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上海市が進めるトイレ改革。スマート化した公衆トイレはすでに150カ所以上

上海市にスマートトイレが続々と登場している。スマホのアプリから場所を検索することができ、紙はQRコードスキャンや顔認識で、一人分が出てくる。そのような公衆トイレはすでに150カ所になり、今後も増えていくと文滙が報じた。

 

上海市がスマート公衆トイレのガイドラインを公開

このようなスマート公衆トイレが、出現した理由は、上海市緑化市容局が「上海市スマート公衆トイレ建設ガイドライン」を公開したからだ。

この中で、スマート公衆トイレとは、IoTセンサー、人工知能、クリーンエネルギー、新素材、生物処理などを使い、スマートセンサー、スマートサービス、スマート管理の3つが行われている公衆トイレだと定義されている。そして、建築基準、スマート設備、環境保全設備、スマートサービスの4分野について、61項目の設備を備えることが推奨されている。

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▲清掃員は清掃時に顔認証を行う。これが清掃日報の代わりとなる。

 

人体センサーで個室の空き状況を検出

例えば、個室トイレには、人体センサーが設置され、画像、赤外線、超音波などで使用中かどうかを感知し、入り口付近のディスプレイあるいはスマホアプリで、どの個室が空いているかをリアルタイムで表示する。

この他、感応式のトイレットペーパー(顔認識、手かざしなどで1人分のペーパーが出てくる)、雨水利用システム、害虫駆除機、クリーンエネルギーシステムなどが設置されている。

また、そこまで必要なのかと思うが、除湿機、音楽再生機能、PM2.5測定器、VOC(揮発性有機化合物)測定器なども備えられる。

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▲入口付近のディスプレイで、どの個室が空いているかがリアルタイムでわかる。使用中でも一定時間を過ぎると、黄色で表示され、中でスマホを見て独占していることなどがわかるようになっている。

 

スマート公衆トイレは現在150カ所、さらに増えていく

上海市は公衆トイレの改革を2016年から本格化している。最初のスマート公衆トイレは、普陀区に建設されたが、どのような設計にすべきかの議論に時間をかけたため、建設には2年がかかっている。

この普陀区のスマート公衆トイレをモデルとして、2018年から普陀、静安、黄浦遊歩道、楊浦、閔行、松江、宝山、青浦、崇明にモデル試行地区を設定、スマート公衆トイレの建設が始まった。

設備や機能に関するガイドラインは定められたが、要求される機能の実現方式や外観などについては、ガイドラインは触れていない。各地区の自由に任されている。そのため、各モデル地区が競うようにユニークなスマート公衆トイレを建設したため、公衆トイレを回って、SNSに写真をあげるマニアも登場するなど、ちょっとした観光資源にもなっている。

現在、スマート公衆トイレは150カ所になったが、今後も建設は続いていく。

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▲武勝路のスマート公衆トイレ。立派すぎる建物で、遠目にはカフェか何かと間違えそうだが、中国の観光地にはこのような立派な建物の公衆トイレが多く、入り口すぐには広々としたロビーがあることも珍しくはない。

 

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▲沪太路のスマート公衆トイレ。壁が木材で覆われている。天井には太陽光発電パネルが載せられている。

 

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▲北安路のスマート公衆トイレ。屋根には太陽光発電パネルが載せられ、必要な電力を供給している。

 

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▲北箐園公園のスマート公衆トイレ。緑の多い公園の景観に合わせて、壁が植物で覆われている。

 

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▲上海駅のスマート公衆トイレ。ガラスと植物で構成されている。