四川省の各病院にPCR検査バスが納入された。検体採取から検査、結果の5G送信が可能な設備を搭載したバスで、プール方式で1日最大2万人分の検査ができる。小規模クラスターに対する関係者、住人の検査だけでなく、隠れ感染者が潜んでいる可能性のある農村の検査にも活用されると中国客車信息網が報じた。
四川省の各病院にPCR検査バスが納入
中国で、PCRバスの開発が相次いでいる。バスメーカー「蜀都客車」(シュードゥー)は、昨2020年9月下旬に「5GスマートモバイルPCRラボ」を開発した。車内にPCR検査設備を備え、どこにでも移動をして、検体採取から検査までを行い、検査結果を5G通信で保健当局などに送信できるというもの。
広い駐車場などに出向き、検体採取会場を広くとる、さらに1/10のプール方式(10の検体を混合し検査。陽性が出たら検体を再検査して陽性者を特定)を行うことで、1日の検査能力は最大2万名になる。検査結果は、検体採取から最速で2時間で判明する。
このPCRバスが成都市の華西医院、四川疾病コントロールセンター、四川人民医院に6台納入された。四川省では、このPCRバスを300台購入する計画を進めている。
▲納入されたPCR検査バス。濃厚接触者を検査のために移動させるのではなく、地区を封鎖して、そこでPCR検査を行う。
BYDはPCR電気自動車バスを開発中
このPCRバスの開発は他のメーカーでも進んでいる。EVメーカーのBYDでは、バイオ企業の華大智造と協働して、P2のバイオセーフティーレベルを有した電動PCRバスの開発を始めている。外部電源のない状態でも、10時間、検査作業が行える仕様になっている。
▲BYDが開発中のPCR検査電気バス。大型バッテリーを搭載し、外部電源がない状態でも10時間稼働することが可能。
最後の掃討戦に活用されるPCR検査バス
中国ではすでに新型コロナは終息をしたと言っていい状態が続いているが、感染予防策は厳しいままで、遠距離の移動制限などが続いている。新規感染者の確認がまったくゼロになったわけではなく、無症状感染者や突発的なクラスター発生も起きているからだ。
今、中国は新型コロナの根絶モードに入っている。無症状感染者、小規模クラスターが発生した場合は、このようなPCRバスを携えたチームが急行し、その地域を封鎖し、住民、関係者全員にPCR検査を実施している。
▲蜀都客車のPCR検査バスのパンフレット。四川省では、近々に300台を購入する計画だ。1台で1日に2万人分の検査ができる。
農村に潜んでいる感染者を掘り起こす
また、もうひとつの懸念が農村であるという。農村にも新型コロナは広がっているが、検査施設まで遠い農村では、検査を受けない隠れ感染者が潜んでいる可能性がある。人が密集をする機会が少ない農村で拡大する危険性は少ないが、その隠れ感染者が都市に移動をすると、感染を一気に広げてしまう可能性がある。
そこで、農村に濃厚接触者が発見された場合は、PCRバスが向かい、一村まるごと検査を行う態勢がとられつつある。
感染の疑いがある人がいたら、その人を検査機関や治療機関に移動させるのではなく、検査機関や治療機関がその人のところに移動して、感染疑いのある人を移動させないことが完全終息にはきわめて重要になるとされている。
中国では新型コロナとの戦いが最終段階に入っている。