カバーがついて安全に利用できるドローンHover Camera Passportを開発して話題になったゼロゼロロボティクスが第2世代にあたるHover 2の出荷を始め、各メディアで話題になっていると極客之選が報じた。
子どもでも安全に扱えるフレームつきドローン
Hover Camera Passportは、子どもでも安全に利用することができる4K自撮りドローン。4基のプロペラは、フレームで囲まれているため、人やモノに当たっても損傷を与えることはない。あらかじめ、自分の姿(服装など)を撮影し、登録すると、その人を自動追尾して4Kカメラで撮影をしてくれるというものだ。
その第2世代目のドローンとなるHover 2が、キックスターターで10万ドルの資金調達目標のところに100万ドル以上が集まるという盛況ぶりで、出荷が始まっている。
▲手で持って、滑らすように放して、離陸させる。安定すると、対象者を追跡するようになる。
▲メッシュフレームがついているので、プロペラでケガをする可能性が抑えられている。誰でも安全に扱えるドローンになっている。
▲上部につけられた360度回転するカメラ。
▲2つ折にできる設計になっているため、持ち運び時はコンパクトに畳める。
Hover 2は、自撮りと撮影の2つの形態に変身
Hover 2の特徴は、2種類のドローンに変身できることだ。メッシュフレームを装着すると、顔を登録した人物を追捕撮影する自撮りドローンとして利用でき、フレーム型の軽量フレームを装着すると通常の撮影ドローンとして利用できる。
また、Hover 2では自律飛行の機能が大幅に改良された。SLAM、3Dマッピングなどの技術が採用され、周辺の障害物を自動認識し、周辺地図を作成していくことで、障害物を回避して飛行する。
▲Hover 2のインテリジェントトラッキング撮影のデモ映像。追跡対象が、物体の影に隠れても、移動経路を予測して追跡をしている点に注目。
自撮りでは、フロント、サイド、バックの3種類で自動追尾
メッシュフレームを装着すると、顔認証登録した人物を自動追尾して撮影をする自撮りドローンとなる。
追尾の仕方は「フロント」「サイド」「バック」と3種類が選べる。フロントでは追尾対象を正面から、サイドでは平行に、バックでは後方から追尾撮影が可能だ。
また、映画の撮影手法を模した追尾方法を取り入れることもできる。「サージ」では対象からゆっくりと離れながら撮影、トラックショットでは動いている対象を下がりながら、リコチェットでは対象に近寄って、近くを回りながら離れていきながら、オービットでは対象を中心に回るように撮影する。
このような撮影方法は、専用のスマートフォンアプリから設定をすることができる。
軽量フレームに変えると、通常の撮影ドローンとして使える。軽量であるため、自撮り状態では19分の飛行が限界だったが、軽量状態では23分に伸び、風の影響も受けづらくなる。
▲対象者を自動で追跡をし、撮影を行う。
▲対象者を背後から自動追跡する。樹木などの障害物を認識し、自動で回避して飛行する。
▲対象者は、服装などで認識をし、「前から」「横から」「後ろから」撮影する方法が選択できる。
▲撮影時には、「サージ」(対象から遠ざかる)、「リコチェット」(側を通過)、「トラックショット」(一定距離を保ちながら後退)、「オービット」(周囲を旋回)などが簡単に設定できる。
▲自動で障害物を認識し、障害物を避けて飛行する。
創業者はフェイスブック、ツイッターなどで働き、北京で創業
このゼロゼロロボティクスを創業したのは、杭州市生まれの王孟秋(ワン・モンチウ)。北京航空航天大学に入学し、カーネギーメロン大学で修士号を、スタンフォード大学で博士号を取得した。
その後、フェイスブックに入社しビッグデータ分析などの業務に携わった。2009年に帰国をし、アリババ研究員、アリクラウドでサイエンティストとして働く。その後、ツイッターに移り、リコメンドエンジンを開発。これにより、タイムライン広告の精度が大きく上昇した。
2014年3月に、スタンフォード大学の同級生だった張通とともに、北京で「北京零零無限科技」を創業、2500万ドルの投資資金を得て、最初の製品であるHover Capmera Passportを開発した。その後、米国カリフォルニア州クパチーノに「ゼロゼロロボティクス」を設立し、キックスターター経由でHover 2のプロジェクトをスタートさせた。
▲創業者の王孟秋。フェイスブックやアリババ、ツイッターなどで働き、北京でゼロゼロロボティクスを創業した。
高度化するドローンを「みんなのもの」に引き戻したHover 2
撮影ドローンは、次第に大掛かりになり、航空法などの規制もあり、だんだんと専門家でなければ扱えないものになっていった。しかし、Hoverは子どもでも安全に扱うことができる。撮影方法もアプリで簡単に設定することができ、ビジュアルプログラミングができる小学生であればじゅうぶんに使いこなすことができる。
中国では、ネット動画メディアが続々とHoverを使い始めている。記者が一人で現場に行き、自分で撮影し、取材をする。Hoverは、専門家のものになりかけていたドローンを、再び「みんなのもの」に引き戻そうとしている。
▲フラッシュもついていて、家族の自撮り写真を撮るという使い方も提案している。