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成功するインフルエンサーは投稿時間も戦略的。統計でわかった週末午前9時のスイートスポット

卡思データは、中国版Tik Tok「抖音」(ドウイン)内のインフルエンサーが動画を公開している時間とその効果の関係を分析した「抖音ショートムービー公開時間報告」を公開した。これによると、ファン数300万以上のインフルエンサーは、他とは違う行動をしていることがわかった。

 

中国版Tik Tokはインフルエンサーにより大きなお金が動く

抖音は中国版Tik Tok。と言うより、中国北京市のバイトダンスが運営する「抖音」が本家で、その海外版がTik Tokだ。グローバルでのアクティブユーザーは5億人を突破している。

一般に、音楽、ダンス系のショートムービー共有アプリとして知られるが、本家の中国ではすでに音楽やダンス以外のグルメ、旅行、ファッション、ペットという動画共有も盛んで、特に紅人(インフルエンサー)と呼ばれる人の動画は、莫大なお金が動くビジネスになっている。インフルエンサーが着ている服、装飾品などをファンが購入するからだ。現在では、それを意識して、家電製品やスイーツ、化粧品を積極的に紹介する動画も投稿されている。

 

視聴者の反応は、水金土が多い

この報告書では、インフルエンサーたちがどの日のどの時間に投稿をしているか、そしてそれがどの程度のハート(いいね)、コメントを獲得しているかを分析している。

一週間の曜日では、投稿数に大きな違いは見られない。週末も土曜日がやや多いぐらいで、日曜日はむしろ少なくなる。

しかし、ファンの反応には曜日による違いがある。ハートの獲得数、コメントは水曜日、金曜日、土曜日が多いのだ。水曜日はコメントが多く、金、土はハート獲得数が多い。

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▲Tik Tokの動画投稿数全体では、平日も週末(周六が土曜日、周日が日曜日)も大きな違いはない。むしろ日曜日はやや少ないほど。

 

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▲ところが、ファンの反応には違いがある。水曜日(周三)と金曜日(周五)、土曜日(周六)に、点賛(いいね)、評論(コメント)が多い。

 

トップインフルエンサーは、金土に動画を投稿する

この違いが生まれる理由は、ファン数の多いインフルエンサーほど、意識的に金、土に動画を投稿していることだと思われる。ファン数が300万人以上のインフルエンサーは、明らかに金、土の投稿数が多く、ファン数が10万から30万とインフルエンサーとしては影響力が大きく無くなるほど、投稿数が平均化していく。

これは獲得するハート数、コメント数の統計でも同じだ。ファン数300万人以上のインフルエンサーは金、土、水にハートとコメントを獲得しているが、ファン数10万から30万のインフルエンサーになるほど平均化していく。

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▲ファン数300万以上のトップインフルエンサーたちは、金土に多く投稿し、日月火は少ない。ファン数が10万から30万という少ないインフルエンサーほど、投稿日が平均化していく。

 

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▲点賛(いいね)の数も、ファン数300万以上のトップインフルエンサーでは、水金土に集中する。ファン数の少ないインフルエンサーほど平均化していく。

 

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▲コメント数も、トップインフルエンサーほど曜日による違いが大きく、ファン数の少ないインフルエンサーほど平均化をしていく。

 

平日は男性向け動画、週末は娯楽系動画

つまり、ファン数の多いインフルエンサーほど、投稿する日を定めて、計画的に行動していることがわかる。

インフルエンサーのジャンル別に見ても、平日は科学技術系、自動車系という男性向けのインフルエンサーの投稿数が多く、金土日の週末では、萌え系、ゲーム系のインフルエンサーの投稿するが多くなる。

 

投稿時間は、昼食、夕食を狙う

1日の中で見ると、投稿の多いのは午前11時から午前12時、午後5時から午後7時の間に集中している。いわゆる昼食時間、夕食時間を狙って投稿していることがわかる。この傾向は、平日、週末ともの大きな違いはない。ただし、週末は夕方の投稿が減り、午後の投稿がその分多くなる。

平日は多くの人が仕事をしているため、午後の時間に投稿をしても再生数が伸びない。その分が夕食時間に集中するのだと思われる。

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▲1日の中での投稿時間は、昼食前、夕食前の時間にピークがある。

 

新たに分かった週末午前9時のスイートスポット時間帯

ファンの反応も投稿数に比例をするが、週末の午前9時には獲得ハート数が多くなるという現象が現れている。朝起きて、ゆっくりと朝食をとりながらTik Tokを見ることが多いのだろう。この現象は、もっと利用されていいはずなのだが、現在のところ、週末の朝に投稿数が増えるという現象は起きていない。

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▲ファンの反応は、圧倒的に夕食前の時間が多い。平日(工作日)では帰宅時間にあたり、週末では夕食前の時間にあたる。そして、今回、統計から新たに分かったのが、週末の午前9時のピークだ。週末に遅い朝食をとりながら、Tik Tokを見る人が多いのではないかと推測される。

 

トップインフルエンサーは、投稿時間にも狙いがある

ファン数の異なるインフルエンサーの投稿時間では、やはりファン数300万人以上のインフルエンサーは計画的に投稿していることがわかる。平日は午後5時から午後7時に投稿が集中している。ファン数が少なくなるほど、他の時間に平均化していく傾向がある。

週末も、ファン数300万人以上のインフルエンサーは午前11時から12時、午後5時から7時に投稿が集中し、その他の時間は少なくなる。ファン数が少なくなるほど、投稿時間が他の時間帯に分散をしていく。

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▲トップインフルエンサー(赤)ほど、夕食前の時間に投稿をしている。反応がいい時間帯を狙って、戦略的に投稿しているのだと思われる。

 

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▲週末もトップインフルエンサー(赤)ほど、夕食前の時間を狙って投稿している。しかし、午前9時のファンの反応がいいスイートスポット時間帯には、トップインフルエンサーたちもまだ気がついていないようだ。

 

成功するインフルエンサーは投稿も戦略的に行っている

つまりは、ファン数を多く獲得するインフルエンサーほど、自分の投稿が見られる時間帯を狙って計画的に投稿をしているということがデータからもはっきりした。また、週末の午前9時という投稿数がさほど多くないのに、ハートが獲得できる時間帯があることもわかった。このスイートスポットのような時間帯を利用するインフルエンサーも今後出てくるものと思われる。