「まぐまぐ!」でメルマガ「知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード」を発行しています。
明日、vol. 050が発行になります。
このメルマガの趣旨は、中国事情に詳しくなることではありません。中国で生まれる新しいテクノロジーと、それを活用した新しいビジネスをご紹介して、みなさんの日々の仕事や学習のヒントにしていただくことです。
中国では、さまざまな分野で新しいテクノロジーが生まれ、それを活かした新しいビジネスが生まれています。新しいことを普及させるために、数々の素晴らしい工夫、アイディアが投じられています。
そのような今までにはなかった発想をお伝えして、みなさんのビジネスのヒントにしていただきたいというのが趣旨です。なので、中国テック企業そのものについて詳しくなる必要はないと言えばないのです。A社、B社という捉え方でじゅうぶんです。重要なのは5W1HのH=Howの部分です。
と言っても、企業名になじみがないと記憶にも残りづらいでしょうし、なぜそのような発想が出てきたのかという背景もわかりづらいと思います。そこで、今回は、中国の主要テック企業をご紹介します。
中国の主要テック企業は覚えるのは簡単です。なぜなら、米国よりもテック企業の系列化が進んでいて、主要テック企業といったら10社程度、多くても20社程度だからです。
まず、調査会社Trustdataによる最新版(2020年10月)のMAUアプリランキングを見てください。MAUというのはMonthly Active Users(月間アクティブユーザー数)です。1ヶ月の間、1人の人が10回使っても1人とカウントし、1ヶ月の間に何人が利用したかをカウントしたものです。MAUが大きいほどよく使われるアプリということになります。
ご存知ないアプリもあれば、ご存知のアプリもあるかと思いますが、注目していただきたいのはいちばん右端の列です。これはどこの系列かを示しています。例えば、「テンセント」と書いてあるアプリは、テンセントが開発し、運営したもの。それから、テンセントが出資をしているテック企業が開発、運営をしているものを表しています。
すると、3つを除いて、すべて大手テック企業の系列に入ってしまうのです。
▲2020年10月時点でのアプリMAUランキング。多くがBATなどの系列企業によって占められている。Trustdataの統計より作成
このような系列化を進めているテック企業がBAT(バット)です。BATとはB=百度(バイドゥ、Baidu)、阿里巴巴(アリババ、Alibaba)、騰訊(タンシュン、tengxun、英語名:テンセント、tencent)です。
日本のメディアでは、中国の巨大テック企業を表す文脈でBATをよく使いますが、中国メディアでは、BAT各社の巨大ぶりよりも、積極的にテック企業に投資を行い、系列化を進めているという文脈でBATという言葉を使います。例えば、「今後のBATの布陣はどうなるか?」などの記事では、BAT各社がどのテック企業の買収に動いているかということが論じられます。
このようなテックジャイアントは、新しいビジネスを始めるときに、自社で何から何までやるのではなく、系列企業を組み合わせてビジネスを構築するのが普通のことになっています。足りないパーツがあれば、買収に動きます。
例えばアリババが運営をしている新小売スーパー「盒馬鮮生」(フーマフレッシュ)では、百貨店、スーパー運営の「新華都」、食品物流の「三江購物」、即時配送の「ウーラマ」を組み合わせて構築をしています。アリババはこの3社に対して出資を行い、ウーラマの場合は完全子会社化をしています。さらに、ここにアリババのリソースである業務管理システム、クラウド、スマホ決済などを組み合わせて構築をしています。
アリババとテンセントは、どのようなサービスを展開するかの戦略を立て、それに必要なパーツを集めるかのように買収を行い、系列化をしていきます。その結果が、最初にお見せしたアプリランキングになります。
この中で、第6位の「ピンドードー」は、独立した企業ですが、テンセントの投資を受けているのでテンセント系に分類されます。元々、SNSを使ったソーシャルECという新しいビジネススタイルを生み出したため、WeChatというSNSを持っているテンセントとの相性もよかったのです。
BATの中で、百度だけが少し毛色が変わっています。百度はテクノロジー志向の企業で、サービス構築のためでなく、欲しいテクノロジーを持っているテック企業を買収していきます。現在は、自動運転と人工知能に注力をしていて、この2つの分野はまだ利益が生まれる段階に達していないため、業績は大きく下がってしまいました。
その隙にネット広告市場で頭角を表してきたのが、Tik Tokを擁するバイトダンスです。ですから、最近は「BATはBATでも、Bはバイトダンスだ」という人もいます。
また、BATを4文字に増やした言い方では、BATH、BATX、BATJなどという言い方も時々使われます。Hは華為(ホワウェイ、Huaweiファーウェイ)、Xは小米(シャオミ、Xiaomi)、Jは京東(ジンドン、Jingdong)です。
つまり、BAT3社と+された3社の合計6社を覚えていただければ、後は新しい企業名が登場してもどの系列の企業なのかを調べれば、だいたい中国のテック企業の布陣は理解できるかと思います。
そこで、今回はこの6社について、どのような企業なのかについてご紹介します。また、主要な生活関係サービスで、BATがどのような布陣になっているかもご紹介します。
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