地下鉄の改札は、NFCカードやスマホのQRコード、NFCなどに対応していて、最近では顔認証に対応する地下鉄改札も登場してきている。しかし、南寧市地下鉄ではさらに一歩進んで、歩く姿で認証をする「人認証」の試験運用が始まっていると南方網が報じた。
歩く姿で認証する「人認証」
地下鉄の改札技術がまた進化をしそうだ。多くの都市の地下鉄では、NFC交通カードを10年以上前から採用しているが、ここ数年で、QRコード決済、NFCスマホ決済に対応し、さらには顔認証に対応する都市も登場している。ところが、今度は「人認証」が登場した。
人認証は、顔、姿、歩き方などで個人を特定し、改札を通るだけで決済をするというもの。立ち止まる必要がなく、乗客はただ素通りするだけでよく、改札の混雑を緩和すると期待されている。
広西チワン族自治区の南寧市地下鉄の1号線、仏子嶺駅ですでに試験運用も始まっている。
▲南寧市地下鉄、仏子嶺駅で試験運用が始まっている「人認証」改札。顔、体型、歩く姿などで個人認証をする。処理時間は0.5秒程度だが、改札の前から認証が始まるので、立ち止まることなく改札を通過できる。
試験運用が始まっている「人認証」
開発をしたのは広西省の咪付(ミーフー)。すでに南寧市地下鉄で、ブルートゥースを使い、スマホで改札の出入りができるシステムを開発している。今回開発した「人認証」では、顔、姿、歩き方を人工知能が判別して、個人を特定する。
あらかじめ、姿と歩き方を登録する必要があるのが面倒だが、それさえ済んでしまえば、0.5秒で個人認識ができ、改札を立ち止まらずに通過できるようになる。
化粧や服装には影響されず、また、太ったり痩せたりしても認識ができるという。現在、仏子嶺駅の試験運用の成績は好調で、大きな問題は起きていない。また、利用する人が増えれば増えるほど学習が進むので、正確になり、判別時間も短くなっていくという。
▲咪付が開発した人認証改札。鉄道の改札だけでなく、企業ビルや銀行、ホテルなどの出入管理などへの応用も期待されている。
▲一般の改札は、QRコード、NFCなどに対応しているが、タッチをするため、立ち止まらなければならない。顔認証でもやはり定位置で立ち止まる必要がある。
応用範囲は広い「人認証」
咪付の黄紫丞首席情報官によると、この人認識技術の応用範囲は広く、地下鉄の改札で技術を成熟させ、次は空港、新幹線、高速道路、駐車場などに広げていきたいという。
また、交通関連だけでなく、企業ビルの出退勤管理や金融機関、ホテルへの応用も考えられ始めている。将来的には、同時に多数の人間の認識も可能になるため、公共の場での治安管理などへの応用も考えられている。
中国の個人認証は、QRコードというシンプルな技術から始まったが、その後、NFC、顔認証と猛スピードで進化をしている。人認識も、すでに試験運用が始まり、試験結果が芳しければ、全駅に導入されるのもそう遠い日ではない。数年後、「改札」という概念がなくなっているかもしれない。