ECサイト「京東」は、2019年のEC利用者の傾向を分析し、10の特徴にまとめて公表した。いずれも「帝王式独身」などユニークなネーミングがされている。
帝王式独身:ドアを閉めれば一人の世界
中国は独身時代を迎えている。国家統計局と民政部のデータによると、2018年の結婚率はわずか0.72%で、ここ10年の最低記録を更新した。智聯招聘が公表した「2018年オフィスワーカー結婚恋愛観調査報告」でも、調査をした企業の従業員の68.33%が独身で、主要都市の従業員の独身率は50%を超えている。この傾向は、しばらくは変わりそうもないと見られている。
近年、「サクランボ自由人」という言葉が流行っている。サクランボは、価格差の激しい果物で、1粒1元以下から5元以上するものまである。このサクランボの価格を気にしないで買える人が「サクランボ自由人」だ。つまり、お金持ちというわけではないが、都市のホワイトカラーで、そこそこの収入があり、日常生活の範囲ではあまり値段を気にしないで済む人のことだ。
これはネットに投稿された「26歳、月給1万元、でもサクランボは買えない」という文章の中で、「私は貧乏なのだろうか?」と問いかけた文章の中に出てくる経済力を示す尺度。
独身女性の経済力を示す15の「自由」段階がネットで拡散して、さまざまな人に使われるようになっている。下から「辣条(安価なスナック菓子)自由」「タピオカ自由」「サブスク自由」「フードデリバリー自由」「スターバックス自由」「サクランボ自由」「ゲーム課金自由」「口紅自由」「衣服自由」「タオバオ自由」「スマホ自由」「旅行自由」「バッグ自由」「恋愛自由(男性に頼らず経済的に自立している)」「マンション自由」だ。
サクランボ自由は、中程度のランクで、日常の範囲では余裕のある生活が送れていることを意味する。京東では、このようなサクランボ自由な独身者が、2018年から43%も増加したと発表している。例えば、市中では珍しい果物マンゴスチンの購入金額が30倍に増えた。
この他、マッサージ機、美顔器、ヘアドライヤー、電動歯ブラシなどで、独身者の購入数が既婚者を大きく超えている。
顕微鏡式子育て:潔癖すぎる子育てパパ
京東では、2019年、輸入粉ミルク販売量が40%増加した。また、乳糖不耐症に対応するなど特殊配合の粉ミルクは206%も増加した。
さらに乳児の衛生用品も伸びている。ミルク関連の調理器専用の消毒薬は91%、乳児の口の中の衛生を保つ用品は80%も伸びている。
クロスセックス式流行:男は美しく、女はたくましく
京東では、2019年、男性化粧品が200%も増加した。口紅を買う男性は111%増え、女性は各種トレーニング用具の購入が伸びている。ウォーキング、ヨガ、水泳関連用具は、男性より女性の方が多く購入し、さらにはダンベル、腹筋ローラーなどのジム系健康器具も、男性より女性の方が多く購入している。
科学式リラクゼーション:成分、原理、効果を理解して購入
健康関連では、サプリメントが最も売れている。また、歩数計、体脂肪計が2019年は398%も増え、心拍数、血圧測定器が112%増えている。
化学式スキンケア:お肌のpH値に合わせた化粧品を選ぶ
「ヒアルロン酸」「ニコチン酸アミド」「アミノ酸」などのスキンケア関連の化学物質名の検索回数が、2019年は147%増加した。このようなスキンケア商品の販売量も200%増えている。スキンケア商品を選ぶ際に、配合成分が大きな鍵になっている。
理性的浪費:そろばんを弾いて、お得な時に浪費をする
2019年の11月11日、独身の日セールでは、4つの傾向が顕著だった。「覚醒反応」「満足反応」「アップグレード反応」「リス反応」だ。
覚醒反応は、それまで欲しくても我慢していたものを買う行動。満足反応は、価格よりも納得のいくものを選ぶ行動。アップグレード反応は、すでに持っているものを買い換える行動。リス反応は、日用品などを買いだめする行動だ。
2019年の独身の日セールで、京東では、洗濯乾燥機と衣類乾燥機の売上が700%も増えた。4000元以上する高級な冷蔵庫、洗濯機の売上は500%伸びた。高価格家電がよく売れ、1000元以上の髭剃り、3000元以上の美顔器、800元以上の電動歯ブラシなどが牽引をして、高価格家電は120%以上伸びている。
競技式娯楽:競技スポーツが日常の健康トレーニング、娯楽に
以前は貴族のスポーツだった馬術とゴルフ関連用品が伸びている。馬術用ヘルメットは301倍も売れ、ゴルフクラブも83%増加している。
剣道、柔道、空手、テコンドー、ボクシング、摔跤(組技を主体とした中国武術)が女性の間で流行し、特に摔跤関連用品は316倍も売れている。また、空手関連用品も103倍になっている。
没頭式学習:少ない自由時間も勉強に充てる
京東で、書籍が最も売れる時間は深夜1時だ。この時間に書籍を買う人の平均冊数は4冊以上になっている。60%は、26歳から35才の社会人によるビジネスの購入だ。
社会人の多くが、学習をして自分の能力を高めることを重視するようになっている。また、収入が多い人ほどビジネス書をよく買う傾向がある。
応援式追っかけ:アイドルが勧めるものを買うのが応援
2019年の京東は、アイドル消費が爆発した。芸能人関連商品が5548%も伸びたのだ。また、女性購入者が男性の2倍いることも特徴だ。人気ドラマの中で、俳優、女優が使い、CMにも出演しているOPPO、Redmiなどのスマホ、飲料などの売上が伸びている。
巻貝式00后:彼らを見ていると潮目がわかる
00后と呼ばれる2000年代生まれ(10代後半)が流行のアンテナとなっている。00后は新しいものをすぐに試してみて、それから他の世代が追従する。また、飽きるのも00后から始まる。つまり、世の中の流行は、00后の消費動向を見ているとよくわかる。
2019年、00后の間で最も伸びた流行は、スキー、スノーボードで、関連商品が578%も伸びた。他の世代にも波及をしていくことが考えられる。