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新小売スーパー「フーマフレッシュ」が既存スーパーの限界記録を突破。宅配効率は20倍

アリババの新小売スーパー「盒馬鮮生」(フーマフレッシュ)が、1日の注文量2万件を突破する記録を達成した。これは店舗型スーパーの限界値を超えるもので、スマホ注文が可能なフーマフレッシュでは、さらにまだ伸び代が残されている。この効率を支えているのはレールシステムを始めとするフーマフレッシュの店舗デザインにあると深圳新聞網が報じた。

 

コロナ禍で定着をした新小売スーパー「フーマフレッシュ」

アリババが2016年から始めている新小売スーパー「盒馬鮮生」(フーマフレッシュ)。スマホアプリから注文をすると、生鮮食料品を半径3km圏内に30分配送してくれる。店舗で購入して、持ち帰ることも、重たいものであれば宅配をしてもらうこともできる。その時々の都合に合わせて、「店舗で/スマホで」注文し、「持ち帰る/宅配」を自由に組み合わせることができる。

以前から、既存スーパーの市場を蚕食する台風の目となっていたが、新型コロナ感染拡大により、外出や人との接触を避ける消費者からの注文が殺到。注文量は店舗により4倍から9倍に増加。一部の店舗では、30分配送が維持できず、前日までに配送時間を予約する方式に一時切り替えるほどだった。

新型コロナが終息してからも、その利便性を体験した消費者が利用し続け、売上は大きく増加している。

 

既存スーパーの限界記録を超えたフーマフレッシュ

そのフーマフレッシュで記録が生まれた。フーマフレッシュの第1号店である上海市浦東金橋店で、8月18日の注文数が2万件を超えた。店舗の客数は6000件で、70%がスマホからの注文ということになる。

この記録はフーマフレッシュにとってきわめて重要だ。なぜなら、浦東金橋店は5000平米という大型店だが、この面積のスーパーで店舗営業でだけであれば、1日の客数は2万人というのが限界だからだ。

このフーマフレッシュの記録は、従来のスーパーの限界を突破したことになる。しかも、70%がオンライン注文なのでまだまだ伸び代がある。オンライン注文は、理屈上は青天井で伸ばすことができるからだ。

ちなみに「全国スーパーマーケット協会」(http://www.j-sosm.jp/index.html)の統計によると、売り場面積1600平米以上のスーパーで、1日の来客数が3000人を超えているのは、平日で22.6%、週末で37.3%となっている。フーマフレッシュの記録は、来客数2万人に相当するので、この記録がいかに桁外れであるかがわかる。

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▲フーマフレッシュの天井にはレールシステムが張り巡らされている。スタッフがピックアップした商品はバッグに詰められ、バックヤードに送られる。バックヤードには配達スタッフが控えている。

 

膨大なスマホ注文を処理するレールシステム

この膨大な注文を支えているのが、フーマ独自のレールシステムだ。フーマフレッシュの店内の天井にはレールシステムが張り巡らされている。スマホ注文が入ると、スタッフが専用バッグを持って、商品をピックアップ。これをレールで天井に吊り上げ、バッグはバックヤードに送られる。バックヤードでは、配達地域別に自動で振り分けられ、電動バイクに乗った配送スタッフに渡される。そして、配送が行われる。

ピックアップに10分、移動に10分、配達先で玄関を開けて受け渡しに10分。これで30分配送が実現されている。

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▲スタッフがピックアップした商品バッグは、リフトで天井レールに乗せる。

 

ゾーン式レイアウトでピックアップ効率を高める

フーマは、配送料は無料になっているが、これだけの宅配システムを設置して、コスト面はどうなっているのだろうか。当然、コストはかかるが、すべての面に置いて究極の効率化が行われている。

まず、店舗のレイアウトが違っている。一般的なスーパーでは、来店客を回遊させるようにレイアウトを組む。多くの場合、価格変動の大きな生鮮食料品から変動の小さな食料品に回遊するようにする。野菜、魚、肉、加工食品と巡ることになり、来店客はまず安くなっている野菜に目をつけ、献立を考えながら買い物ができるという消費者視点のレイアウトだ。

スマホ注文を主体にしているフーマフレッシュでは、このような来店客視点ではなく、ピックアップスタッフ視点のレイアウトになっている。ゾーン式なのだ。野菜は野菜ゾーン、果物は果物ゾーンと分けられていて、通路は広く取られている。これによりピックアップ効率が高まっている。

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▲フーマフレッシュの商品棚レイアウトは、従来のスーパーのような回遊式になっていない。ゾーン式になっており、ピックアップス作業の効率が優先されている。

 

ピックアップ効率は既存スーパーの3倍、配達効率は20倍

また、レールシステム研究開発技術の責任者、曹海涛氏によると、このレールシステムは常に効率が計測され、改善作業が行われているという。例えば、ある店舗で1つの注文で14個の商品をピックアップする場合、スタッフはピックアップをして、レールシステムにバッグを乗せるところまで133歩必要だった。これが伝統的なスーパーのレイアウトで、バックヤードに届けるとなると540歩必要になる。つまり、一般スーパーの宅配に比べて3倍の効率で動けることになる。

さらに、冷蔵保存不要の加工食品などは、バックヤードの倉庫で追加をするなど効率化が図られ、曹海涛氏によると「伝統的なスーパーが1つの宅配注文を発送する間に、我々フーマフレッシュは20件の宅配注文を処理することができます」と言う。

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▲注文の商品は、スタッフの端末に表示される。バーコードを読むことでピックアップ完了になる。

 

既存スーパーも始めた「到家サービス」

フーマフレッシュは、このようなシステムを日々計測し、日々改善している。新型コロナの感染拡大後、既存スーパーもこぞって宅配=「到家サービス」に対応を始めている。しかし、伝統的なスーパーの構造の中で、スタッフがピックアップをして、宅配をするために、フーマフレッシュほどの効率はあげられず、注文量が増えれば増えるほどコストが上がっていく状態になっていると思われる。

新小売スーパー、生鮮EC、既存スーパーは、現在、宅配サービスをめぐって競い合っているが、今後、宅配を利用する消費者が広がるとともに、コスト負担に耐えきれないところから脱落をしていくことになる。生鮮食料品の小売業は、遠からず「洗牌」の季節を迎えることになりそうだ。

 

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