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108両編成の貨物列車が自動運転化。貨物列車も自動運転時代に

世界各国で、貨物列車の自動運転が始まっている。オーストラリアではすでに運行を開始し、フランスなどでも試験運行を始めている。中国でも、10月16日に、神朔線で、自動運転の貨物列車が走行し、自動運転時代に入ったと参考消息網が報じた。

 

108両編成の貨物列車が自動運転

神朔線は、陝西省大柳塔から山西省朔州市までを結ぶ全長266kmの貨物路線。大柳塔には世界最大級の大柳塔炭鉱があり、ここから産出された石炭を運ぶのがこの貨物路線の任務だ。

10月16日に初めて走った自動運転貨物列車は、列車番号7033の108両編成。全長は1530mにもなった。積載しているのはほとんどが石炭だ。大柳塔炭鉱近くの神木北駅を出発し、朔州市の神池南駅までを走行した。

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▲神朔線は、石炭を運ぶための貨物専用線。カーブや坂、トンネルが多く、運転の難易度が高い路線として知られていた。

 

▲ネットメディア「参考消息」が報じた自動運転貨物列車の映像。運転が難しい路線ほど、安全性と定時運行に寄与することができる。

 

運転が難しい路線を自動運転することで安全性が上がる

神朔線は、貨物線としては短距離であるものの、地形の関係から坂、カーブ、橋、トンネルなどが多く、運転が難しい路線として知られる。国家エネルギー集団神朔線支社と中国中車株洲電力機車研究所は協働して、この路線の自動運転化に挑んだ。目的は走行の安全性を高め、定時運行を確保することで、輸送力を高めることだ。

現在、運転席には監視員が乗務をし、列車の運行管理をし、同時に緊急時には手動運転を行う体制になっている。

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▲世界最大級の大柳塔炭鉱。ここから石炭を運ぶのが神朔線の使命だ。自動運転を行った7033列車は、108両編成、全長は1530mにもなった。

 

ハードルが高い地上鉄道の自動運転化

自動運転を行うには、列車よりも路線にATO(自動列車運転装置)などの設備を整える必要がある。このため、地下鉄や都市交通など、他列車の乗り入れがない閉じた路線では、自動運転化がしやすい。一方で、一般の鉄道路線では、他列車との乗り入れ、接続があるために、一部だけを自動運転化することは難しい。

神朔線の場合、一般路線とは分離された炭鉱専用の貨物路線であるために、自動運転化が早かったという。

今後、神朔線の成果を、他の専用貨物線にも広げていくことになる。

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▲自動運転だが、無人ではない。運転士が監視員として乗務し、緊急時には手動運転に切り替える。