中国深圳市で、スマートフォンで呼べるライドシェアバスの試験運行が始まっている。バス停であれば、どこからでも呼ぶことができ、目的のバス停まで直行してくれる。路線は乗客の需要に応じて自動計算される。乗客からも地下鉄よりも便利だと評判になり、試験区域を深圳市全域に広げる予定だと雪花新聞が報じた。
バス停で呼べば5分でやってくるライドシェアバス
深圳市でライドシェアバスU+BUSの試験運行が始まっている。ライドシェアバスというのは、従来のバスと違って固定した運行路線がない。バス停でスマートフォンアプリを使って呼ぶと、バスがやってきて、指定したバス停まで乗せていってくれる。ここはタクシー感覚だ。
しかし、他の乗客もいる。どのようなルートを走行すれば、全員の移動を最も効率的にできるのかは、クラウド上でリアルタイム計算されて運転手に指示される。そのため、目的地までの最短ルートではなく、多少遠回りすることもある。その代わり、路線バスを乗り次ぐ必要がある目的地であっても直行してくれる。今後、都市交通の利便性を高める公共交通となるのではないかと期待されている。
▲深圳市で試験運行が始まっているライドシェアバスU+BUS。12人乗りで必ず座れ、目的のバス停まで直行してくれる。どのバス停でも呼べば5分以内に来るように配車されている。
5km以内移動に最適なライドシェアバス
このシステムを開発したのは滴滴優点科技で、運行は深圳バス集団が行っている。試験運行は、深圳市の東浜路より南の南山蛇口地区で、100人の市民テスターを募集をして行った。一ヶ月の試験運行で、80%の乗車が乗り換えなしで直行できることがわかった。試験区域外が目的地である人は、他のバス路線、地下鉄などに乗り換える必要があるが、そういう人は意外に少ない。多くの人が「5km以内」の移動にU+BUSを利用していることもわかった。
▲バス停でスマートフォンを使ってU+BUSを呼ぶ。目的地のバス停を指定する。乗客全員の乗車地点、下車地点、道路渋滞などを加味して、最適ルートが計算され、運転手に指示される。
12人乗りバスで、必ず座れるのも好評
利用の仕方は、区域内のバス停でスマートフォンを使って、U+BUSを呼び、目的地を指定しておく。U+BUSはどこのバス停にいても5分以内に到着するように配車されている。
乗り込んだら、スマホをかざして乗車賃を決済する。地下鉄の料金と同じになるように設定されていて、通常のバス代よりは高いが、乗り換えで2路線乗るのであればU+BUSの方が安くなる。
バス内部は12人乗りで、必ず座れるというのもU+BUSの利点だ。
配車アルゴリズムの開発は簡単ではなかった
問題は、適切な配車計画を立て、実行できるかということだ。配車数が少ないと、5分以内到着ができなくなり、乗車しても、他の乗客を乗降りさせるために、遠回りをすることが多くなり、かえって時間がかかってしまうことになる。
滴滴優点の主席科学家、馬江山博士は記者発表会でこう述べた。「乗客を10分以上待たせるのではU+BUSの利便性が確保できません。しかし、5分以内配車を実現するには、伝統的なアルゴリズムではリアルタイム計算が難しかったのです。そこで私たちはモデルとデータを利用するまったく新しいアルゴリズムから開発をしました」。
ライドシェアバスの試験運行が始まって1ヶ月。大きな問題は出ていないどころから、テスターからの評判もいい。今後、運行地域とテスターを拡大し、最終的には深圳市全域に広げて行く予定だ。
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