フードデリバリーの美団が、華東交通大学などで、学食の学内配達に対応をした。大学では多くの学生が学生寮に居住をしていて、食事は学食に食べにいくか、学外の飲食店を利用するのが一般的。学食がデリバリーに対応することで、学生寮に届けてもらい食事ができることになったと江西都市現場が報じた。
学生のために存在する学食
美団の学食デリバリーには大きな意味がある。なぜなら学食は学外の飲食店と同列に考えるわけにはいかないからだ。
学食は、味の点では学生からさまざまに言われるが、安価であり、栄養バランスが考えられており、安心できる食材が使われている。多くの場合、大学から補助金などが出ており、利益を出すための飲食店ではなく、学生の栄養管理をする学内機関だからだ。
そのため関係者以外の利用を基本的に認めていない。大学はわりと自由に出入りができるため、もし外部の人間が学食を簡単に利用できるようになると、安くて安心できる食事を提供することから、いろいろな人が入り込んでしまう。大学の予算を学生以外のために使うことになってしまうし、学内の安全の観点からも問題があることだ。
そのため、アリペイやWeChatペイなどのスマホ決済に対応していないところも多い。学生証や教職品の身分証明証を電子マネーカード化したり、顔認証に対応して、学外からの利用ができないようにしている。
▲大学の学食で始まったフードデリバリー。学内だけの配送で、配送員も学生アルバイトが行う。学食を運営する芒果青年と外売の美団が協業している。
学生の健康を管理するため、学食をデリバリー
また、学生が学外の飲食店からデリバリーをすることも禁止している大学がほとんどだ。学生の健康管理という観点から学食を利用してもらうことを建前にしていること、配送員が学内に自由に入ると治安の面で問題が生じるという理由だ。
そのため、学生は「学食に行く」「外の飲食店に行く」「外で買ってきて、学生寮に持ち帰り食べる」しか方法がなかった。いずれにしても、学生寮にいたまま食事をするということはできない。
試験やレポートで時間が厳しくなると、多くの学生がカップ麺を食べることになる。これでは、学生の健康を管理するという意味で本末転倒になってしまっている。
そこで、美団が、学内限定のデリバリーサービスを始めた。学食の料理を学内に配送する。しかも配送員はその大学の学生限定だ。
配送員はすべて学生のアルバイト
この仕組みは、学生のアルバイト問題にもメリットがある。アルバイトすることを望む大学生も多いが、外部でアルバイトをすると、職種によって大人の誘惑にさらされ、学業がおろそかになってしまうことがある。教育の観点から、建前は学生のアルバイトを禁止している大学も多いが、実態は、把握できないし、守られていないのが現状だ。
それが学内だけで業務をするアルバイトが可能になる。この学内限定のフードデリバリーは大学側からも歓迎されている。
▲学食のメニューを学内だけに配送する。学食の料理は、味の面では学生から不満を言われることも多いが、栄養管理、素材管理がされ、価格も安い。
学内限定配達なので、配送効率がよく、手数料も安く抑えられる
この学内デリバリーに対応したのは、大学の学食運営を委託されている芒果青年餐飲。芒果青年は、2013年に創立した企業で、江西省、貴州省、天津市など7つの都市の30の大学で、学生食堂を運営している。南開大学、貴州大学、江西師範大学などの有名校も担当し、学食の総面積は20万平米、学生、教師といった顧客は40万人を超える。
学食の飲食品の多くが10元以内の低価格に抑えられている。デリバリーを学内に限定したことで、配送効率は高くなり、配送手数料は1元から2元に抑えられている。
学食は、特に昼の時間の混雑が激しい。授業時間の間に食事をするため、人が集中するからだ。学生や教師からは、長い行列に並ばなくていいと歓迎されている。
華東交通大学では、学内デリバリーが始まって、すでに1カ月がすぎたが、平均して1日に1000件以上の注文があり、1日の売上は1万元を超えているという。
このサービスは、「服務到寝」(寮に届けるサービス)、「学生が学生に配送。安全」として歓迎されている。芒果青年では、江西農業大学、江西科技師範大学などへの導入をすでに決めている。
また、他の大学でも導入を検討する動きがあり、学内デリバリーは広まっていくと見られている。
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