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マンション購入者は、都心志向で、iPhoneが好き。車はなし

テンセントデータラボは調査プラットフォームTalking Dataと共同して、「住宅購入者洞察報告」を公開した。多くの人が、都心の職場から30分以内の場所にマンションを購入し、都会的なライフスタイルを送っていることが明らかになった。

 

マンション購入者は30歳前後の独身男性

2017年中に住宅を購入した人は、男性が66.9%、女性が33.1%、年齢は26歳から35歳が最も多いという結果になった。

この結果は、誰もが想像する通りだが、大きく違うのが独身が主体であるということだ。未婚率が72.6%にもなる。

これは中国の習慣によるところが多い。それはマンションを所有しているかどうかが、結婚相手選びの大きな条件のひとつになっているのだ。独身のうちにマンションを購入し、それから結婚相手を探す。そういう習慣が統計にも現れている。

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▲住宅購入希望者の大半は男性。中国では「男性が結婚前に住むところを用意する」という習慣が根強い。

 

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▲年齢別では26歳から35歳が最も多い。しかし、未婚率は72.6%で、独身男性が住宅購入の中心となっている。

 

子どもの戸籍の問題から、結婚時に住宅を所有したい

「家も持っていない男性とは結婚したくない」と考える女性が多いのは、単なるイメージの問題だけでなく、切実な問題もある。それは、賃貸で暮らしていると、生まれてくる子どもが都市戸籍を取得できるかどうかが怪しくなるのだ。戸籍の制度は複雑で、賃貸暮らしの場合は、市内に居住している期間のみ都市戸籍が与えられる準戸籍扱いになるケースもある。その場合、子どもが大学まで市内の学校に通えるかどうかが怪しくなる。

間違いないのは、市内に住宅を所有し、そこで子どもを作ることだ。だから、住宅を所有していることが、結婚の大きな条件になっている。

 

都心に住んで、自動車は持たない

一方で、自動車所有率が9.3%とかなり低いことだ。テンセントデータラボでは、「自動車の購入よりも、住宅の購入を優先している」と説明している。まずは住宅、自動車のことは余裕ができてから考えるということだろう。

そのため、都心のマンションに対する強いニーズがある。北京、上海、成都、深圳の4大都市のビジネス街に通勤する人に、購入した住宅の場所がどのくらいの距離離れているかを尋ねると、圧倒的に多いのが15km以内だった。これは通勤時間にするとおおよそ30分以内ということになる。1時間以上かかる場所の住宅を購入した人は、どの都市でも10%以下だった。

住宅ローンがあるために自動車まで手が回らないということもあるだろうが、都心に住むことによって、自家用車不要のライフスタイルを選択しているようだ。

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▲4大都市で、職場と住宅の距離を尋ねると、大半が「通勤30分以内の住宅」。

 

住宅所有者はiPhone率が高い

使用しているスマートフォンのブランドを尋ねると、圧倒的に強いのがアップルで、次にシャオミーがくる。現状の販売シェアでは、シャオミーはヒット機種が出て上位にきているが、アップルはすでに7位まで落ち込んでいる。性能に比べて価格が高いと思われている。しかし、住宅購入希望者だけに絞ると、圧倒的にアップルが強いのだ。価格よりも、快適さなどを優先していると思われる。

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▲使っているスマートフォンは、一般的な売れ行きシェアとは異なり、アップルが圧倒的に強い。多少高くても、快適に使えるスマートフォンを使いたいと考えるようだ。

 

変わらない都心志向

その他の行動でも、都会型のライフスタイルが浮かび上がってくる。経済的には余裕があり、アップルが好きで、新しいものが好き。カジュアルブランドが好き。写真が好きで、セルフィーもよく撮り、撮影した写真もよくSNSにあげる。よく利用するアプリはSNSとゲーム。娯楽が好きで、よく出かける。ECサイトが好きで、学習することも好き。

住宅の都心志向は年々強まっているので、都心のマンション価格は下がらないどころか、まだまだ上がっている。大都市では、地下鉄を郊外に延伸をして、郊外に大規模集合住宅の開発はを行っているが、人々はやはり都心の企業に勤めて、都心に住むことを望んでいるようだ。