バイトダンス統計センターは、スマートフォンユーザーの統計をまとめた「逆周期」というレポートを公開した。アップルユーザーは相変わらず忠誠心が高いが、新機種ではなく、旧機種への機種変更が拡大している。これが最新機種iPhone XS/XRの販売低迷につながっている。さらに、プロモーションの中心がショートムービーに移っていることにもアップルは対応できていないとバイトダンス統計センターが分析をした。
スマートフォンは苦境の時代「逆周期」に入っている
ニュースアプリ「今日頭条」、ショートムービー共有アプリ「Tik Tok」などを開発運営しているバイトダンスの研究機関「バイトダンス統計センター」は、「逆周期」という刺激的なタイトルのレポートを公開した。「今日頭条」「Tik Tok」などのユーザー情報から得られたデータを分析したものだ。
スマートフォンは、空前の変革期に入っていて、最も多いときは中国国内に6000ものブランドがあったが、その99%は消滅している。しかも、現在は以前のような成長期ではなくなっていて、さらに厳しいサバイバルの時期になっている。これを「逆周期」と名付けた。逆風の段階に入っているという意味だ。
しかし、レポートの著者はこう述べている。「人が恐れをなすときこそ、貪欲になるべきだ」。
アップルの低迷、vivo、OPPOの追い上げ
中国のスマートフォン市場は、5強時代と呼ばれている。「ファーウェイ」「vivo」「OPPO」「シャオミー 」「アップル」の5ブランドだ。このうち、2018年に入ってアップルが脱落をし始めている。また、トップシェアのファーウェイも安穏としていられない。第2位グループのvivo、OPPOが激しく追い上げているからだ。
▲最近1年のスマートフォン販売額シェア。アップルの低迷とvivo、OPPOの成長が目立つ。
忠誠心は高いのに、売れ行きが低迷するアップルの謎
「中国でiPhoneが売れていない」という報道は、今年2019年初頭からのアップルに起因する株安以降、盛んに報道されている。
しかし、機種変更した時に同じブランドを選択する残留率は、中国でもアップルが図抜けている。半数以上のアップルユーザーが機種変更をする時に、再びアップルを選んでいる。これは、2018年のデータだが、2019年も同じく高い残留率を保っているだろう。
しかし、機種別に機種変更元、機種変更先を見てみると、意外な事実が明らかになった。機種変更元でいちばん多いのが、iPhone 6。古いiPhoneを使っているユーザーが新しい機種に買い換えるというのは当たり前のことだ。
では、どのような機種に買い換えているのかという機種変先を見てみると、1位にくるのがiPhone Xで、ひとつ前のモデルになる。さらに、iPhone 8、iPhone 7も多く、驚くべきことにもはや旧機種であるiPhone 6sに機種変する人も一定数いる。
▲機種変更時の残留率。同じブランドから同じブランドの機種に乗り換えた人の率。中国でもアップルの残留率は頭抜けて高い。ブランドに対する忠誠心は失われていない。
アップルユーザーは最新機種ではなく、中古市場に流れている
最新機種であるiPhone XS/XRは、旧機種であるiPhone 6sより低く、他メーカーであるファーウェイやOPPOに機種変するより人もよりもわずかに上回っているだけだ。
つまり、iPhoneユーザーは、再びiPhoneを選ぶ人が多いものの、新機種ではなく、旧機種に機種変更している。中国はスマートフォンの中古市場が発達しているので、格安になった中古iPhoneを手に入れる人が多いのだと思われる。
これが、「iPhoneが売れない」の実態で、正確には「iPhoneの最新機種が売れない」なのだ。ユーザーがアップルから離れているわけではない。
▲機種変更元はiPhone 6、機種変更先はiPhone Xが最も多い。iPhone Xはひとつ前の機種。最新のiPhone XS Maxは2.7%の人しか選んでいない。ファーウェイのP20にも負けそうな程度。多くの人が旧機種に乗り換えをしている。
アップルのメディア戦略に問題
「逆周期」は、アップルのメディア戦略に問題があると指摘する。アップルは、プロモーション戦略もグローバル基準で行なっているが、中国ではショートムービーという新しいメディアが登場し、各メーカーともこの新しいメディアを使って、新しいメディア戦略を展開している。アップルは、この動きに追従できていないのだ。では、各メーカーのメディア戦略がどのようになっているか。次回でご紹介する。
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