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若き天才ハッカーが拼多多を辞職。突然死、飛び降り自殺が続く拼多多に何が起きているのか?

中国だけでなく国際的に有名なホワイトハッカーFlankerが、拼多多を辞職した。しかし、そのタイミングが16億円分に相当する株式が取得できる満5年直前であったことから、この辞職についてさまざまな憶測がされていると黒客Anonyが報じた。

 

深夜帰宅の女性従業員が死亡

中国で最も成長が著しいソーシャルEC「拼多多」(ピンドードー)にいったい何が起きているのだろうか。

2020年12月29日、拼多多が始めた新しい社区団購サービス「多多買菜」の23歳の女性社員が夜11時半に帰宅途中で腹痛を起こし、同僚が救急車を呼び、ウルムチの病院で6時間の救命活動が行われたがそのまま死亡をした。

この問題は、世間から大きく注目されることとなった。ひとつは北京にいる友人が当人と連絡を取っていて、倒れた時刻が午前1時半だとSNSで発信をしたこと。帰宅時間が午前1時半というのはあまりにもひどいと大きな関心を呼んだ。

しかし、これは新疆ウイグルでは、新疆時間を非公式に導入しているため、現地時間は午後11時半だった。しかし、新疆時間は非公式であるため、報道では「北京時間午前1時半」と表記するため、多くの人が誤解をし、非難をした。

 

拼多多公式から発せられた無情なコメント

もうひとつ、決定的だったのが、Q&Aサイト「知乎」に立った「ネットで伝えられた拼多多の残業突然死をどう見るか?拼多多は責任を取るべきか?」というスレッドに、「拼多多公式」のアカウントがひどい返答をしたことだ。

その内容は「社会の底辺を見れば、みな命をお金に変えている。これは企業の問題ではなく、社会の問題だ。この時代に、安楽な暮らしを選ぶことはできるが、その安楽な生活の結果は受け入れなければならない」というもので、豊かな暮らしを得るために、命を削って懸命に働くことは仕方のないことだ、それは企業の責任ではなく、社会の責任だと主張しているように読める。これが、彼女の死に責任がある企業の言葉とは思えないと炎上をした。

この発言は、すぐに削除され、拼多多は「関係のある業者の社員が、公式アカウントに侵入して書き込みをしたもので、拼多多の意見ではない」と否定した。

さらに、飛び降り自殺をする従業員も現れ、拼多多の労働環境が過酷すぎるのではないかと疑いを持たれている。

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▲Q&Aサイト「知乎」に投稿された拼多多公式のひどいコメント。命を削ってお金を稼ぐことを肯定し、それは企業の責任ではなく、社会の責任だと述べている。拼多多は乗っ取りにあった偽のメッセージだと主張している。

 

著名ホワイトハッカーの不可解な辞職

それだけではなく、拼多多に席を置いていた天才ホワイトハッカーが、拼多多を辞職したが、これが拼多多の株式を取得できる勤続5年の直前であったことから、何か事件が起きて、解雇されたのではないかという話になっている。

この天才ハッカーとはFlanker。国際的なハッキングコンテスト「Pwn20wn」で、モバイル部門とPC部門の2冠を取ったこともある国際的に有名なハッカーだ。15歳で飛び級浙江大学に入学し、コンピューター科学を専攻した。19歳の時には、トップハッカーが集まる国際的なハッカー会議DEFCON(デフコン)のハッキングコンテスト「DEF CON CTF」で決勝に進み、中国人で初めての決勝進出者となった。

26歳の時に、拼多多に入社し、CSO(Chief Security Officer)として、拼多多のセキュリティを担当してきた。ところが、Flankerはもう少しで勤続5年になるところで拼多多を退社した。勤続5年になると、拼多多の株式をボーナスでもらえる契約で入ったので、その権利を失うことになった。具体的な株式譲渡の額は明らかにされていないが、1億元分(約16億円)を上回ると見られているため、この権利をみすみす捨てての退職が、さまざまな憶測を呼んでいる。

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▲若き天才ホワイトハッカーFlanker。16億円に相当する株式が取得できる満5年直前で辞職をした。普通はあり得ないタイミングであり、さまざまな憶測を呼んでいる。

 

拼多多が違法なハッキングを命令?

Flankerは退職の理由、事情について何も語ることはなく、ただ「私はすでに拼多多にはいない」とメッセージを出しただけだが、多くのホワイトハッカーたちは、他社へのハッキング攻撃を命令されて、それを拒否したことから解雇されたのではないかと見ている。

なぜなら、辞職する直前、Flankerは、ウェイボーで3つの謎のメッセージを唐突に発信しているからだ。それは「計算機の情報を破壊する行為は、中華人民共和国の刑法第286条に触れる」として、285条の計算機情報破壊罪を解説したメッセージを公開したからだ。これは、違法行為を命令されたFlankerが悩んで、メッセージを公開したのではないかと見られている。

これだけならたまたまの偶然ということもあるが、Flankerと親交のあるホワイトハッカーたちが、Flankerについてメッセージを公開している。

「一部の企業は、超えてはいけないラインを考えない。そのことを私はみなさんよりよく知っている。恐らくFlankerは、拼多多を解雇されたのだ。多くの人は、拼多多を恐ろしい企業だと感じたことだろう」というものだ。これは無名のネット民のものではなく、黙安科技の創業者兼CTOで、中国のホワイトハッカー界での著名人物。

さらに、「私たちホワイトハッカー界の天才がpdd(拼多多の隠語)により、1億元にのぼるボーナスを取得できる権利を踏み倒された。資本は、従業員を搾取することに懸命で、底辺の従業員は死に、技術の従業員は迫害死をする」とメッセージを公開したのは、情報安全専門家のsunwear。

さらに、テンセントのKEENチームの創始者、王琦は、2019年にFlankerから「拼多多が違法な任務を命令しようとしている」と悩んでいることを打ち明けられたという話をネットに投稿した。

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▲拼多多のオフィス。もともとハードワークで有名ではあったが、突然死、飛び降り自殺などが続き、拼多多の労働環境が問題視されるようになっている。

 

エンジニアからの評価が地に落ちる拼多多

いずれも中国のセキュリティ業界では名前のある人たちで、自分たちの世界に現れた若い才能に酷い仕打ちをした拼多多を非難している。そして、拼多多との労働契約に基づいて、事情を語らないFlankerを誠実な人物だと称賛している。

もちろん、周辺のホワイトハッカーたちの発言もあくまでも推測であり、本当の事情はFlankerと拼多多しか知らない。しかし、ホワイトハッカーやエンジニアの間では、短期間に成長したテック志向の企業として憧れの存在だった拼多多の評価は地に落ちている。この件に関して、拼多多は今のところ、コメントを出していない。