中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

モバイル革命で衰退したものワースト10(下)

2007年にiPhoneが登場して以来、モバイル革命が進行しているが、その中で、売れなくなった商品、消えゆく商品もある。尋空的啓示録が消えゆく商品、現象を10挙げている。今回は、残りの5つを紹介する。

 

デジタルカメラ

これはもう説明不要だろう。一眼レフカメラはともかく、コンパクトデジカメはもう完全に不要になっている。調査機関「キーポイント・インテリジェンス」の調査によると、2017年、世界で撮影された1.2兆枚のデジタル写真のうち、85%がスマートフォン、携帯電話によるものだった。

スマートフォンのカメラ性能はまだまだ進化中で、この割合はまだまだ上昇していくと見られている。

 

ATM引き出し手数料

中国でもATMから現金を引き出す時には、手数料が取られるが、中国支付清算協会が公開した「中国支付清算行業運行報告(2017)」によると、2017年のATMの現金引き出し額は65.5兆元(約1100兆円)で、昨年よりも10.46%減少したという。

理由は明らかだ。スマホ決済が普及をし、紐付けた銀行口座からスマホ決済にチャージをして決済するために、現金を引き出す機会が激減しているのだ。スマホ決済が、今後地方都市、農村に普及していくに従って、ATM手数料収入はより小さくなるだけでなく、ATMの設置台数そのものも減少していくと思われる。

tamakino.hatenablog.com

 

紙の新聞

2009年から、紙の新聞の販売量は減り始め、2015年には半分になってしまった。日本のような宅配サービスがない中国では、駅のキヨスク売店で買うことが多い。しかし、誰もがスマホのニュースサイトを見るようになり、地下鉄で新聞を読んでいる人はほとんど見かけなくなっている。同時に紙の新聞の広告収入も半分程度になっている。

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▲地下鉄では多くの人がスマホに熱中する。低頭族(うつむき族)とも呼ばれ、新聞や雑誌を読む人は激減している。

 

テレビ広告とフォーカス広告

スマホの普及により、中国のテレビ視聴率は大幅に下がっている。テレビ自体を購入しても、ケーブルによる専門チャンネルやネットのストリーミング配信を見ることが多く、地上波を見る習慣そのものがなくなっている。

フォーカス広告というのは、特定の人に見せる広告のことで、例えばエレベーターホールや地下鉄の車内に液晶モニターを設置し、そこに広告を流すというもの。エレベーター待ちをしている人、地下鉄に乗って暇を持て余している人が広告を見るという前提に立っている。

しかし、これも、今では誰もが隙があればスマホをいじるようになっているので、広告の効果が大幅に低下しているという。

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▲エレベーターホールなどに設置されるフォーカス広告。一時期は、IT時代の新しい形の広告として注目されたが、みなスマホをいじるので、広告効果が上がっていない。

 

懐中電灯とコンパス

懐中電灯とコンパスが特定の用途を除いて、ほとんど売れなくなっている。スーパーやコンビニでも置いてないところも増えているという。懐中電灯とコンパスは、スマホに標準装備されているからだ。

 

飛び石をスキップしながら進化する中国社会

日本の感覚であれば、この他に、ラジカセ、パソコン、加入電話、ファクスあたりも、モバイル革命で消えたものに入りそうだが、中国ではそうではない。ラジカセが普及する前に、mp3が普及をして、音楽はパソコンで聞くものになり、すぐに携帯音楽プレーヤーで聞くものになり、今ではスマホのストリーミングで聞くものになっている。加入電話がじゅうぶんに普及する前に、携帯電話が普及をしてしまった。パソコンは、オフィスや大学生の間では普及をしたが、一般家庭に普及する前にスマートフォンが普及をした。ファクスも普及する前に、メッセージングサービスが普及した。

中国社会の進化は、飛び石をスキップするように前進していくのだ。

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