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アリババが数学コンテストを開催。優勝賞金は220万円

アリババがアリババグローバル数学コンテストを開催している。優勝賞金は2万ドル(約220万円)。さらに、冬休みに2週間の数学特別セミナーに参加できる権利が与えられる。

 

すべてがネットで行われる数学コンテスト

アリババの数学コンテストは、参加資格に特に制限はないようだ。登録には学校名を入力させる欄もあるが、会社名を入れる欄も用意されており、年齢制限もないようだ。

このコンテストの特徴は、すべてがオンライン化されていることにある。参加申し込みは9月14日から9月20日の間に、公式サイトで登録。予選は9月18日9時からの48時間以内にオンラインで解答する。問題は3題出題され、それぞれに3つの小問が設定されている。第1題は30分、第2題は40分、第3題は30分という時間制限がある。

この予選で、成績上位300名が決勝に進出できる。決勝は11月中旬に予定されており、幾何、代数、方程式、応用数学の4ジャンルから出題される。

成績上位40名には、冬休み2週間の特別数学セミナーに招待され、最上位の4名には2万ドル(約220万円)、次位6人には1万ドル(約110万円)、次位10人には5000ドル(約55万円)の奨学金が給付される。

 

内容は大学生レベル

この予選の模範解答がすでに公開されている。内容は、相当にレベルが高く、高校生で全問正解できる人はそうは多くない。大学レベルの数学知識が必要だ。それに加えて、時間が圧倒的に少ない。得点分布は公表されていないが、全問正解をした人はそう多くないのではないかと思われる。

オンラインで解答するため、カンニングを懸念する声もあるが、数人がかりで挑んでも全問正解は難しいと思われる。ここでは、算数レベルで解答できる一部の問題をご紹介するので、計算が得意な方は挑戦してみていただきたい。

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▲公式サイトより、英語版の模範解答をダウンロードすることができる。数学に覚えのある人は、ぜひ挑戦してみていただきたい。

 

問題1:

アリババは11月11日に、ショッピングフェスティバルを開催する。店舗Aは、重複使用可能な「60元購入すると5元割引」のクーポンを発行した。重複使用可能とは、1回の注文で何度も使えるということだ。例えば、120元の商品を購入した場合、クーポンを二重に使って、110元で購入できる。

店舗AはECサイト「Tmall.com」の店舗だ。Tmallでも「299元購入すると60元割引」のクーポンを発行しているが、このクーポンは1回の注文で1度しか使えない(複数の商品を買った場合でも、全体に対して1回のみ)。例えば、299元の商品を購入した場合、60元割引されて、239元になる。合計購入金額が299元に達しない場合、ポケットティッシュのような低額の商品を他のTmall内の店舗から購入して、合計金額を299元以上にすれば、このクーポンが利用できるようになる。

 

問題a

ミンさんは、Tmallで250元のヘッドフォンと600元のスピーカーを購入した。ミンさんは、いずれのクーポンも無限に持っているとして、いちばん支払額を少なくした場合、支払金額はいくらになるだろうか(1元単位で別の低額商品を買ってかまわない。その代金は別に計算をするので、ヘッドフォンとスピーカーに対する支払額を解答する)。

解答:709元。

 

問題b

あなたはTmallに自分の店舗Bを開店しようと考えた。販売するものは、店舗Aと同じヘッドフォンとスピーカー。表示価格も同じにした。さらに、注文1回につき1回使える「99元購入でx元割引」クーポンを企画した。xに入るのは整数のみ。Tmall全体では「299元購入で60元割引」のクーポンが配布されていて、このクーポンとも併用ができる。

このクーポンを利用して、店舗Bよりもあなたの店舗Aで250元のヘッドフォンとと600元のスピーカーを購入した方が支払い金額が1元でも少なくするようにするには、xをいくつにしたクーポンを配布すればいいだろうか。

解答:21元。

問題cは、問題aと問題bを踏まえて、商品価格、仕入れ価格、クーポンなどを一般化し、店舗の利益を最大化する一般式を導きださせるもの。難問とまでは言わないが、解答に時間がかる設問。

 

問題2:

次のダイアグラムで、丸の中の数字はノードに割り振られた番号で、直線上の数字はノード間の距離を表している。

アリババの新小売スーパー「フーマフレッシュ」の配達員が、B1、B2、B3の店舗からの注文をそれぞれC1、C2、C3の顧客に配送する。配達員の電動バイクは、一度に2つの注文しか運ぶことができない。

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▲問題2のダイアグラム。アリババの新小売スーパー「フーマフレッシュ」での配送手順を最適化させる問題だ。

 

問題a

Aから出発して、店舗に行き、商品をピックアップして、顧客に配送する最短経路を求めよ。なお、B1の商品はC1の顧客に、B2はC2に、B3はC3に配送する。

解答:A→B2→C2→B1→B3→C3→C1

問題b、問題cは、このようなダイアグラムの経路を一般化して求めるもので、かなりの難問。

 

英語版の模範解答もダウンロード可能

また、問題3は論理学の出題で、専門的な内容。なお、全体を知りたい場合は、アリババグローバル数学コンテストから英語版の模範解答をダウンロードできる。ぜひ挑戦してみていただきたい。

ふたたびの高校数学

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