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深夜営業を取りやめる韓国コンビニ業界が、無人コンビニ技術に注目

韓国のコンビニが、政府の労働政策により深夜営業を取りやめている。その中で、中国の雲拿科技が開発した無人コンビニ技術CloudPick++に注目が集まっていると商訊前沿が報じた。

 

深夜営業を取りやめる韓国のコンビニチェーン

韓国聯合ニュースの報道によると、韓国のコンビニ最大手CUが、1万3000店舗のうち約20%で、深夜営業を取りやめる。他のコンビニチェーンも同様で、GS25は13.6%の店舗で深夜営業を取りやめ、セブイレブンでも17.6%、emart24でも26%が深夜営業を取りやめている。

各コンビニが深夜営業を取りやめる理由は、韓国の最低賃金政策が影響している。2017年の最低賃金は時給6470ウォン(約620円)だったが、現在は時給8350ウォン(約807円)まで上昇している。

さらに2018年7月から、1週間の労働時間も68時間から52時間に短縮され、各コンビニは人件費が嵩み、経営状況が悪化していた。深夜営業を取りやめることで、コストを低減しようというものだ。

 

ルフレジの導入も進み始めている

また、セルフレジの導入も進み始めている。emart24は2店舗でセルフレジ店舗の試験運用を開始し、セブイレブンも「セブイレブンエクスプレス」を4店舗展開している。スーパーでもセルフレジを置く店舗が増えてきている。

ルフレジには、何パターンかがある。来店客が商品を自分でレジに通してキャッシュレス決済するフルセルフタイプ。しかし、万引きや支払いミスなどがあるため、1商品ずつ決済をするタイプのフルセルフタイプもある。また、スタッフが商品をレジに通し、決済だけをセルフにするセミルフレジもある。

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▲韓国ソウル市で開催された国際フランチャイズ展に出店された雲拿科技の模擬店。韓国コンビニ関係者から大きな注目を浴びた。

 

韓国コンビニ業界が注目する無人コンビニ技術

この状況の中で、韓国のコンビニ業界が注目しているのが、中国の雲拿科技の無人コンビニ技術だ。雲拿科技の無人コンビニ技術CloudPick++は、画像解析を中心にしたもので、従来の無人コンビニとは一線を画している。

専用アプリのQRコードをかざしてゲートを通って入場したら、後は自由に商品をピックアップ。この時に、画像解析でどの商品を手にしたかがチェックされる。一度手にした商品を棚に戻しても構わない。そして、退場する時はそのまま退場するだけで、自動的に決済される。

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▲入場する時は、ゲートにQRコードをかざす必要があるが、あとは商品を手にして、そのままゲートから外に出るだけ。画像解析でどの商品を手にしたかを把握している。

 

アカウントのない同行者も入場できる

ユニークなのは、専用アプリを持っていない友人、家族も一緒に入場して買い物できる点だ。家族と一緒に入りたければ、入場時にアカウントを持っている人がQRコードをかざしてやればいい。そして、自分も再度QRコードをかざして入場する。これで、家族が購入した分もアカウントを持っている人に請求される。

2018年10月末に上海虹橋空港に1号店を開店した。24時間化を目指す上海虹橋空港で、24時間営業の無人コンビニが開店した。雲拿科技では、ショッピングモール、オフィスビル、大規模マンション、大学、ホテル、新幹線駅、空港の8つを目標に、2019年内に10店舗の開業を目指している。

また、この技術をコンビニチェーンに販売するBtoBビジネスにも力を入れており、米国、日本、韓国で300店舗の導入を目指している。

特に韓国では、今年3月にソウル市で開催された国際フランチャイズ展で模擬店が出品され、大きな注目を浴びた。

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▲上海虹橋空港にオープンした1号店。空港が24時間化をしていく中で、24時間営業が可能な無人コンビニに再び注目が集まっている。2019年内に10店舗の開業を目指している。

 


云拿科技

▲雲拿科技のデモ映像。Amazon Goと同じように画像解析でどの商品を買ったかを把握する。ひとつのアカウントで、複数の同行者が入場することもできる。


韓国のコンビニは深夜は無人コンビニなるかもしれない

韓国のコンビニ業界がCloudPick++技術に注目するのは、やはり人件費の抑制だ。最低賃金が時給8350ウォンと定められているだけでなく、夜10時から翌朝6時までの深夜勤務は1.5倍を支払わなければならない。この無人コンビニであれば、24時間営業をスタッフ1人から2人(商品管理などに必要)で回すことができ、人件費は有人コンビニの1/4程度で24時間営業が可能になる。

また、商品の補充、期限切れの商品撤去などの商品管理業務は、スタッフの勤務時間の10%程度であり、残りの90%を使って宅配などの新しいサービスも可能になってくる。

キャッシュレス決済比率が90%を超える韓国で、無人コンビニが普及する可能性が出てきた。

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