中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

若い世代の利用が広がる中古家具売買サービス「閑魚」。新品購入にもプラスの効果

アリババの中古家具リサイクルサービス「閑魚」を始めとする中古品売買サービス、リサイクルサービスが好調だ。中古品に対する抵抗感が薄れた若い世代が中心の顧客になっている。中古品を売って、新品を買うなど、新品販売にもいい効果が生まれていると上観新聞が報じた。

 

中古品を使わなかった以前の中国人

少し昔の中国を知っている人には、中国人は中古品を使わないというイメージがあるかもしれない。

これには、2つの理由があった。ひとつは、当時の中国では新品ですら製品の品質に問題があるぐらいで、中古品ということはほぼ必ず何らかの問題を抱えている。そのため、中古品はいくら安くても、修繕費で結局損になるという事情があった。

もうひとつは人間関係の問題だ。使っている中古品をもらうということは、その人との人間関係に上下関係が生まれてしまう。そのため、社長が自分の使っている腕時計や車をあげるというのは社員から喜ばれる。認めてくれたということだからだ。しかし、対等な友人知人関係で、使っている製品をあげるというのは、上下関係を生んでしまうため避けられるのだ。無理にあげようとすると、相手に対して失礼になることもある。

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一眼レフカメラなど、一般商品では手に入りづらい機種の中古品に人気が集まっている。

 

若者向け中古品リサイクルサービスが好調

その感覚は様変わりした。特に90后(90年代生まれ)と呼ばれる20代にとって、中古品に対する抵抗感はまるでないようだ。さまざまなジャンルの中古品販売サイトが好調だ。家具、家電、電子機器、服飾品、骨董品から、フィギュア、ゲームアカウントまでさまざまなものが取引されている。

アリババが運営する中古家具の売買サービス「閑魚」(シエンユー)では、販売業者が3000万店あり、利用者の60%以上は90后だという。また、電子機器のリサイクルサービス「愛回収」では、18歳から34歳の利用者が63.48%だという。

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タオバオ内にある閑魚のコーナー。中古家具といっても修繕、洗浄はきちんとされている。運営の信用力が正否の鍵になるという。手持ちの家具を閑魚に売り、タオバオで新品を購入するというサイクルも生まれている。

 

タオバオで買い、閑魚に売る

アリババの閑魚は、うまいビジネスモデルを構築できている。というのは、閑魚は独立したアプリではなく、EC「淘宝網」(タオバオ)の中のコーナーとして設置をされているのだ。

利用者はタオバオでまず新品の家具を買う。それに飽きたりすると、閑魚に販売をする。すると、閑魚側で修理、洗浄などをして、中古品として販売をするというものだ。出品をした消費者は、家の中のスペースが空くために、新しい家具をタオバオで買える。中古品を買う消費者は、新品よりも安く買えるというものだ。こうすることで、タオバオ、閑魚両方のビジネスに貢献をしている。

アリババ閑魚プロダクト責任者の郭兵は、中央電子台の取材に応えた。「閑魚では、毎年8億件の商品が売買されています。一般的な商店では見つからないものもたくさんあります。例えば、あなたが子どもの頃遊んだゲーム機なども販売されています」。

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▲アリババの閑魚プロダクト責任者の郭兵氏。中古品市場では、一般商店では売っていない生産終了品なども入手できることが魅力になっているという。

 

シェアリングエコノミーが養ったシェアリング習慣

若い世代が中古品にこだわらなくなったのは、明らかにシェアリングエコノミーの影響だ。自転車、自動車、モバイルバッテリー、傘、ペットなどあらゆるもののシェアリングが進んだ。ビジネスとしてのシェアリングエコノミーは以前ほどの勢いはないものの、若い世代にシェアリングの習慣を広めた。

マンションに関しても10年前は、所有することが絶対だった。しかし、今の20代は賃貸を好む。修繕は管理会社任せにでき、いつでも引っ越すことができるという気軽さがあるからだ。

 

趣味の商品では掘り出し物中古品が人気

電子製品のリサイクル販売をしている「愛回収」の全国交付センター責任者の鄭先国は中央電子台の取材に応えた。「この2年、取引単価が上がり続けています。特に多いのが高級一眼レフカメラのレンズです。このような単価の高い、趣味の製品が取引されるようになったのが大きな変化です」。

カメラ、フィギュア、コレクターなど、特定の趣味を持つ人の間では、毎日、中古販売サイトで掘り出し物を探す習慣が生まれているという。特に、すでに生産停止になっている商品に人気が集まるという。

中古品といっても「安いからそれで我慢をする」ではなく、「それでじゅうぶん」「一般サイトでは販売されなくなっている掘り出し物を見つける」という感覚で利用されている。

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▲愛回収全国交付センター責任者の鄭先国氏。趣味に関する掘り出し物が取引されるようになり、取引単価は上がり続けているという。

 

運営の信用力が決め手になる厚利少売ビジネス

ただし、課題もある。中古品は問題を抱えている商品であることもあり得る。そのような「ハズレ」をつかまされた消費者は、中古品の購入をやめてしまうことになる。そのため、運営サイトの信用力が重要になる。商品の整備を丁寧に行い、問題が出た場合はすぐに連絡が取れ、返品や交換に応じるという体制が必要だ。

このような顧客対応にスマートフォンが役に立っている。アプリやWeChatミニプログラムから、チャット、IP電話などで連絡が取れるのは当たり前で、24時間、人工知能によるチャットボットでの対応をしているところも多い。

手間はかかるが、買取価格は安いため、利益率は高い。新品の販売が薄利多売になっているため、小規模でも利益を出しやすいビジネスとしても注目をされている。

ニチバン リサイクル可能クラフトテープ 50mm×50m巻 3185-50 黄土

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  • 発売日: 1998/12/04
  • メディア: オフィス用品