中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

中国を追いかけるインドのITサービス。起爆剤はスマホ決済

インドで、スマホを中心にしたITサービスが普及をしてきている。2019年、インドのネット利用者は6.27億人に達した。しかも1日平均4時間スマホからネットにアクセスし、スマホの利用回数は1100回以上になる。また、一人平均で32個のアプリを入れている。

もはやスマホ大国になったインドで、急速に普及しているのが、中国と同じような生活関連のITサービスだ。プレイヤーが異なるだけで、ライフスタイルが中国と似通ってきていると財兎新金融が報じた。

 

朝食を宅配してくれるbbdaily

中国には生鮮食料品を宅配してくれる「毎日優鮮」があるが、インドにもbbdailyというサービスがある。スマホで注文すると、牛乳やパン、果物を宅配してくれるサービスだ。朝食で使われることが多く、朝はスマホを開いてbbdailyアプリを使うところから始まるインド人も増えているという。2018年には、注文の6割が牛乳だったという。

また、経験なヒンズー教とは毎日花を飾る。これも契約すると毎日花を届けてくれるPoojaというサービスもある。

bbdailyの運営元は、BigBasketというECサービス。bbdailyの扱い品目は1000SKUStock Keeping Unit)と少ないが、BigBasketの方は3SKUある。両者合わせて、1日に15万件の注文があるという。

BigBasketは翌日配送が基本だが、2019年半ばから90分配送を一部地域で導入した。しかし、オペレーションがかなり厳しかったのか、3時間配送と5つの時間帯が選べる翌日配送の2本立てに集約しようとしている。

BigBasket2011年創業。2017年、2018年にはアリババから5.8億ドル(約640億円)の投資を受け、20195月にはインドのユニコーン企業となっている。

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▲生鮮食料品を宅配してくれるbbdaily。朝起きるとすぐに注文して、朝食の食材を買う人が多いという。

 

ウーバーを凌駕しているライドシェアOla

中国にはタクシーサービス、ライドシェアサービスの滴滴出行があるが、インドにはOlaがある。しかも、中国にはウーバーが進出していたが滴滴出行に吸収され、インドにもウーバーは進出しているが、多くの人はウーバーよりもOlaを使っている。

2013年にウーバーがインドに進出した時、Olaは小さなスタートアップにすぎず、2都市で展開しているだけだった。しかし、2019年にはウーバーは40都市で展開をしているのに対し、Ola200近い都市でサービスを展開している。Olaは三輪車(リキシャ)のライドシェアを行っており、地方都市にも進出をしている。

Olaは独自にキャッシュレス決済Ola Moneyも提供しているため、クレジットカードがなくてもキャッシュレス決済が可能になっている。

Ola2010年創業、2013年にユニコーン企業になった。Olaにはテンセントが出資しており、20203月にも株式公開をする予定だと報道されている。

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▲ライドシェアOla。地方都市では三輪車によるライドシェアを展開し、料金も安いため歓迎をされている。

 

即時配送をするDunzo

中国では、「ウーラマ」「美団」などの外売企業が即時配もを行っているが、インドにはDunzoがある。2015年にバンガロールで始まったDunzoは現在8都市で展開し、月間アクティブユーザー数は100万人、月間配送数は200万件になっている。

Dunzoは、雑貨、食材、果物、薬品などを配送してくれる。提携している店舗の商品だけでなく、ECで購入したものも配送してくれる。さらには、代引き(代理購入後決済)やクリーニングの受け渡しなどのサービスもある。なんでも扱ってくれるバイク便の感覚だ。

利用料は安く、4km以内であれば30ルピー(約46円)で、クーポンなども配布されていて、実質20ルピー以下で利用できる。10kmでも130ルピー程度だという。

Dunzoの配送員の仕事は、農村出身者にとってはいい仕事になっていて、1日で1100ルピー(約1700円)を稼ぐことも可能になっている。

Dunzoにはグーグルなどが出資しており、現在企業価値7800万ドル(約85.6億円)と見積もられている。

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▲短距離を即時配送するDunzoが、小売店の新小売化を促進している。

 

フードデリバリーのリーダーZomato

中国には、料理を宅配してくれる美団外売、餓了麽(ウーラマ)があるが、インドにはZomatoがある。

2008年にスタートした時は、ネット注文専門の料理店だけを扱っていたが、次第に街中の料理店とも提携を始め、現在では24カ国、1万以上の都市でサービスを展開する巨大プラットフォームになっている。

