中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

初任給は3100万円。ファーウェイが始めた天才少年プロジェクト

今年、華為(ファーウェイ)に入社した新卒社員の初任給が年棒201万元(約3100万円)であることが話題になっている。これは創業者肝煎の「天才少年」プロジェクトで、優れた才能を発掘するプロジェクト。今年は8人の天才少年がファーウェイに入社する予定だと長江日報が報じた。

 

組織活性化のために天才少年を集めるファーウェイ

昨2019年6月、ファーウェイの創業者、任正非(レン・ジャンフェイ)総裁は、電子メールで、2019年中に20名から30名程度の天才少年を招聘する計画を明らかにした。その目的は、ファーウェイにナマズ効果を起こすことだとしている。

ドジョウの群れに捕食者であるナマズを入れると、何匹かは食べられてしまうが、その他のドジョウは生き延びるために必死になり活性化される。天才をファーウェイに高給で入社させることで、組織全体を活性化するのが目的だ。

f:id:tamakino:20201012094301j:plain

▲社員全員に送られた任正非のメール。天才少年プロジェクトのことが説明されている。

 

初任給の最高は年棒3100万円

その中でも、最高の年棒が与えられたのは、華中科技大学卒業の張霽(ジャン・ジー)だった。張霽は1993年生まれ。入学した時から、教授や同級生から「スーパー大学生」と称賛される存在だった。2016年に計算機科学で博士号を取得し、そのまま華中科技大学武漢光電国家実験室で学び続けていた。

国際会議で論文を発表する中で、ファーウェイの研究者から注目をされ、ファーウェイの天才少年プロジェクトに応募するように勧められた。

f:id:tamakino:20201012094253j:plain

▲初任給年棒3100万円でファーウェイに入社した天才少年、張霽。大学生の頃からスーパー大学生として注目される存在だった。ファーウェイの組織に刺激を与えるのが目的。

 

人がファーウェイを作る任正非の人材観

また、同じく華中科技大学大学院出身の姚婷(ヤオ・ティン)も注目されている。データベースの専門家で、年棒は156万元(約2400万円)。

2019年は、年棒89.6万万元から201万元までの天才少年が8名内定を得て、今年2020年に続々と入社をしてきている。

任正非のメールによると、2020年は天才少年計画を200名から300名規模に拡大することになっている。対象は中国人だけでなく、グローバルになるという。

任正非は、常々、日本の戦後の高度経済成長について言及をしている。「日本は敗戦をして、何もなくなった。でも、人だけがいた。それが高度経済成長という奇跡を可能にしたのだ」。

ファーウェイにとって最も大切なのは人材であるという任正非の人材観は、創業の時から一貫している。

f:id:tamakino:20201012094257j:plain

▲同じく天才少年プロジェクトで入社した姚婷。データベースの専門家。今年は8人の天才少年が入社する予定。