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深圳の自動運転バスの試験運行が300日を突破

深圳市で試験運行を続けている自動運転バス「アルファバ」の試験運行日数が300日を超えた。試験運行は第2段階に入り、来年からは乗客を乗せた試験運行を始める。アルファバは、世界で最初の自動運転バスの営業運行を目指していると電池中国網が報じた。

 

300日の試験運行を経て、第2段階に入る

2017年12月2日、深圳市の福田保税区で、深圳バス集団の4輌の自動運転バス「アルファバ」が試験運行を始め、現在、300日を超えた。

この「アルファバ」は、人間用の運転席も備えられ、状況に応じて、自動運転と有人運転を使い分けることができる。試験運行期間中は、運転手が同乗し、緊急時には人間が操作する。すでにソフトウェアを1.5に一度アップデートしているが、300日を超えたところで、2.0にアップデートされ、車両も6台に増やされる。

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▲現在試験運行をしている4台の自動運転バス。車両も6台に増強される。

 

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▲追加投入される新型車両。前部に2台のカメラが搭載され、画像解析により、障害物を感知する。

 

完全自動運転ではなく、運転手の業務負担軽減を目指す

アルファバには、5つのミリ波レーダー、4つのレーザーレーダー、前部に2つのカメラが装備され、周辺環境をセンシングしている。

アルファバは、L4の自動運転(一定の条件下での自動運転)だが、L5の完全無人運転を目指しているわけではないようだ。広東省交通運輸計画研究センターの張希シニアエンジニアは、「自動運転技術は、公共交通の運転手の疲労度を大きく抑えることができ、公共交通の安全性を大いに高めます。自動運転バスは、地下鉄のように時間に正確な交通機関とし、乗客の利便性を高めることを目指しています」。

アルファバの開発をした海梁科技の胡剣平会長は言う。「バスが、狭い道の通り抜け、渋滞など特殊な状況に遭遇した時、運転手は運転を人工知能に任せるのです。そのため、実際の道路での試験運行を重ねてきました。公共交通としては、中国で唯一の実際の道路での試験運行になります」。

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▲運転手は同乗するが、基本的に運転はしない。緊急時には手動運転に切り替える。

 

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▲試験運行は、閉鎖区間ではなく、公道で行われている。一般車両が通行する中での試験が重ねられ300日を超えた。

 

バス技術の開発競争が進む深圳市

深圳市は、歴史の浅い大都市であるため、地下鉄の総営業キロ数が285kmと、北京の608km、上海の637km、広州の391kmに比べて少ない。そのため、バスの技術開発に力を入れている。バス停でスマホで呼べば5分でやってくるライドシェアミニバス「U+BUS」も深圳バス集団が試験運行を続けている。

2.0にアップデートされたアルファバの試験運行は、いよいよ来年から、実際の乗客を乗せる試験運行を始める。

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▲アルファバのバス停。現在は一般の乗客が乗ることはできないが、来年より乗客を乗せた試験運行が始まる。

 

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▲車内にはすでに交通カード、QRコードの精算機が設置され、乗客を乗せた試験運行への準備も終わっている。

サウンド&ライト都営バス

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