中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

海上のドローン。無人航行ミサイル艇は、群狼航行でミサイルを発射する

2018年に珠海で開催された中国国際航空宇宙航空博覧会で展示された無人ミサイル艇「瞭望者II」が話題になっている。無人での自律航行、遠隔での手動航行が可能で、画像解析により目標物を特定して、ミサイルを発射する海のドローンだと雷神之錘が報じた。

 

ミサイル発射実験にも成功した無人ミサイル艇

2018年の珠海で開催された中国国際航空宇宙航空博覧会で無人ミサイル艇「瞭望者II」が公開された。無人で航行することが可能で、4連装のミサイル発射装置を備える。ミサイル発射実験も、イスラエルに続いて成功している。

この無人ミサイル艇は、珠海雲洲智能科技有限公司と関連する軍関係企業が共同で開発したもの。すでに海外からの引き合いも多く、瞭望者IIの公開1ヶ月で、雲洲智能科技には4億元(約66億円)以上の投資資金が集まり、Cラウンドの投資を完了した。

f:id:tamakino:20190313120019j:plain

▲展示された瞭望者II。上部に取り付けられているレーダーとセンサーの情報により、自律航行、目標物の画像解析を行う。

 

f:id:tamakino:20190313120022j:plain

▲瞭望者IIの上部の写真。左下に4連装のミサイル発射装置が見える。目標物を画像解析で特定し、ミサイルを自動誘導で発射する。

 

画像解析により目標物を特定し、ミサイルを発射する

瞭望者IIは、全長7.5m、幅2.7m、排水量3.7トン、最高航行速度45ノット。22ノットでの航続距離は310カイリ。自動航行、遠隔による手動航行が可能で、画像解析により目標物を特定し、4連装ミサイルを発射することができる。最大射程距離は5km。


中国首艘导弹无人艇试射现场视频曝光

▲ミサイル発射実験の様子。目標物を自動的に特定する。

 

任務は国境海域の巡視と偵察

この瞭望者IIの主な用途は、国境海域の巡視、偵察だが、集団航行も可能で、複数のミサイル艇が同じ隊形を維持しながら航行することもできる。博覧会では、56艘の瞭望者IIが航空母艦のような隊形を維持しながら航行する映像も展示された。このような「群狼航行」では、1艘あたりの攻撃力は弱くても、ひとつの目標に対して集中砲火を浴びせることが可能になり、上陸作戦の支援などにも利用できるという。どのような組織に採用されているかは公表されていない。

f:id:tamakino:20190313120016j:plain

▲群狼航行をする56艘の瞭望者II。空母のような形の陣形を維持したまま、自律航行をする。