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動力不要で、5000kmを航行できる無人潜航艇が登場

2019年9月に、北京国家会議センターで開催された第18回北京国際航空展覧会に出品された無人潜航艇が注目を浴びている。動力は不要で、約5000kmを航行することができる。海南島から出発をさせれば、南沙諸島をカバーできると、話題になっていると兵工科技が報じた。

 

動力なしで5000kmを潜航。波の力で前進する

この無人潜航艇を開発したのは、日照坤侖智能科技。このKLC-1型無人潜航艇は、全長3m、重量600kgで、最大水深6mまでの海面下を潜航する。

その最大の特長は、動力源が不要ということだ。5対の胸びれの角度を変えることにより、波の力を利用して前進をする。舵を取る、制御するなどに必要な電力は太陽光発電で供給をする。

速度は最大毎秒0.8mで、これは時速2.9kmとなる。しかし、最大航行距離は5000kmと長く、数ヶ月をかけて航行する。

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無人潜航艇の全体写真。全長は約3m。水面下を音も熱も出さずに潜航する。

 

民間用途もあるが、やはり軍事用途が主

日照坤侖智能科技では、この無人潜航艇の用途を軍事、民間の幅広い用途としている。具体的には環境計測、海洋調査、気象予報、海洋生物調査、通信中継などだが、

ネットでは「海南島から放出すれば、南沙諸島をカバーできる」と話題になっている。

KLC-1は、重量600kgだが、最大250kgまでの荷物を積載することができるので、さまざまな計測機を積むことができる。

また、動力が不要ということは、排気も出さず、廃熱もなく、エンジン音もしない。さまざまな探知機の目を潜る抜けることができる。海面下を航行するので、目視も難しい。文字通り、水面下での展開行動が可能になる。

日照坤侖智能科技では、すでに研究開発を終えていて、量産開発の段階に入っている。2020年初めからの量産を目指しているという。

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▲この胸びれで、波の力を使って前進をする。時速は約3kmと遅いが、動力不要であるために、数ヶ月にわたって5000kmを航行することができる。

 

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▲正面から見た写真。主に軍事用途で、2020年初めから量産を開始するという。

 

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▲日照坤侖智能科技では、2種類の無人潜航艇を開発している。新型は胸びれの数を減らし、積載量を増やし、300kgまで積むことができる。

超小型潜水艦 サブマリナー075

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