になりつつある。「2020年北京市流入新世代農民工監測報告」(人力資源社会保障部)より作成。

 

報酬も情報技術産業が突出をしている

それも当然で、情報技術産業の報酬はずぬけて高いからだ。多くの分野で月収6000元(約10万円)が平均だが、情報技術産業では10571元(約18万円)が平均月収となっている。コードを書く仕事なので、誰にでもできるわけではないが、大学でプログラミング言語を履修していれば働ける。ITエンジニアとしては決して高い報酬ではないものの、農民工の報酬としてはじゅうぶん高いものになっている。

この傾向は今後も続き、テック産業は、大都市や海外の大学院を卒業した研究開発系のエンジニアと、地方出身の専門学校、大学卒業のエンジニアの二層から構成されるようになっていく。