北朝鮮で、QRコード決済が始まる。北朝鮮の総合雑誌「千里馬」10月号が報じたもので、北朝鮮もECなどの利用が盛んになり、キャッシュレス決済時代を迎えようとしていると観察者が報じた。
北朝鮮でも始まるQRコードスマホ決済
韓国の聯合ニュースは、北朝鮮の総合雑誌「千里馬」10月号が、QRコード決済が始まることを報じた記事を掲載したと報じた。「商品識別コードの導入拡大」と題した記事で、現在、北朝鮮では商品コードにバーコードとQRコードを併用しているが、情報量の多いQRコードをより使うべきだということを論じた記事。
商品コードであるQRコードをスマートフォンでスキャンすることで、商品種別だけでなく、商品の賞味期限などの情報も見られるようになっているという。
この記事の中で、QRコードによるスマホ決済も始まると報じられている。
▲スーパーにはPOSレジも導入され、商品バーコードやQRコードが活用されている。
平壌でのスマホユーザー率は50%から70%と推定
韓国IBK朝鮮経済研究所の調査によると、2019年12月時点での北朝鮮のスマホユーザーは約600万人。平壌での利用者割合は、50%から70%程度と見られている。特に、大学生を中心と若者層に浸透している。
北朝鮮には、中国製のスマホが大量に入っているため、中国の影響を受け、QRコード決済への要望が出てきたという。
デビットカードによるキャッシュレス決済は始まっている
現在の北朝鮮では、現金か銀行デビットカードによる決済が主流で、近年、デビットカードを使う人が増えている。
2010年末に朝鮮貿易銀行がデビットカードと電子マネーカードの機能を兼ね備えた「ウイング」を提供して以来、2011年には高麗銀行が「高麗」を提供し、本格的なキャッシュレス決済が始まった。さらに朝鮮中央銀行が「全盛」、大成銀行が「金路」を提供するなど、都市生活者にとってはキャッシュレス決済が身近なものになっている。
▲朝鮮貿易銀行が発行しているカード「ウイング」。デビットカードと電子マネーカードの機能を持っている。発行枚数、キャッシュレス決済比率などは不明だが、かなり普及をしていると見られている。
▲北朝鮮のEC「万物商」はスマホにも対応。24時間いつでも買い物ができる環境が整っている。
モール、ECはすでにキャッシュレス決済対応済み
2012年1月には平壌市内の光復地区に、中国の飛海蒙信貿易と朝鮮大聖総商社の合弁により、2.7万平米のショッピングモールがオープンしている。
また、2015年には朝鮮人民服務総局がEC「玉流」サービスを開始、翌2016年にはEC「万物商」がスタートし、スマホからもいつでも買い物できるようになった。さらに、「朝鮮貿易」「Abnal」などのECも登場している。
このようなモール、ECはすでにデビットカード決済には対応し、今後、QRコードスマホ決済にも対応していくと見られている。
▲2012年に平壌にオープンしたショピングモール。中国企業との合弁。
▲催事スペースでは、バーゲンのようなことも行われ、多くの人が買い物にくるという。