南京市の9つの図書館が貸し出す本の出前を始めている。オンラインカタログで注文をすれば、自宅まで届けくれるものだ。南京市はクラウド図書館の実現を目指していると江蘇公共ニュース番組「新聞360」が報じた。
図書館の本を出前してくれる「書服到家」サービス
中国の都市生活にすっかり定着した「外売」。出前代行サービスで、わずかな配達料でファストフードやレストラン、飲食店の料理などを自宅やオフィスに届けてくれる。最近では、薬局やコンビニなどの商品も届けてくれるようになっている。
南京市では、金陵図書館、南京鄴区図書館など9つの図書館が、昨年10月から「書服到家」という名称の外売サービスを始めている。
南京市民は、スマートフォンのアリペイミニプログラムから借りたい本を指定すると、8冊までを借りて、自宅に届けてもらうことができる。ただし、利用するにはアリペイの芝麻信用スコア(ジーマクレジットスコア)が550点以上必要(中程度の水準)。
▲南京市では、図書館に行かなくても本が借りられる「書服到家」サービスを始めた。
・返却はポストへ
予約をした本が空いていれば、翌日には配送され、利用料は3冊までが3元。以下1冊ごとに1元が追加される。
オンラインカタログにはすでに4万冊の書籍が登録されている。
返却も外売のピックアップサービスが利用できるが、この場合の費用は利用者負担となる。また、図書館など22カ所に返却ポストが設けられていて、こちらに返却をすれば費用はかからない。この返却ポストは、地下鉄の駅構内などに置かれ、ここにも数十冊程度の書籍が置かれ、自動販売機にようにすぐに持ち帰ることができる書服到家サービスが利用できる。
▲すでに4万冊が登録されているオンラインカタログから、読みたい本を選んで、出前を注文する。
▲市内の返却ポストには、本の貸し出しの自動販売機も置かれ、ここで本を借りることもできる。
高齢者の利用が今後の課題
南京市が公表した統計によると、書服到家サービスが始まって6ヶ月、21歳から40歳までの若者層が利用者の78.5%を占めるという。登録者数は1万6000人を超え、1万4000冊が書服到家サービスで借りられている(当然、図書館で通常通り借りることもできる)。
しかし、すでに課題も見えている。図書館の利用者は60歳以上の高齢者が多い。しかし、書服到家サービスはあまり使われていない。本来なら、自宅まで本を配送してくれる書服到家は、高齢者向きなのに利用者が少ない理由は、スマホの操作、特に図書の検索がハードルになっていると思われる。そのため、音声入力に対応させることを急いでいる。
オペレーションにも改善が必要
もうひとつの問題は、自分で図書館にいって借りた本と、書服到家サービスで借りた本の区別が利用者にはつかなくなってしまうことだ。図書館で借りた本は図書館に返却する必要があるが、書服到家で借りた本はピックアップか返却ポストに返却しなければならない。ここもオペレーションを統一して、どちらで借りた本であっても、どこに返してもいいように改良する予定だという。
▲図書館では、本を選ぶ人、本を読む人で混雑をしている。出前サービスを導入することで、図書館スペースを有効活用することも狙いのひとつだ。
南京市は全図書館をカバーし、クラウド図書館を実現する
2019年4月には、将雨花台図書館、高淳区図書館、溧水区図書館が新たに南京シェアリング書庫に加わり、書服到家サービスに対応した。
南京市では、すべての公共図書館を書服到家サービスに対応させ、クラウド図書館を構築することを目指している。