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顔認証と24時間化が進む中国の図書館

江蘇省蘇州市の蘇州工業園区星海広場に24時間の図書館が正式開館をした。入館は顔認証で行い、常駐する管理者はいない。24時間営業にすると、開館、閉館の作業が不要となり、管理コストを下げられ、なおかつ利用者の利便性も高めることができる。蘇州市以外でもこのような24時間図書館が増え始めていると文道時空が報じた。

 

顔認証で入館できるミニ図書館

星海広場の図書館は、30平米という小さな空間だが、図書2000冊が置かれ、2000冊の電子書籍、500種類の音声データが利用できる。

このミニ図書館は、蘇州工業園区の図書館の分館として設置され、管理者は原則不在。ドアの前には顔認証登録機があり、最初だけ、この機械に身分証あるいは蘇州市の市民カードを読み込ませて、自分の顔を登録する。すると、次回からは、顔を見せるだけでドアが開いて中に入れるようになる。また、スマホ決済「アリペイ」の信用スコアである「芝麻信用」(ジーマ)が600点以上であれば、アリペイのアカウントでも登録ができる。

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蘇州市、星海広場に開館した24時間図書館。閉館時間を定めないことで、利用率が向上し、管理のコストも下げられる。

 

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▲ドア前にある顔認証機。最初だけ市民カードなどで顔を登録する必要があるが、次回以降は顔パスでドアがアンロックされるようになる。

 

貸出もセルフで行う

図書を借りる、返却する場合も、図書館内にある自動貸出機に自分で書籍のバーコードを読み込ませ、顔認証を行う。

書籍が盗難にあうことが心配になるが、市民カードと顔を登録しないと中に入れないため、盗難の心配はほとんどないという。特に顔を登録されるというのが大きく、これが悪さをする心理的な障壁になっているのだと思われる。本には電子タグがつけられ、貸出処理をしていない本を持ち出そうとするとゲートでアラームが鳴り、出口のドアがアンロックできなくなる。

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▲中には貸出機があり、自分で貸出処理をする。貸出処理も顔認証で行える。

 

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▲星海広場図書館の内部。本には電子タグがつけられ、貸し出し処理をしていない本を持ち出そうとするとアラームが鳴って、ドアが開かなくなる。

 

閉館時間をなくすことで利便性が上がる

管理者は、本館から適宜やってきて図書の整理などを行う。それ以外は不在で、開館時間は24時間。深夜に書籍を借りる人がいるのかと言えば、深夜の利用客はもちろん少ない。しかし、開館時間を定めずに24時間にしていることがポイントだ。利用者は、閉館時間を気にせず、気軽に利用できるようになる。例えば、夜遅くなって図書館を利用したいと思っても、閉館時間を調べるのが面倒で行くのをやめてしまうことがある。24時間にすればそういうことがなくなって、利用率が上がるのだ。

また、管理者側も省力化になる。開館時間、閉館時間があるということは、誰かがその時間に行き、開館、閉館の作業をしなければならない。24時間にしてしまえば、この作業時間が不要になるのだ。

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▲館内は普通の図書室の感覚。電子書籍なども用意されている。

 

顔認証+24時間ミニ図書館がトレンド化する?

このような24時間無人スマート図書館は各地に増え始めている。大きな図書館ではなく、北京市などの区立図書館など地域の分館サイズの小さな図書館の顔認証24時間化が進み始めている。この蘇州市の24時間スマート図書館にも図書館関係者の視察が相次いでいるという。

蘇州工業園区図書館では、2020年までに、この24時間スマート図書館を8カ所に増やす計画だ。

日本の最も美しい図書館

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