ポストスマホの本命となるか。腕時計型スマホ「アルファ」は電話、カメラも搭載され、音楽の再生もできる。「これ1台あればスマホはいらない」と話題になっていると、中関村オンラインが報じた。
電話もできる腕時計型スマホ「アルファ」
スマホの次のデバイスへの模索が始まっているが、これといった決定版がなかなか出てこない。アップルウォッチに代表されるスマートウォッチはあくまでもスマホの周辺機器でしかない。しかし、ヌビアが発売したスマートウォッチ「アルファ」は、単体で電話などの通信機能があり、ウォッチというよりも、リスト型スマートフォン。価格も3499元(約5万6000円)、18金を使ったゴールド版が4499元(約7万2000円)と、スマホとほぼ同じ価格帯。ポストスマホの大本命として大きな話題になっている。
中国では家庭の電話機のことを「座機」、携帯電話のことを「手機」と呼ぶ。このアルファに対してはすでに「腕機」という呼び方が定着し始めている。
▲アップルウォッチと並べた「アルファ」。表示領域が圧倒的に広く、使いやすそうなことが写真でもわかる。
▲バンド部分も工夫されていて、ワンタッチで着脱が可能。
▲スマートウォッチでおなじみになったアクティビティのトラッキング機能ももちろん搭載されている。
▲ディスプレイは意外に柔軟性が高い。腕に巻いても違和感は生じない。
表示領域をスライドできる賢い工夫
何より目に入るのが、4.01インチ、960×192ドットのOLEDディスプレイだ。解像度は225PPIあり、小さな文字も読みやすい。このディスプレイはフレキシブルになっていて、丸い手首にフィットするようになっている。
この960×192ドットという液晶のアスペクト比は、縦長すぎる。ここにもうまい工夫がある。アプリの画面はディスプレイ前面に表示されるのではなく、横はいっぱいに、縦は半分程度の大きさに表示される。そして、アプリの表示位置を指でスライドさせることができるのだ。アプリを使うときに、腕を回転させて操作するのではなく、アプリ画面の方を自分の最も見やすく、使いやすい位置に移動させることができる。非常にうまい工夫で、これにより、一気にアルファは実用的なデバイスになっている。
▲素晴らしい工夫。アプリの表示位置をスライドして、自分の見やすい位置に移動することができる。
指を振ることで操作できるエアーコントロール
前面両サイドには500万画素82度広角のCCDと、もうひとつ光距離センサーが付いている。この光センサーを使って、指を振ってメニュー操作をするエアーコントロールが可能になっている。もちろん、画面のタップ、スワイプなどの操作もできるが、タップ、スワイプといった接触操作は、歩いている時やタクシーに乗っている時などは、振動があるため意外に難しい。特に、幅の狭い左右のスワイプはやりづらい。このような時、エアーコントロールが重宝する。
さらに、右横のボタンを長押しすると、AI音声アシスタントを起動することができ、音声による操作も可能だ。
一般的なスマートウォッチと同じように、ウォーキング、ランニング、ジム、睡眠トラッキングなどの機能がある。心拍数も自動計測する。これで、充電は2日に1回でいいという。
▲指は触れていない。指を振るだけで、スワイプ操作ができるエアーコントロール。
主要アプリはプリインストール済み
アプリに関しては、主だったものがプリインストールされている。天気、スケジュール、コンパス、タイマーなどだ。
また、電話、ショートメッセージ、SNS「WeChat」、スマホ決済、マップなどのアプリも入っている。
スピーカーも内蔵されているが、アルファを耳に当てて聞くよりは、Bluetoothヘッドセットをシンクロさせて、それを使うことを想定している。ユーザーメモリは8GBあり、音楽を保存することもできるので、携帯音楽プレイヤーとして利用することもできる。
キャリア通信は、eSIM専用となっているため、キャリアとeSIMの契約をする必要がある。
▲マップアプリも内蔵され、ルート案内もしてくれる。
▲文字は音声入力が基本になるが、手描き文字入力も可能。
▲ワイヤレス充電にも対応。Qi充電台の上に置いておくだけで充電ができる。
シンプルな使い方であれば必要十分
このアルファは、悪いところが見当たらない。難を言えば、スマホのように豊富なアプリ群が用意されているわけではないので、ゲームをやりたいとか、いろいろなアプリを入れて使い方という人には不自由さを感じるかもしれない。しかし、スマホの基本的な機能はきっちりとカバーをしてきている。フレキシブルディスプレイもギミックというより、実用性を考えたものになっている。
例えば、仕事用にアルファを使い、プライベート用には大画面スマホかタブレットを使うという人も増えてくるのではないだろうか。あるいは、過度のスマホ依存が社会問題になり始めている中国では、アルファだけを使って、手ぶらで街を歩くというのがひとつのスタイルになる可能性もある。
ここ数年、スマホの進化が頭打ちになり、これといった決定打がないままに大画面化だけが進み、過度の大画面化により「折り畳み」というある意味、進化の袋小路に入った感もあった。しかし、このアルファは、ポストスマホに大きな一歩を踏み出した製品になった。
当然、他のメーカーも追随するはずで、中国ではリスト型スマホの競争が始まるかもしれない。