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荷物タグを電子化。カウンター手続き不要、チケットレスで搭乗可能に

中国東方航空は、上海・北京路線で、預け入れ荷物の電子タグの運用を始めた。チケットも電子チケットとなり、カウンターでの手続きは不要となり、チェックイン、荷物の預け入れ手続きがスマートフォンから行えるようになると中国民航報が報じた。

 

預け入れ荷物の200個に1個はトラブルに遭遇

航空機に乗る時に、荷物を預ける時は、カウンターで申請をして、荷物タグをつけてもらう。そこにはさまざまな記号、バーコードが印刷されているが、乗客にとっては必要のない情報ばかりだ。しかも、乗客は、カウンターで荷物を預けたら、到着地で受け取りをするまで、自分の荷物がどう扱われ、どういう状態にあるのかはまったくわからない。航空会社を信頼するより他はない。

航空機の運航データを収集し、安全と定時運行の確保に寄与するサービスを提供している企業SITA(シータ)のBaggage Report 2018によると、預け入れ荷物1000個のうち5.57個が何らかのトラブルに遭遇している。その78%は到着の遅延、17%は荷物の破損、盗難、5%が紛失となっている。

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▲航空会社スタッフは、スキャナーで荷物タグのバーコードを読み取る他、電子タグも内蔵され、空港内の各ポイントで感知される。搭乗客のスマホには、荷物の現在位置がリアルタイムで表示される。

 

上海・北京間で電子荷物タグが始まる

中国東方航空は、上海虹橋・北京首都空港路線で、電子荷物タグの導入を正式に始めた。この電子タグは、東方航空アプリに会員登録をすると無料でもらうことができる。この電子タグは、電子ペーパー表示でNFCチップ、RFID電子タグなどが内蔵されている。

最大の特徴は、近接通信のすべてがパッシブ型であるために、電源が不要だということだ。そのため内蔵電池やバッテリーなどは搭載されていない。東方航空では、以前からバッテリー内蔵型の電子タグを試験運用していたが、航空機に発火の可能性が否定しきれないバッテリー搭載機器を乗せるという安全性が大きな課題になっていた。今回の電子荷物タグは、この問題をクリアした。破損をしなければ、永久に繰り返し利用することができる。

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中国東方航空が運用を始めた電子荷物タグ。預け入れ手続きはスマートフォンから行え、リアルタイムで荷物の位置がスマホに表示される。

 

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▲電子荷物タグはそのまま持って帰り、次の搭乗のときに自分で付け替える。スマホで手続きをすると、電子ペーパーの表示内容が自動的に変わる。

 

荷物の現在地がリアルタイムでわかる電子荷物タグ

電子荷物タグは、航空機の予約を済ませ、東方航空アプリに搭乗情報が表示されている状態であれば、どこでもスマホから預け入れ手続きをすることができる。自宅ででもかまわないし、空港に向かう途中でもかまわない。

空港に着いたら、手荷物預け入れカウンターで荷物を渡すだけだ。そのまま重量が測定され、安全検査が行われ、その情報もアプリに表示される。

搭乗客にとって、この電子荷物タグの最も優れた点は、空港設備の各ポイントに電子タグリーダーが設置されていて、荷物の追跡が可能になることだ。自分の荷物がどこにあるかは刻々とアプリに表示される。東方航空側でも、乗客の搭乗券情報と荷物情報の照合を行なっているので、万が一積み忘れ、積み間違いなどがあれば、すぐにわかるようになっている。

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中国東方航空の専用アプリを使うと、チェックイン、荷物の預け入れ手続きがスマホから可能になる。カウンターでは荷物を渡すだけで、すぐに安全検査に向かうことができる。

 

カウンター手続きが不要になる電子チケットと電子タグ

到着地で荷物を受け取ったら、帰りも同じように、好きな場所でスマホから預け入れ手続きをすることができる。電子荷物タグはそのまま自宅に持って帰り、別のスーツケースを使う場合は付け替えればいいだけだ。

東方航空アプリを利用すると、搭乗券も電子チケットになるために、スマホがあれば、チケット類を持たずに飛行機移動ができるようになる。さらに、カウンターでの手続きも不要になる。空港に向かう途中で、荷物の預け入れ手続き、チェックインを済ませ、空港ではカウンターに荷物を渡すだけ。すぐに安全検査を通って、搭乗口に向かうことができる。

現在、この電子タグは4000個用意され、利用できるのは上海・北京路線のみだが、順次、路線と個数を拡大していく予定だ。