4月1日、山東省済南市の地下鉄1号線に顔認証改札が導入された。中国では初の顔認証決済で乗れる地下鉄になるとDOITが報じた。
3D顔認証技術を地下鉄改札に応用
顔認証ユニットには、深圳市のメーカー「オーベック」が開発した3D顔認識デバイスを採用。18000点のスポット光を放射し、3Dで顔認識をするため、誤認識率は100万分の1以下になるという。
そのため、通り抜ける感覚ではなく、改札前でいったん立ち止まる感じになる。済南地下鉄では認識にかかる時間は「2秒以内」と説明している。ただし、乗客が改札に近付き始めた時点で、スポット光を放射し、認証を始めるので、実際に改札の前に立ち止まらなければならない時間は、0.5秒程度になる。
▲済南市の地下鉄1号線に導入された顔認証改札。専用アプリに顔を登録しておくだけで、スマホがなくても地下鉄に乗り降りができるようになる。
▲顔認証デバイスはかなり手前から認識を始めるため、まっすぐ歩いてくれば立ち止まる時間はほとんどゼロになる。混雑時などでも立ち止まる時間は0.5秒以内で、1分あたり30名から40名の乗客が通過できる。
チャージが面倒なNFC交通カード
これまで、各都市の地下鉄では、NFC交通カードやQRコードによる認証を行ってきたが、それぞれに一長一短があった。
交通カードの場合は、チャージを原則窓口やチャージ機で行わなければならない。交通カードのアプリ化も進んでいて、これであればスマホ内でチャージができたり、オートチャージ設定ができるが、NFC対応のスマホ所有者はまだまだ主流ではない。交通カードの場合、チャージをする面倒がついて回る。
改札で渋滞を引き起こすQRコード
QRコードは、チャージなどもスマホ内ででき利便性は高いが、スマホを取り出して、QRコードを表示しなければならない。改札前で思い出したように、QRコードの表示操作をする人も多く、ラッシュ時には渋滞を引き起こす原因にもなっている。
さらに、QRコードは認証のたびに通信を行う。このため、ラッシュ時などでは通信が混雑してしまい、QRコードのスキャンに時間がかかったり、駅構内では他のスマホ通信がしづらくなるなどの問題が出始めている。
このため、ラッシュ時にはQRコードの使用を控えるように呼びかけている駅も出てきているという。
▲オーベックの3D顔認証システムは、企業や施設の出退勤管理などにも広く使われるようになっている。
QRコードよりも効率が大幅に上がる顔認証
これが顔認証になると、スマホを取り出す必要はなく、チャージもスマホ内で完結する。決済認証のための通信も、顔認証デバイスから有線で行うため、処理遅延も起こらない。将来的には5G通信を利用して、より設置コストが下がると期待されている。
済南地下鉄によると、顔認証では1分あたり、30名から40名の乗客が改札を通過することができ、QRコードに比べて、大幅に効率が上がるという。
▲QRコード決済の「アリペイ」「WeChatペイ」も脱QRコードに走り始めている。仏系スーパー「カルフール」では、テンセントが開発した顔認証セルフレジの導入が始まっている。顔認証でWeChatペイ決済ができる。アリペイ、WeChatペイとも、POSレジに接続できる安価な顔認証ユニットを大量に販売し始めている。
脱QRコードに走り始める中国
このデバイスを開発したオーベックは、深圳のスタートアップ。スマホOPPO Find Xの顔認証や銀聯に顔認証自動販売機などの技術を提供している。この他、アリペイ、WeChatペイも低価格の顔認証決済デバイスを提供し始めており、2019年は各局面に顔認証決済が普及する年になると期待されている。スマホ、QRコードの1歩先に進み始めている。