長沙市に続いて鄭州市でもロボバスの導入が始まった。バス路線を整備することで、専用バスレーンを走り、信号はバスの進行に合わせて青になるというものだ。自動運転には5G通信エリアの拡大が決め手になっていると大河網が報じた。
ロボバスが目指すのは無人運転による弾力的な運行
中国各地で、L4+5Gの自動運転バス=ロボバスの運行、試験運行が始まっている。L4自動運転は、一定条件下での自動運転。固定路線を走行する路線バスは、この条件を整えやすく、自動運転を実現しやすい。さらに、5G通信を使って、リモート監視、緊急時にはリモート停止させる機能を備えることで、運転手や安全監視員が乗務をしない完全無人化も可能になる。
ロボバスが目指しているのは、この完全無人運転だ。路線バスは道路状況の影響により遅延しやすい。この遅延により、乗客が偏り車内が混雑をする。遅れる、混むという理由で、バス離れが起きていく。
これを解決するためには、適宜、臨時増発をすればいいが、多くの場合、運転手の手配に時間がかかり、機敏な対応が取れない。完全無人化をすれば、車両さえあればいくらでも増発ができるようになり、弾力的な運行が可能になる。これにより、バスの利便性と快適性が上がり、バス利用が増えていくことになる。
▲鄭州市に導入されたロボバス。自動運転はL3だが、バス路線の整備、5G通信を活用することで自動運転を実現している。
L3+5G+環境整備でロボバスを実現する鄭州市
すでに長沙市では、2018年から試験運行を始め、今年2020年4月から15kmの路線に10台のロボバスを投入して、正式営業を始めている。
続いて、河南省鄭州市でも、宇通客車製のロボバスを投入し、試験運行を始めた。鄭州市民であれば誰でも無料で乗ることができる。このロボバス座席数26、乗客数80人で、全長12m。平均速度時速25kmで走行するが、一部では最高時速50kmで走行する。19のバス停がある全長17.4kmの路線に12台のロボバスが投入される。
このロボバスは、L3自動運転だが、路線に専用バスレーンを整備し、黄色車線のガイドラインを引くことで、L4と変わらない自動運転を実現している。運転席には安全監視員が乗務をし、万が一、自動運転条件を外れることがあれば、手動運転で介入をする。
また、5G通信を介して、交通信号などの道路設備と通信を行い、交差点通過時は、ロボバス優先で、交通信号が青になる。ロボバスの位置と走行速度を計算し、赤信号の時間を短縮することで、ロボバスがオールグリーンになるようにしている。
▲ロボバスの運転席に座っているのは監視員で、運転はしない。緊急時に停車させるなどの操作を行う。
▲車内は普通のバスと何も変わらない。すでに市民の足として、普通に利用されている。
▲鄭州市のロボバス投入路線のバス停は、六角形をモチーフにした近未来デザインのものになった。
▲バス停には5G通信が整備されるだけでなく、WiFi、充電設備なども設置されている。
5Gのエリア拡大がロボバスを実現可能にしている
河南省と宇通客車は、河南省智慧島でも、4台の8人乗りL4自動運転バスの実証実験を行っていて、すでに乗客を乗せて1万kmを走行している。
このように各地でロボバスの運行、試験運行が続くのは、5Gのカバーエリアが広がってきたからだ。バス路線にそって5G基地局を整備して、5Gによりリモート監視を行うことでロボバスの運行が可能になっている。
今後も、中国各地で、5Gとロボバスがセットでエリアを拡大していくことになる。