中華IT最新事情

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突如として売れ始めた電気自動車(EV)。中国のEVシフトが本格化

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明日、vol. 062が発行になります。

 

中国の電気自動車(EV)が売れ始めています。多くのメディアが「突如として」という言葉を使って報道するほど、意外なことだったようです。

日本でも名前を知られるようになった上海通用五菱(ウーリン)の宏光MINI EV(ホングワン)がかつてないヒット商品となっています。サイズは小さく、日本の軽自動車並みですが、価格が3万元(約49万円)ということもあって、製造が追いつかない人気ぶりになっています。また、デザインが愛らしいことから、改造をする人たちも現れて、ちょっとしたブームになっています。昔のチョロQの改造を実車サイズのEVでやっているような感覚です。

これだけであれば、このメルマガの「vol.006:中国のEVシフトは成功なのか。それとも失敗なのか?」でも、微型車(マイクロEV)がEV市場を牽引し、広西チアン族自治区の柳州市では、マイクロEVを優遇する政策を打ち出し、新エネルギー車(EV+プラグインハイブリット+再生可能エネルギー車)の比率が全国平均の5倍になっているという柳州モデルについても触れました。

柳州市と同じように、人口増加のペースに公共交通の整備が追いつかない地方都市では、柳州モデルを導入する例が現れ始めています。

このような小型EVは、歩く代わりに使う乗り物という意味で「代歩車」と呼ばれるようになっています。面白いことに、電動スクーターも代歩車と呼ばれます。小型EVと電動スクーターは同じカテゴリーの乗り物と見られているようです。

 

しかし、2020年後半からのEVの好調な売れ行きは、中級車から高級車のレンジでも起きています。人気なのは、テスラ、BYD、上海蔚来汽車(ニーオ)の3社で、テスラは数回にわたって価格を下げる改定を行い、人気の的になっています。また、ニーオでは2021年1月の新車ナンバー交付台数が7225台となり、1年前から352.1%も伸び4倍以上になりました。ニーオでは、これで6ヶ月連続して交付台数の記録を更新中です。

 

このEV人気の背景にあるのは、コロナ禍の影響であることは確実です。読者の方の中にも同じ感覚の人はたくさんいらっしゃると思いますが、コロナ禍により、マイカーでの移動が見直されているのです。言うまでもなく、他人と接触することなく、プライベートな空間を保ちながら移動ができるからです。

しかし、自動車全体の販売台数は下落傾向が続いています。2017年の2887.9万台をピークに下落傾向が続き、2020年もコロナ終息以降に市場は活気づきましたが、2020年全体では前年を超えることはできず、3年連続の下落となりました。この傾向は今後も変わらないと見られています。

一方で、新エネルギー車の販売台数は2019年にいったん下落をして、EVシフトの先行きが危ぶまれましたが、2020年は後半に大きな波がきて、136.7万台という記録を作りました。

コロナ禍で自動車での移動が見直され、今、車を買うのであれば環境に優しいEVだということになるのだと思います。

 

しかし、EVには数々の問題があり、消費者から敬遠されていることもお伝えしてきました。ひとつは満充電での航続距離の問題です。中級車以上では、バッテリー技術の進化により、航続距離500km以上、急速充電対応が当たり前になってきましたが、それでも泊まりがけの旅行に行く場合は、事前に充電ステーションの位置を把握しておく必要があります。通勤のように決まった走行をする場合や、日用の買い物など短距離の走行をする場合は問題がなくても、計画を立てない気ままなドライブ旅行や長距離走行が苦手なのです。つまり、休日に「今日は天気がいいから、どこかに行こうか」と思い立ち、適当に海の方に行ってみるというような気ままな走行には向きません。このような自由さの点では、やはりガソリン車に分があるのです。

 

この点でもコロナ禍が影響をしています。コロナ終息以降、「内循環」という言葉が使われるようになりました。本来は、「国内経済を回していく」という意味ですが、長距離移動の制限が続く中で、同じ省内、同じ都市内の観光地やアクティビティ施設を訪ねる意味でも使われます。移動距離と時間を短くして接触リスクを下げ、美しい景観や自然を楽しむという休日の過ごし方です。

このような日帰り旅行であれば、場所によっては途中充電なしで行けますし、途中で1回充電すれば間に合います。夕方の高速道路は渋滞をするのがわかっていますから、帰りは途中で高速を降りて、早めの夕食を食べながら充電をし、渋滞が解消した頃にのんびりと家に帰るというパターンも多いそうです。

しかし、EVの人気が高まっているのは、コロナ禍による行動の変化により、EVの弱点が薄まっただけではありません。EVメーカーも数々の工夫をして、消費者の関心を取り込もうとしています。それが功を奏してきた面も小さくありません。

メディアでは、このEV人気は「意外なのか当然なのか」という議論がされています。意外だと主張する人は想像もしていなかった嬉しい事態だと言い、当然だと主張する人はEVメーカーが積み上げたことが成果を結び始めたと言います。

では、EVメーカーはどのような努力をしてきたのでしょうか。今回は、動き始めたEVシフトについてご紹介します。

 

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