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原神のヒットで変わり始める中国ゲーム業界。テンセント1強から戦国時代へ

中国のゲーム業界は、テンセントが図抜けて強く、それを網易が追いかけるという構図だった。しかし、独立系スタジオのmiHoYoの原神がヒットをし、独立系スタジオの活躍が目立つようになっている。独立系スタジオは最初から海外市場に目を向けるようになっていると 字母榜が報じた。

 

原神のヒットによる変わるゲーム業界

中国のゲーム業界は、テンセントを中心に回っていたが、その体制が崩れ始めてきている。テンセントの2020年のゲーム事業の収入は1561億元(約2.6兆円)。これはテンセント全体の収入の32.4%になる。また、中国全体のゲーム事業の収入は2786.87億元(約4.7兆円)で、テンセントが占める割合は56.0%にもなる。

しかし、その状況が変わりつつある。「原神」(げんしん)の登場だ。開発したのは独立系ゲームスタジオ「米哈游」(miHoYo、https://www.mihayo.com)。2020年9月にリリースして以来、2021年3月までに中国を除く海外市場で、1.29億ドル(約141億円)を売り上げた。

また、世界のiPhoneAndroid市場で、過去最速で10億ドル(約1100億円)の売上を達成した。わずか6ヶ月で10億ドルを達成し、これはポケモンGOの9ヶ月、リネージュMの10ヶ月の記録を塗り替えた。

3月の売上ランキングでは、テンセントの王者栄耀(Honor of Kings)、PUBG Mobileが1位、2位であるものの、「原神」が3位に上がってきている。

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▲独立系スタジオのゲームとしては異例のヒットとなった原神。広大なフィールドが設定されているオープンワールドRPG。マップ、機能ともに続々とアップデートされている。

 

独立系スタジオの躍進。テンセント、網易時代の終わり

このような独立系スタジオのゲームがヒットする現象は、原神だけではない。莉莉絲(Lilithhttps://www.lilithgames.com)の「万国覚醒」(Rise of Kingdoms)、「剣与遠征」(AFK Arena)、アリババの「三国志戦略版」、鷹角網絡(ハイバーグリフ、https://www.hypergryph.com)の「明日方舟」(Rhodes Island)など、テンセント以外のスタジオからヒットゲームが生まれてきている。

今まで、ゲーム売上ランキングの上位は、テンセントと網易(ワンイー)によって占められていたが、2018年頃から、その占有率は低下をしてきている。

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▲SensorTowerによる2021年3月のグローバル収益ランキング。上位1位、2位はテンセントだが、miHoYoの原神が3位に食い込んでいる。

 

テンセントに背中を向け、海外市場に目を向ける独立系スタジオ

中国国内市場では、テンセントや網易と競争をしなければならないことから、FunPlusとLilithは、戦略的に海外市場を開拓することで成長をしてきた。現在では、FunPlusとLilithが、テンセント、網易に次ぐ規模のゲーム企業となっている。

テンセントの戦略にも誤算が生じ始めている。有望なゲームスタジオが登場すると、テンセントはその豊富な資金力を使って、そのスタジオに出資、買収をする形でゲーム事業を成長させてきた。2020年の後半には、miHoYoにも出資を持ちかけたという。「無条件で、ただ株式を売ってくれればいい」という穏やかなものだったが、miHoYoはまったく応じなかったという。

いったん投資を受けてしまえば、その後も投資資金を受けることになり、さまざまな制約条件が課せられてくることになる。現在成功しているゲームスタートアップは、中国市場ではなく海外市場で成功をして、豊富な資金をすでに持っている。対象としている市場が異なるため、テンセントがいかに巨大であっても、さほどプレッシャーには感じていないのだという。

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▲リリース後10億ドルの収益を上げるまでの最短記録。原神がわずか6ヶ月と大幅に記録を更新した。ゲームのクオリティが高いこともあるが、積極的に海外市場に目を向けたことが成功の要因となっている。

 

バイトダンスもゲーム市場に参入

テンセントにとって、さらに悩ましいのが、TikTokを運営するバイトダンスが、朝夕光年(Nuverse、https://www.nvsgames.cn)を設立して、ゲーム市場に本格参入していることだ。3月22日には、「モバイルレジェンド:Bang Bang」の親会社である沐瞳科技(Moonton、https://www.moonton.com)を40億ドル(約4350億円)で買収し、テンセントに対抗することを宣言している。業界の中では、この買収は、バイトダンスがMusical.lyの買収にも相当し、ゲームとライブ配信、ショートムービーなどが融合した新しいゲームスタイルが登場することになると期待する人もいる。

ゲーム市場でのテンセントの地位が急に揺らぐことは考えづらくても、「テンセントその他」の状態から、主力ゲーム企業が鼎立する状態になる可能性が生まれてきている。ゲーム業界は大きな転換点を迎えている。

 

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