Zomatoの特徴は、現金決済だということだ。インドの地方都市ではまだキャッシュレス決済が浸透していないためだが、現金決済であることがサービスの普及の鍵になっている。

美団は、ZomatoのライバルであるSwiggyに投資をしている。Zomatoにはアリババ傘下のアントフィナンシャルが4.1億ドル(約450億円)の投資をしていて、2018年にはアリババも投資をした。Zomatoは、ユニコーン企業に成長するのも目前の段階に達している。

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▲フードデリバリーZomato。海外展開も初め、インドのフードデリバリーのリーダー企業。ライバルのSwiggyと競争をしている。

 

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▲フードデリバリーに対応しているChai Point。インド茶「チャイ」の他、コーヒーも扱うようになった。

 

人気ゲームは、PUBG MobileDream 11

2019年のインドは、スマホゲームが流行した年になった。ゲームユーザーは3億人に達した。

人気なのは、韓国発のPUBGをテンセントがスマホゲーム化したPUBG Mobileと、インド発のDream 11だ。特にDream 11は国民的ゲームにもなっており、クリケットやサッカー、カバディ、バスケットといったスポーツがスマホ上で楽しめるゲームプラットフォームだ。

1人で遊ぶのではなく、1人は1プレイヤーを担当し、知り合いなどとチームを作って、別チームと対戦するというもの。課金をして参加し、ゲームに勝つと賞金ももらえる仕組みになっている。

Dream11はゲーム市場売上の90%を独占するという強さで、利用者は5500万人を超える。また、課金ユーザーも15%程度と高い。

2018年には、テンセントが1億ドル(約110億円)の投資をしており、インドのゲーム企業では唯一のユニコーン企業となっている。

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▲人気ゲームDream 11。サッカー、カバティーなどさまざまなゲームスポーツがオンラインで楽しめる。

 

キャッシュレススマホ決済Paytm

インドではまだまだ現金が主流だが、スマホ決済も急速に普及をしている。特に都市部のカフェはほとんどの店がキャッシュレス決済に対応している。

インドで最大のスマホ決済はPaytmで、利用者は3.5億人。携帯電話の通話料を支払う仕組みからスタートし、その後、街中決済に対応、銀行カードに対応などサービスを広げてきた。現在では、街中の商店だけでなく、映画のチケット購入、保険商品の購入、借入などの機能が備わっている。

Paytmには、ソフトバンク、アリババなどが出資をしている。

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Paytmは、もはや知らない人がいないぐらい有名なスマホ決済に成長した。スマホ決済が起点となって、IT生活関連サービスが続々と生まれてきている。

 

シェアリング自転車Yulu

インドにもシェアリング自転車がある。20178月にバンガロールでサービスをスタートさせたYuluだ。

特に朝夕の交通ラッシュは激しく、通勤をする人は地下鉄とシェアリング自転車を組み合わせて移動することが多くなっている。現在、Yulu16都市に展開している。

Yuluでは、20193月から電動自転車Miracleを投入している。時速25kmで走る電動バイクだ。利用料は3km以内で20ルピーから。利用するには200ルピーのデポジットが必要。

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▲シェアリング自転車も広がり始めている。都市部では朝夕のラッシュがひどくなってきているからだ。

 

エキスパートスタッフを宅配するUrbanClap

インドで人気になっているサービスがUrbanClapだ。スマホで注文をすると、家の修理、清掃、エステなどのスタッフを派遣してくれるというもの。ユーザー数は300万人で、月に45万件の利用がある。

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▲さまざまな専門スタッフを自宅に派遣してくれるUrbanClapエステシシャンの派遣を利用し、自宅エステを楽しむ人が増えている。

 


UrbanClap | #ExpertsKiApp | Ghar ki Safai

▲スタッフ宅配サービスのUrbanClapのプロモーションビデオ。修理、清掃、エステなどの専門スタッフを自宅に派遣してくれる。

 

キャッシュレス決済が起点となっているIT生活サービス

インドのキャッシュレス比率は40%弱と、日本よりは上回っている。インド政府は高額紙幣を廃止して、キャッシュレス化を促す政策もとっている。今や、インドのPaytmは、日本のPayPayに技術提供をするにまでなっている。

キャッシュレス決済、特にスマホ決済の最大のポイントは、IT生活関連サービスに直結をするということだ。スマホアプリから商品、サービスを注文し、そのまま決済まで行われ、注文票、利用履歴などもスマホに残る。

中国に続いて、キャッシュレス決済比率があがってきたインドも、IT生活関連サービスが花開こうとしている。

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